近年、住宅業界のマーケティングがデジタル化によって加速し、同時に難易度も高まってきております。そんな折、デジタルマーケティング自体が欧米生まれということもあり、難解なカタカナ文字が乱立し、辟易されている方も多いのではないでしょうか。
今回はマーケティングオートメーションという概念を主軸にその周辺を取り巻く言葉の意味合いや、導入する上で押さえるべき基礎知識、注意すべき失敗事例などをお伝えして参ります。マーケティングオートメーション自体はこれから住宅業界のマーケティングの主流となる考え方ですので是非本記事で基礎理解を深め、日々の業務に活かしましょう。
こちらはある営業部長のお悩みです。
最近マーケティングオートメーションという言葉をよく聞くな・・。
企業を買収すること?それはM&Aか・・・。
どうやらメールを活用してマーケティングを自動化するシステムのことのようだ。。。
そもそも集客を自動化なんて出来るのか?
そして「リード」や「インサイドセールス」という言葉もよく聞くな。
しかし横文字ばかりでさっぱりだ。
若手に聞いても容量を得ていなくてよう分からん・・・。
皆様もこのケースに近いことを考えたことがあるのではないでしょうか。
マーケティングオートメーションやリード、インサイドセールスなど様々な外来語が登場し、意味を聞いてもいまいち理解出来ない。若手メンバーに聞いてみてもその説明自体が横文字の連鎖で理解が追いつかないというケースですね。
本日はこのようなお悩みについての処方箋となる内容をお伝えいたします。
では本日の目次をお示しいたします。
基本的理解
まず基本を理解していきましょう。住宅業界の集客の全体像はこのようになります。
様々なルートから、見学会や総合展示場、イベント、店舗、自宅に誘致をする、その中の一つがリード管理と呼ばれます。リードと聞くと小難しそうですが、ここではホームページやポータルサイトの資料請求と捉えてください。
住宅業界における「反響」の定義
ここで重要なポイントを一つ確認します。反響の定義は各会社で明確でしょうか。
ひとえに反響と行っても資料請求、会員登録、問い合わせ、来場、アポと多岐にわたります。中でも資料請求、会員登録、問い合わせと来場・アポは属性が大きく違います。ここでまず押さえるべきポイントとして、リードと誘致で反響の定義を分けます。
リードとは資料請求、会員登録、問い合わせなど営業面で言えば薄い見込み客です。誘致とは来場、アポイント、いわゆる営業手前の反響という位置づけになります。それらを分けて考えないと非常に混乱をしますので、正確に分類をしましょう。改めてリードとは資料請求、会員登録、問い合わせのような来場やアポイントに繋がっていない反響を指します。
いわゆる熱の低い会員登録、資料請求といった情報収集の見込み客です。これをリードと捉えてください。
なぜ「リード」は生まれたのか?
こちらについては、MAの説明に入る前にお話しします。こちらをご覧ください。かつての集客構造は住宅業界は非常にシンプルでした。
例えばCM、折込ポスティング、情報誌、紹介というルートがほとんどです。左側にオフラインと記載してますが、契約に至る熱感においては、来店するレベルの熱感の人が前提でした。いわゆる集客とはチラシをまけばそれで終わりです。
ですから営業(住宅営業、リフォーム営業)が販売活動において非常に大きな比率を占めておりました。しかしおよそ2000年代から、ホームページやポータルサイトというものが出てきた時に、大きな変革がありました。
資料請求や会員登録、お伝えしましたリードというものが誕生するようになったんですね。この反響は従来と比較し、全く異質で「来場していないのに反響である」という当時で言えば非常に中途半端なものでした。
するとどういったことが起こるかというと、当然資料請求や会員登録は縦軸を熱感としたときに来店、足を運ぶほどの熱感ではない人々の反響が増えたということになります。
その人たちは実際に来場していないのでそこに対して電話なりメールなりDMなりでアプローチをすることで来場、来店、アポに繋げないといけないということになりました。
そういった観点で言うと、リードというものがインターネットのオンラインの台頭によって増えていき、そこに対して来場促進あるいはアポ取りのアプローチをするというステップが一つ増えたのです。その来場アポを繋げる人たちを、インサイドセールスと呼ぶようになりました。(従来の営業はフィールドセールスと呼ばれる)
そしてリード自体も、反響からおよそ1ヶ月前後熱の高めのホットリード、反響から1ヶ月以上経って熱が冷め切ったコールドリードと分類して呼ばれるようになりました。
リードがインターネットによって誕生したとお伝えしましたが、これからの住宅業界がどのように変わっていくのかをリードに沿ってお伝えします。結論から言えば顧客の検討期間の増加と営業事務職の増加です。順番に見ていきましょう。
顧客の検討期間の増加
では一つ目、顧客の検討期間の増加について触れていきます。
こちらをご覧ください。よく使われる図ですが、いわゆるインターネットによる情報化社会が本格化する中で見込み客、住宅を検討されているエンドユーザーを取り巻く情報が5年間で6倍まで増加しています。
さらに下図が示すように5Gの加速により人々を取り巻く情報量は大幅に増加すると言われています。図は5Gの浸透によりどの程度情報流通量が増えるか、を示したグラフですが、今以上に圧倒的に情報が流通することが見て取れます。
これによってどのようなことが起こるかというと、かつては情報が限られており新聞の折り込み広告、看板だけで住宅を判断していたので選択肢が非常に少なかったのです。
しかし今は色々な情報が溢れてますので、たくさんの住宅会社を検討するはめになってしまっています。良い家を建てたいと思っていたものの、情報迷子になってしまっています。
例えばこちらのデータを見てください。反響から契約までの検討期間というグラフですが、面白いことに2017年は3ヶ月以上という方が20%前後だったんですが、2018年で3か月以上が44%、2019年49%と徐々に検討する期間が増えています。当然ですが情報が非常に増えてきてますので、その分見込み客も判断が難しくなってきているいうことが考えられます。
営業事務職の増加
もう一つが営業事務職の増加です。下図は国勢調査と総務省の統計データですが、営業職と言われる職業は20年間で1割、10%が減少しています。
一方で、広い定義で営業事務職あるいは販売事務職が、5年間で15万人増加しております。これは2015年を一つのラインにしておりますのでこの営業の減少、事務職の増加は同じような勢いで下がっていますし、増えています。
ここから分かることがインサイドセールスと言われる資料請求や会員登録に対してアポ担当が役職として増加し、一方でフィールドセールスと言われるいわゆる営業部隊が減っていくのです。
ですから、営業職が減っているもののインサイドセールス部隊が増えている、ということが非常に大事なポイントになります。ここからはこの事象からインサイドセールスのあるべき捉え方について深掘りいたします。
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