近年、インターネット集客の重要性が増している中で多くの住宅会社がマーケティング専門の部署(あるいは専門の担当者)を設置しているのではないかと思います。
一方でマーケティング自体が何を指しているのか、という基本的な部分から理解が出来ていない方も多いのではないでしょうか。マーケティングをそもそも理解しなければその応用である実践的な集客は非常に困難であると言えます。
こちらはある営業部長のお悩みです。
最近インターネットからの集客が増えてきたこともあり、マーケティング専門の部署を作った。
私達のようなオジサンが管轄するより若い社員にお願いしたほうがいいと、若手社員で編成もした。
しかし、司令塔がいない中でどのように教育すべきか分からないな・・・。
そもそも、自分自身ホームページやSNSに疎いので勉強が必要だよな。
そもそもマーケティングって何だっけ?
コトラーとか4Pとか言われても正直良く分からないよな・・・。
部署や担当者の配置を行ったものの、どの領域を担当してもらい、どのような成果を出してもらうか、などが明確ではないケースも多いのではないでしょうか。
本日はこのようなお悩みについてどのように対処すべきかをお伝えいたします。
では本日の目次をお示しいたします。
マーケティングとは何か?
まず前提として、よく巷で使われますマーケティングという言葉を改めて定義の部分から正しく理解をしていきましょう。
そもそもマーケティングとは何でしょうか。
様々な書籍や現場業務を行う中でもマーケティングという言葉はよく使われます。このマーケティングという言葉ですが、改めてどのような捉え方をしているでしょうか。
例えばホームページからの集客を増やすこと、あるいはチラシからの来店を増やすことなど様々な捉え方があると思います。
下の図は経営学者の権威であるドラッガー氏がマーケティングを定義した言葉になります。事業の目的は顧客を創造することであり、その為にマーケティングが必要と説いたのです。ですから単に集客を増やすだけでなく、顧客を創造する為の商品開発や店舗開発などもマーケティングの定義の中に入ります。
このマーケティングについては、5つの重要な軸があります。こちらについて事例をベースに説明をして参ります。例えば、あなたが夢であったアパレルショップを立ち上げるとします。しかし、右も左も分かりません。ではまず何をどの順番でから始めればいいのでしょうか。
例えば最初アパレルショップを立ち上げる上でまず売れる服を作る、あるいは仕入れることが重要になります。(①)そして当然どのような価格で販売するのかといった値決めが重要になります。(②)
そして実際にどういった場所でその商品を売るのか、例えばショッピングモールの店舗で売るのか、ロードサイドの店舗で売るのか、を決めることが重要です。最近ではECショップなどオンラインで売ることも選択肢に入るでしょう。(③)
次にどのように見込み客を集めるのかを決めます。(④)CMを流すというのも一つですし、チラシをポスティングすることも選択肢として考えられます。そういった集客の仕方を決めることが次のステップで必要になります。
最後に販売体制を構築します。いわゆるスタッフを採用して販売をしてもらいますなどがここに当てはまります。(⑤)試着のサポートや、購入を悩んでいる顧客の背中を押すといった業務です。
基本的にはマーケティングはこの①~⑤すべてを指すものになります。
この5つの流れに関する学説的な言葉を紹介いたします。まず「売れる商品を作る」ことを商品戦略、Product戦略と言います。そして「価格を決める」ことを価格戦略、Price戦略と言います。そして「販売ルートを決める」ことを流通戦略、Place戦略と言います。そして販売ルートに「見込み客を集める」ことを販促戦略、Promotion戦略と言います。この4つの頭文字である4つのPを取って4P戦略と呼ばれます。
住宅業界におけるマーケティングとは?
この4Pを住宅に当てはめてみましょう。下図をご覧ください。
まず売れる商品を作り、価格を設定し、販売ルートを決め、人を集め、販売員が契約する流れになります。なお、役割分担としては経営者(あるいは商品開発部)、マーケッター、営業がそれぞれを分担して4Pを構築することになります。
住宅業界のマーケティングにおいて重要なポイントとは?
この点を踏まえて以下の重要なメッセージを押さえましょう。
一つ目に本来は商品領域を含めてマーケティングであるということです。多くの書籍に共通している点はマーケティングが先程の話でいうPromotion戦略しか踏まえていないですが、本来は4P全てがマーケティングであり、商品開発あるいは価格設定などもマーケティングに含まれます。
二つ目にマーケッターと言われる集客部の業務は、営業業務よりも上流にある点です。住宅業界は営業部門が花形と言われがちですが、本来のマーケティングの流れを踏まえると、マーケッター領域が重要になります。マーケッターが集客を行わなければ営業案件は発生しませんので、マーケッターが会社の命運を握っていると言っても過言ではないのです。
三つ目に住宅業界におけるPromotionは営業との連携が必要な点です。本来は先程お伝えしましたように4PのPromotion戦略は住宅業界のような商品が高額な場合は人の後押しが必要である為集客部門と営業部門との連携が重要になります。
なお、4Pそれぞれの具体的な施策についてはこちらの記事に詳しくまとめておりますので併せてご覧ください。
本日のまとめ
以上、本日のまとめを改めてお示しいたします。
マーケティングとは集客だけでなく、集客・営業・商品全てを指す
マーケティングは経営者(商品開発)、企画、営業のチームワークで成り立っている
中でもPromotionは企画と営業の連携が重要である
本来企画が上流を握っている為、営業より重要なポジションである
住宅業界は営業が花形と言われております。一方で、今後マーケティング(集客部)の役割が増えて聞き、マーケティング自体が花形になると考えられます。今のうちに自社の中でマーケティングを強化する体制を構築し、自社の戦略を有益に進めましょう。