近年、ビジネスにおけるマーケティングの重要性は高まり続けております。

 

特に、デジタルマーケティングと言われる領域においてはどの業界も非常に速いスピードで技術革新が進んでいます。しかしながら、住宅業界にはまだリアルのマーケティングもある程度の効果を発揮することも事実としてあります。住宅業界においてはリアルとデジタルのマーケティングを切り分けず考えることが非常に重要です。

 

その上で、住宅業界においてマーケティングとは何なのか、というテーマについて触れてみたいと思います。

 

なお、以前同じテーマを取り扱いましたが、今回はさらに深堀りをした形になりますのでまずは以前の記事を読み進め、大枠を理解した上でご覧ください。

 

 

こちらはある経営者のお悩みです。

 

最近インターネットからの集客が増えてきたこともあり、マーケティング専門の部署を作った。

私達のようなオジサンが管轄するより若い社員にお願いしたほうがいいと、若手社員で編成もした。

しかし、司令塔がいない中でどのように教育すべきか分からないな・・・。

そもそも、自分自身ホームページやSNSに疎いので勉強が必要だよな。

そもそもマーケティングって何だっけ?

コトラーとか4Pとか言われても正直良く分からないよな・・・。

 

マーケティングという言葉自体が横文字でとっつきにくい、とお感じの方もいるのではないでしょうか。とはいえ、お伝えしたようにマーケティングの重要性は高まっておりますので「若手に任せた」とはいかないのが実情です。今回は誰にでも分かるように横文字を極力減らした形で進めて参ります。

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

4Pと職種ごとの役割

 

以前お伝えしました4Pの中でProduct、Price、Place、Promotionそれぞれ担当ごと、経営者、マーケッター、営業と役割が違うという話をお伝えしましたがそれぞれ順番にどういったことを行っているのかについて触れていきたいと思います。

 

 

住宅業界のProduct戦略とPrice戦略

 

まず経営者の仕事を理解しましょう。なお、ここは住宅関連企業(工務店)の規模に寄って商品開発部が担っているケースもありますのでその点を押さえて読み進めてください。

 

まずマーケティングの一番最初は最初はいわゆる売れる商品を開発するところから始まります。

 

 

ではどのように商品開発を行うのでしょうか。

 

商品開発の詳細については下記の記事に譲るとしてここでは「自社の優位性を踏まえた商品を作る、あるいは強化する」と捉えてください。

 

 

例えば会社によってうちはデザイン性が強い、あるいは性能が強い、はたまた耐震性がある、など様々な優位性があると思います。ここでは改めて自社の優位性は何なのかを確認してください。

 

 

その上でこの3つ、改めて重要なポイントとしてお伝えします。まず商品を作る際自社の観点、上の図で言う「Company」ですね。端的に言えばその強みは自社の独自性、他社が真似出来ない要素があるかどうかです。そして二つ目は競合の観点。その強みは他社のシェアを奪えるかどうか、という点ですね。そして三つ目は市場の観点。その強みは顧客が求めているかどうかです。この3つを掛け合わせたときに出る特性、優位性というものが自社の商品になるという考え方が一般的になります。

 

 

例えば成功している住宅関連企業(工務店)で言えば、エサキホームは自社の強みは5LDKの間取り、パパママハウスは家事・子育て・収納、セルコホームは北欧住宅など「自社の得意分野の中で顧客ニーズを満たし、かつ競合が参入出来ない領域」を作ることが商品開発です。

 

 

次に売れる価格の設定に入っていきます。

 

 

こちらについては様々なやり方があるのですが端的に申しますと、「競合がどのような価格設定をしているのか」、そして「顧客がどういう風な価格水準を求めているのか」を分析をし、価格を決定するというフローが一般的になります。

 

 

住宅業界のPlace戦略

 

続いては「Place」ですね。ここは前回の記事で言えば、ロードサイドの店舗やECサイトなどが当てはまりました。では住宅業界ではどのような考え方になるでしょうか。

 

 

下の図をご覧ください。こちらが住宅業界における代表的な「Place」戦略になります。

 

 

こちら見ると、住宅業界には様々な顧客接点があります。これらを一般的に販売ルートと言います。順番に見て参ります。

 

展示場型

総合展示場、単独展示場、移動式展示場に分かれます。住宅業界黎明期より総合展示場が主流でしたが、企業独自に展示場を持つ単独展示場、最終的に販売する移動式展示場が主流となりました。住宅関連企業(工務店)全般が行っている販売ルートです。

 

見学会型

自社で施工した物件を呼び水に展開する手法です。集客コストが圧倒的に低い点で取り入れやすい手法で工務店全般が行っています。建売物件の場合は現地販売会という表現で見学会が行われます。

 

店舗・ショールーム型

設計相談やプラン相談などを呼び水とする手法です。早期に営業活動に取り組むことが出来る一方で集客の難易度は比較的高いと言えます。主にデザイン系ビルダー・リフォーム企業が行っています。

 

イベント型

薄い客を含めて大量に刈り取り、管理客として育成する手法です。見込みが薄い為高い営業力が求められます。ブランド力が求められる為、主に大規模ビルダーの手法と言えます。また、認知度向上という副次効果を狙うケースも見られます。

 

自宅型

顧客の自宅に訪問し営業を行なう手法です。多くの住宅関連企業(工務店)で従来行われていましたが、プライバシーなどによる社会問題により減少傾向にあります。現在では一部リフォーム系、分譲系企業に見られる手法です。

 

