近年、ホームページなどのインターネット集客の影響力が高まっております。多くの住宅関連企業(工務店)でそのような外部変化に対応する上で集客の専門部署を立ち上げているケースは多いのではないでしょうか。一方で集客の専門部署は営業部、あるいは工務部のように、ベテランが指導するという集客戦略体制を構築しにくいことも事実としてあります。
こちらは、ある経営者の悩みになります。
うちもついに集客を管理する部署が出来た。
でも、管理するマネージャーがまだ若く、体制に少し課題があるな・・・。
一つ出来たとしても他のことが抜けているように感じる。
代わりに管理をしようにもSNSやらSEOやら訳が分からないから一体何を管理すればいいかすら分からん。
取り敢えず数値データを提出させているが、果たしてそれで来場が増えるのか・・・。
そんなはずはないよな。でも一体どうすればいいんだろうか・・・。
このように、集客戦略に関する数字や管理体制を任せたいと思っていながらも、対象になるメンバーは経理上がりの女性であったりにインターネットに詳しいだけの若手社員だったりします。一方で営業部、あるいは工務部のように専門部署として、体制を確立し、集客担当のマネージャーにマネージメント能力をつけてほしいと思う経営者は多いのではないでしょうか。
今回はそのような集客部の長をどのようにマネージャーとして一人前にしていくのかについて触れてみたいと思います。
では本日の目次をお示しいたします。
マネジメントとは?
そもそもマネージメントとは何でしょうか。
下の図をご覧ください。マネジメントの権威と言われるドラッカー氏はマネージメントをこのように定義しています。
また、下の図をご覧ください。
リーダーとマネージャーの違いにおいては、図のように一般的に定義されています。リーダーはゴール達成に向けてリードする役割であり、一方でマネージャーはゴール達成に向けた素案要因を排除する役割になります。
多くの大企業でも創業期はリーダーとマネージャーの役割分担、二人三脚が成功の要因となっております。あなたの会社では、集客部の長は適切に部門のマネジメント出来ているでしょうか。
もし、集客部がまだ自立出来ていない場合は企業内の問題だけでなく、日本企業のあり方自体に問題があるかもしれません。下の図を確認すると、日本とアメリカの集客部長(CMO)の数は圧倒的に違います。アメリカでは62%の企業(フォーチューン500社)が集客部長を人員配置していますが、日本の企業(時価総額上位300社)では集客部長は0.3%しかいません。
ですから、日本の企業自体が集客部署強化をしてこなかったという構造的な問題もはらんでいます。このような問題は住宅業界では特に深刻な問題になっています。
なぜこのような自体に陥るかについては下図をご覧ください。もともと営業部、あるいは工務部については経営者が経験や知識を十分に持ち把握している領域なので、ある程度部署として確立させることは容易だったのではないでしょうか。一方で集客部門、中でもインターネットを中心に取り扱う部門となると、経営者の経験や知識が十分あるわけでは有りませんので部門としての確立が難しくなるんですね。
また、下の図を見ると成果を出しているマネージャーと出せてないマネージャーにおいては、マネージメント業務の比率が下のように大きく違います。こちらは営業部、あるいは工務部にも言えることですが、プレイングマネージャーではなくマネジメント業務をメインで行う役割が重要とされていますが、前途の理由によりなかなかマネジメント体制自体が構築しづらい状況があります。
本来は集客部のマネージャーが魚を釣るのではなくて、釣り方を教えることがあるべき姿なのですが、多くの住宅会社ではそのようなマネージャーを育成することに苦慮されているのではないでしょうか。
以上の内容を一つの図にまとめると下図のようになります。まず、リーダーかマネージャーかという視点においては、あくまでマネージャーに徹することが集客部長としては重要になります。また、専任か兼任で言えば、当然ながら専任でマネジメントを行うことが重要になります。
集客リーダーが押さえるべき3つのポイント
では集客部長は日々の業務においてどのような点を意識して集客戦略を行うべきなのでしょうか。
一つ目は「リーダーの言葉を下に伝達すること」です。リーダーは一般的には経営者を指しますが、経営者が見ている視点は現場メンバーと階層が全く違います。この階層を視座というのですが、この視座の違いによりリーダーの考えと現場の考えに乖離が生じてしまうケースが多くあります。
このような状況で経営者が現場まで降りてマネジメントもやろうとすると経営者の手が回らなくなり成長戦略の実行が難しくなってしまいます。それでもなお経営者がマネジメントをしてしまえば中間層が育たず文鎮型の組織となり成長が止まってしまいます。
