多くの住宅関連企業(工務店)では、定期的にホームページをリニューアルしているのではないでしょうか。一方で、ホームページの制作相場や制作の適切な流れが分からず苦慮しているケースは多いかと思います。
こちらはある経営者の悩みです。
HPをリニューアルしたいな。
考えて見れば同じ業者さんに何年も依頼しているな・・・。
正直今の業者さんは安くて動きがいいけどいまいち戦略的なものが見えないんだよな。。。
かといって新しい業者に依頼するのは失敗が怖くて抵抗があるな。
金額も高くなるだろうし、相場が分からないとなかなか判断が出来ないな。
しかたがない、戦略はないけど無難な今の業者に再度依頼するか・・・。
このように、制作会社はプロではあるものの、戦略的な設計をしているわけではなく成果が出るのか、あるいは相場が適切なのか、さらには適切な流れでに沿って制作が出来ているのかなど、様々なお悩みがある方は多いのではないでしょうか。
今回はそのような悩みに答える形で、ホームページをリニューアルする上でのポイントをお伝えいたします。
なお、リニューアルではなく、既存のホームページを改善した場合は下記記事を参照下さい。
では本日の目次をお示しいたします。
住宅業界の集客構造におけるHPの位置付け
まず住宅業界の集客全体について触れてみたいと思います。集客構造には大きく「媒体」「販売ルート」「企画」が存在します。媒体は販売ルートにどのような手法で来場・アポにつなげるか、を指します。販売ルートは展示場や見学会・店舗など見込み客と対面接点を持つ場所を指します。また、企画は販売ルートに呼び込む為にどのような企画を行うかを指します。
企画に示している物件案内は展示場であれ見学会であれその物件を紹介するという意味合いになります。物件案内以外にも相談会やセミナー、ワークショップなど様々な企画が行われています。近年ではこの企画自体がオンライン化されつつあります。
今回のテーマになるホームページはまさにこの媒体における⑤に位置づけられます。
また、下の図をご覧ください。
図の左側は、従来の集客構造になります。かつてはチラシから店舗あるいは看板から店舗、CMから店舗と構造自体が独立しておりました。一方でホームページが誕生することにより右図のように構造が変化します。
チラシからホームページ、そして店舗看板からホームページ、そして店舗、TVCMからホームページ、そして店舗とホームページがいわゆる一つのハブとして、位置づけられるようになりました。ですから、看板やチラシを魅力的にしても、ホームページに問題があれば、来場しない・・・といった構造に変化したのです。いわば顧客の審査が一次面接からホームページを含めた二次面接に変わっている点を押さえてください。
HPリニューアルの正しい流れ
では、ホームページのリニューアルですがどのような流れで行うのでしょうか。
下の図をご覧ください。
ホームページのリニューアルについては、このような流れで進めるのが適切と言われております。
順番に説明をしていきます。
①サイトコンテンツの洗い出し
まず一つ目のサイトコンテンツの洗い出しです。
多くの住宅会社は、ゼロからホームページを作るわけではなくて、今あるホームページをそのままリニューアルするケースが多いのではないでしょうか。その場合に、いわゆるホームページ制作でいうと「移植をする」という考え方になりますが、その場合は一度今あるホームページのコンテンツを棚卸しする必要があります。
棚卸しは下の図のような形で行います。
まず、コンテンツを洗い出し、そしてそれぞれに必要なページ数を記載します。ページを記載する理由は価格交渉がしやすいからです。業界では、ページ単価はおおよそ1万円〜3万円ですから、ページをこちらから指定することによって、比較的安く依頼をすることが出来ます。
そして、参考にすべき素材を記載します。例えば、既存ホームページから素材を踏襲することもありますがパンフレットを新しくしたので、パンフレットから踏襲するといったこともあると思います。制作会社会社にそのような意図を明確に伝える為に図のように明記いたします。
次にコンテンツを過去サイトからそのまま活用するのか、ページを新たに作るのかを明確に分けます。運用体制は、外部の制作会社が作る部分と、社内で運用する部分を分けます。ブログやスタッフ紹介のよう社内で更新する部分はシステムを組んでもらいます。
参考については、他社の参考になるURLなどを記載すると、制作会社の制作効率が上がるので緻密に明記しましょう。
②制作業者の選定
サイトコンテンツの洗い出しをした後は、制作業者の選定になります。多くのケースでは、付き合いのある制作会社に頼んでいると思いますが、やはり制作会社によって、ホームページのレベルは大きく変わります。ですから、まずQCDの観点で、ホームページ制作会社を比較しましょう。
QCDとは、品質・価格・納期の頭文字を取ったものになります。どの程度の品質を維持出来るのか、どの程度の価格なのか、どの程度の期間でやってくれるのか、この3つの掛け合わせで判断することが重要です。
ですから、下図のように、制作会社の比較表を作り、それぞれクオリティ(品質)・コスト(価格)・デリバリー(納期)の案件で点数付けを行い、判断をすることが重要です。
なお、こちらのシートは以下よりダウンロード可能ですので必要に応じて社内で制作会社を検討する際にご活用ください。
では、QCDのCについてホームページの制作コストの相場はどのようになっているのでしょうか。