現地型

実際の物件にて商談を行うケースです。分譲事業が多く、建売だけでなく売建(条件付き土地の販売)でも見られる手法です。建物ではなく、エリアの魅力を伝えることが重要になります。

 

改めて自社が主力とすべき販売ルートは何なのかを確認しつつ読み進めてください。

 

このPlaceは原則的に自社の展開する商品に沿って設計することが重要になります。

 

下記の図をご覧ください。

 

 

どの住宅会社も総合展示場が良い、あるいは見学会が良い、という訳ではありません。展開する商品によって相性の良いPlace戦略は違います。例えば高性能商材を売っている住宅関連企業(工務店)は住宅展示場で「ハウスメーカーと同品質、かつお値打ち価格」を打ち出すことが勝ちパターンですし、設計士を売りにしている場合はプラン相談会などで店舗に来場してもらうことが勝ちパターンになります。

 

なお、詳細はこちらに詳しく説明しているので併せてご覧ください。

 

 

住宅業界のPromotion戦略

 

では最後にPrmotion戦略に入って参ります。

 

ここは主に集客部(以下マーケッター)の業務ですのでマーケッターの業務軸で理解していきましょう。先程のフローで言いますと商品を作ること、価格を決めること、販売ルートを決めることまで行きましたらマーケッターの業務として販売ルートに人を集めるということが必要になってきます。

 

 

では改めて販売ルートに人を集めるにはどのような施策が必要でしょうか。

 

下の図をご覧ください。媒体は販売ルートにどのような手法で来場・アポにつなげるか、を指します。それぞれ順番に説明して参ります。

 

まずはオフライン媒体です。いわゆる折込、ポスティングCMなど昔ながらの媒体を指します。そして二つ目はPRです。いわゆるメディアに取り上げられることで、認知度や来場を増やすというやり方です。

 

そして三つ目と4つ目はWeb広告とSEOになるのですが、こちらはそれぞれ五つ目のホームページからの来場を増やす為のエンジンのような位置づけです 。

 

WEB広告とSEO、ホームページについてはこちらの記事が詳しいので併せてご覧ください。

 

 

 

 

そして6つ目がリード管理です。リードはいわゆるポータルサイトや自社のハウスリストにあるような来場に繋がっていないものの名簿として存在するリストを指します。ここからメールを送って来場に繋げるみたいなことを多くの会社でやっておられると思いますが、そういった領域はリード管理と言われます。

 

リード管理についてはこちらの記事が詳しいので必要に応じてご覧ください。

 

 

そして7つ目がSNSです。いわゆるInstagramあるいはLINEなどを活用して認知効果を高める、ということがこのSNSの領域になります。

 

SNSについてはこちらの記事を参照ください。

 

 

そして最後が契約客ですね。契約客からは紹介やリフォームなどの追加受注を見込むことが出来ます。紹介とリフォームそれぞれどのようにすれば売上に繋げることが出来るか、という観点で多くのノウハウが存在します。

 

契約客についても記事にまとめているので併せてご覧ください。

 

 

マーケッターが押さえるべき3つのポイント

 

以上を踏まえた上でマーケッターの業務を行う上でどのようなことを意識する必要があるでしょうか。大きく3つあるので順番にご説明いたします。

 

一つ目は来場・アポというKGI、それらを達成するKPIを管理することです。KGIは最終的にゴール、目標とする指標や数字を指します。KPIはそれらを構成する要素を指します。

 

 

例えば営業の場合は、当然契約数というものがKGIです。そしてKPIというのは来場数、次アポ率、プラン提示率、設計契約率、それぞれを掛け算すると契約数になります。つまり、KGIとKPIは親と子のような関係になるのですが、マーケッターは来場やアポKGIに設定し、それらを達成するKPIを決めて緻密に数字管理することが非常に重要になります。

 

そしてニつ目がマーケティングの全体像を理解するということです。下の図をご覧ください。

 

 

例えばSEOだけを見る、WEB広告を見るというだけでは全体最適に繋がらず、結果成果に繋げることが出来ません。先程説明した8つの媒体をバランス良く俯瞰的に管理することが非常に重要になります。それぞれの媒体においてKGIとKPIを設定し、緻密に管理することが重要です。

 

そして三つ目が専門領域は極力外部の専門家に任せることです。下の図をご覧ください。

 

 

あくまで例えばWEB広告・ホームページの制作・システム・メールと、マーケティング領域というのはデジタルという観点で専門性と複雑性が増しています。これらを社内で内製化すると非常に高コストになりますので、あくまで外部の専門会社に任せ、マーケッターはプロデュース業務に徹するといった考え方が非常に重要になります。

 

①外部の専門会社をプロデュースし、②全体像を理解しながら③KGIとKPIを追っていく。この3拍子がマーケッターに求められる仕事になります。

 

本日のまとめ

 

改めて、本日のまとめをお示しいたします。

checkboxマーケティングにおいてはまず経営者が商品開発を軸に展開する

checkbox商品開発は原則的に3C分析にて行う

checkbox「販売ルート」は商品と相性のよい施策にて行う

checkboxその上で、マーケッターが顧客との接点作りを行う

checkbox接点は大きく8つの領域が存在する

checkbox接8つの領域を3つのポイントを押さえてマーケッターが管理することが重要である

 

以上の内容を踏まえて、マーケティング領域を一つの部署に任せるのではなく、全社最適を意識しながら進めていきましょう。また、3つのポイントを押さえながら効率的に集客活動を行っていきましょう。

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