ここで集客部長が経営者の言葉を「翻訳」することで適切な戦略を推進することが重要です。これが前述したマネジメント業務の核である「阻害要因の排除」につながるのです。特に住宅業界は営業部門が強く、集客部門が弱いケースが多いので営業部との折衝を推進できる体制を経営者とともに構築しながら進めることが重要でしょう。
二つ目は「KGIとKPIを管理すること」です。KGIとKPIの意味合いについては下の図をご覧ください。KGIとは各自の役割において最終的なの数字を示す指標です。KPIはそれらを構成する指標を指します。
ですから、営業部門の場合は契約数がKGI、そしてそれらを構成する来場数、あるいは次アポ率・プラン提示率・設計契約率などがKPIとなります。集客部門も例に漏れず、このようなKGI・KPIを管理することが非常に重要になります。
そして三つ目がマーケティングの全体像を理解することです。あくまで集客部長としての役割は全体を俯瞰することです。
下の図は、住宅業界の集客構造を図解したものになります。
まず、展示場・イベント・見学会・店舗など顧客との対面での接点を持つ場所があります。そして、その場所に人を集める施策が8つあるのですが、これらを全体像として把握することが重要になります。ですからことわざで言えば、木を見て森を見ず、にならないように全体を森として捉えながら、集客戦略を構築していくことが重要になります。
そして四つ目が、専門領域は極力外部の専門家に任せ、外部の専門家を管理することです。
一部の会社では、専門的な領域についても、社内で完結するという取り組みが見られますが、あくまで専門的な領域を社内で行うのは非効率です。ですから、SEOあるいはWEB広告・ホームページ制作などについては外部を「作業者」として活用しながら、作業者をマネジメントするプロデューサー業務を行うといった考え方が重要になります。
以上4つのポイントを先程の図に当てはめると下記のようになります。それぞれの施策に対してKGI・KPI管理を行い、全体を俯瞰的に見ながら、外部のマネジメントをしていく。これが集客部長のあるべき姿になります。
住宅業界の集客における「3ナイ」問題
では、住宅業界の集客戦略において、どのような阻害要因があるのかについて触れてみたいと思います。
下の図をご覧ください。こちらは集客戦略における3つの代表的な課題になります。
一つ目が、「来場が少ない」ケースですね。例えば、下記のようなお悩みをお持ちの集客リーダーは多いのではないでしょうか。二つ目の「進め方が分からない」ケースです。住宅業界ではそもそも集客部に何を期待すればいいのか分からない・・・といったお悩みを持つ会社が多くいらっしゃいます。
そして、三つ目が「実行力がない」ケースです。下記のようなお悩みをお持ちではないでしょうか。営業の場合は、インセンティブなどの評価制度が整備されているので、実行力が高い一方で、集客を管轄する部門は、なかなかインセンティブや評価制度を整備しずらいので結果、実行力が伸びないという組織的な問題が良く起こっています。
ではそれぞれの問題にどのように対処すべきなのでしょうか。
下の図をご覧ください。「来場が少ない」「進め方が分からない」「実行力がない」という点においては、大きく分けると、「管理」「教育」「動機付け」体制を構築することが重要になります。
ある会社ではこの観点に基づき、集客部長が定期的に自身のレベルをチェックシートにてセルフチェック、または経営者を含む上長にチェックをしてもらう体制を構築しています。
こちらのツールをご希望の方は下のページよりダウンロードください。
合わせて何が出来ていて何が出来ていないか、についても下図のような実行内容をチェックするシートを活用しながら徹底度をマネジメントする体制をとっています。集客リーダーが若手の場合は経営者を含む上長が半期に一度確認し、集客リーダーとしてのキャリが長い方の場合はセルフチェックを行っています。
このように現状のレベルを正確に把握しながら、集客部長としての課題を明確にしつつ進めていくことが重要になります。
こちらのツールをご希望の場合は下記よりダウンロードください。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
マネジメントとはゴール達成に向けた阻害要因を排除することである
集客リーダーが押さえるべきポイントは3つである
集客リーダーは3つの課題を解決することが重要である
リーダー自身がマネジメントの徹底度を管理する体制を構築することが銃である
以上、集客リーダーの育成についての考え方をお伝えいたしました。今後インターネット領域を中心に集客の重要性は高まって参ります。今のうちに社内にて集客を最大化させる体制づくりを行いましょう。