下の図をご覧ください。下の図は住宅業界におけるホームページ制作単価の相場になります。
表にはホームページだけではなくて、ランディングページ(以下LP)についても明記しています。
まずホームページですが、Web版のパンフレットのような位置づけであれば無料で作成が出来ますし、高くても50万前後、期間としては1週間〜1ヶ月程度でしょう。集客を増やしたいという観点で言えば、当然ながら金額は上がっていきます。SEO対策や反響に繋がる動線設計などの工夫をしてくれますので、その分単価が上がるという捉え方です。相場としてはだいたい50万円〜150万円、期間としては1ヶ月〜2ヶ月ぐらいを想定すると良いでしょう。
会社全体のブランディングを踏まえた制作なると、さらに単価が上がってきます。具体的には150万円〜300万円、期間としては2ヶ月〜3ヶ月が相場です。
次にLPについて見ていきましょう。LPも簡易な内容であれば無料で制作が可能です。社内で作る場合は1週間〜1ヶ月ほどを想定すると良いでしょう。集客を意識する場合は10万円〜30万円が相場となっており、期間としては1ヶ月前後です。
集客に対してさらなるコミットを意識するのであれば、30万円〜60万円、期間に関しても1ヶ月を超えることがあります。
なお、先ほどお伝えした無料で作る場合は下図のような社内でホームページを作るソフトなどが比較的安価で提供されておりますので、こちらを使うと費用を抑えて構築が可能です。
③制作の実施と公開
三つ目に、制作の実施と公開です。制作に関してはお伝えしたコンテンツの内容を制作会社に依頼するだけになります。
しかしながら、以下の点を注意しながら制作を依頼しましょう。
①修正期間を明確にした上で進める
制作においては業者が無償修正する期間が用意されています。公開後、どの程度の期間無償修正をしてくれるかを事前に確認することが重要です。
②テストアップを前提に進める
ホームページのレイアウトなどは画像でのデザイン確認などを行うケースは多いものの、デザインだけでは判断出来ない領域も多いです。出来るだけWEBサイトでテスト確認が出来る体制を取ることが重要です。
③8割完成で公開する
修正対応を全て終わらせてから公開となると大幅に時間がかかっています。ホームページは公開後も修正出来る点がメリットであり、8割でも公開したほうが反響に繋げやすいので最低限の修正を行ったタイミングで公開することが重要です。
④サイト運用
そして最後にサイトの運用になります。
注意しなければならない点は、制作会社は住宅会社でゴールが違うことです。制作会社は、公開自体をゴールとしていますが、住宅会社はその先の成果をゴールとしています。ですから、リニューアルはゴールではなく、最終的にはサイトの運用をしていく中での改善が一番重要なポイントになります。
ですから住宅会社にとってみれば運用が最も重要なのですが、サイト運用段階の改善は、細かい依頼が多くなり、チャットやメールで依頼をしてしまうと、業者に依頼する修正が煩雑で管理しきれなくなります。
ですから、下図のようにGoogleドキュメントを活用し管理することが賢明です。Googleドキュメントとはエクセルのようなものですが、特徴としては、様々な人が同じページを見て、リアルタイムで修正が出来ることです。
ですから、制作会社と修正内容の一覧表を共有しながら、リアルタイムで改善依頼と進捗確認をしていくことが重要になります。
具体的には下の図をご覧ください。下の図のように依頼内容をGoogleドキュメント内でリスト化します。
項目について順番に説明して参ります。
テストについては依頼内容に対してテストアップが必要なのかどうかについての記載になります。コストと対応期日は依頼内容を確認してもらい制作業者に記載してもらいます。
コストと対応期日を踏まえての判断になるケースが多いので社内で承認が降りた際に実施承認に○を付けて業者に対応してもらいます。
また、細かい質問などに対しても、メールやチャットで行うと煩雑になる為、ドキュメントシートの中でやりとりをすることが好ましいでしょう。このように制作会社と、社内担当者が依頼と進捗確認が出来る体制を構築することが非常に重要になります。
また、Googleドキュメントの機能で内容が編集されると自動的にメールで案内が飛ぶ、といった設定が可能です。
図のように内容が編集されたら自動的にメールが飛ぶ設定を行うことで、常時画面を開いていなくとも社内担当者と制作会社双方が内容が入力されたタイミングで確認するといった効率的な運用が可能です。
以上が運用のポイントですが、こちらについては下記の記事で詳しく触れていますので併せてご覧ください。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
HPは今後の住宅集客戦略においてさらに重要な位置付けとなる
HPリニューアルについては4つの流れを押さえて進めることが重要である
制作業者の選定はQCDと費用相場を踏まえて決定することが望ましい
4つの流れにおいては運用が成果創出に向けて最も重要である
以上、本日は今回はホームページリニューアルの流れについてお伝えしました。
ホームページに関しては、おそらくこれからも3年に一度程度のリニューアルを行っていくことになると思います。ですから、今回説明したリニューアルの正しい流れ、あるい適切な相場を加味した上で進めていきましょう。