多くの住宅関連企業(工務店)でWEB広告を強化されていることと思います。一方で、具体的な施策を覗いてみると、設定が甘く、適切な配信がされていないケースが多く見られます。
こちらは、ある経営者の悩みです。
うちはチラシは近隣30分圏内に撒いてるよ。
確かWEB広告もエリアを決めること出来るんだよね。
だから業者さんにはチラシと同じように設定してくれと頼んでるよ。
え?それ以上の設定?
してないよ。
もっと絞りが効けばよりピンポイントにターゲットに届くのにとは思うけど。
でもWEB広告で結局どこまで対象を絞れるかなんてあまり把握していないよね。
このように外部の業者代理店に設定を任せてしまっている結果、適切な配信がされていない、ということがよく起こっています。
今回はそのような状況に対してどのような対策を行うかについて触れてみたいと思います。
では本日の目次をお示しいたします。
住宅業界の集客構造におけるWEB広告の位置付け
まず住宅業界の集客全体について触れてみたいと思います。集客構造には大きく「媒体」「販売ルート」「企画」が存在します。媒体は販売ルートにどのような手法で来場・アポにつなげるか、を指します。販売ルートは展示場や見学会・店舗など見込み客と対面接点を持つ場所を指します。また、企画は販売ルートに呼び込む為にどのような企画を行うかを指します。
企画に示している物件案内は展示場であれ見学会であれその物件を紹介するという意味合いになります。物件案内以外にも相談会やセミナー、ワークショップなど様々な企画が行われています。近年ではこの企画自体がオンライン化されつつあります。
今回のテーマになるWEB広告はまさにこの媒体における③に位置づけられます。
また、広告運用に向けては下のような広告設計を行った上で広告運用する流れが適切と言われています。今回はこの中でも「誰に出稿するのか」に焦点を当てて話していきたいと思います。
なお、全体像についての考え方は、下の記事を参照ください。
従来の広告とWEB広告の一番の違いとは?
ではまず、従来の広告とWEB広告の違いは一体何でしょうか。
下の図をご覧ください。下の図は、従来の広告とインターネットの広告の違いを示したものになります。
従来の広告、例えばチラシ・テレビCMなどの施策とWEB広告の違いは出稿対象の精度が全く違います。例えばチラシであれば、商圏エリアなどの絞り込みは出来ますが、それ以上のことが出来ません。また、テレビCMなどにおいても、配信時間や広告枠を決めることが出来ますが、それ以上のことが出来ません。
WEB広告では、さらに細かい絞り込みが可能ですので、よりターゲットに到達しやすい施策なのです。
では、どのような絞り込みが配信が出来るのでしょうか。
下の図をご覧ください。下の図はWEB広告の配信の絞り込みをまとめた図になります。
パターンが大きく4つあるので順に説明致します。
一つ目が、類似性です。自社のサイトに来ているユーザーと属性が似ているユーザーに対して広告を配信するといった施策が可能です。二つ目が、自社との関わりです。自社のホームページに来たユーザーのみに配信する、あるいは自社がメールアドレスを保有している顧客に配信するといった施策が可能です。
三つ目が属性です。年齢や性別、居住地、年収、子供の有無など詳細な絞り込みをすることが出来ます。4つ目が関心事項です。アウトドアに関心がある、スポーツに関心がある、住宅購入に関心があるといった様々な層に配信することが出来ます。
テレビCMやチラシなどは、ここまでの絞り込みが出来ない点を考えると非常に効果的な施策といえるでしょう。
では、なぜここまで具体的な絞り込みが出来るのでしょうか。
実は、下の図のようにgoogleやYahooなど各広告配信企業は、インターネット上での動きを踏まえて、統計的にそのユーザーの特性を捉えています。
実際にコチラをクリックすると、Googleがあなたをどのような人物と捉えているかが分かります。このようにWEB広告は、インターネットを経由して様々なユーザーの属性を把握しているので、ほぼた効果的な配信が可能になるということですね。
ターゲット配信における注意点
このような効果的なインターネット効果広告ですが、単に絞り込めば良いという訳ではありません。下の図は、いわゆる広告の効率性と配信のボリュームを図にしたグラフですが、当然ながら広告ターゲットを絞り込みすぎると、広告の配信数が減ってしまい、反響に繋がらないといった結果も考えられます。
ですから、むやみにターゲットを絞り込みすぎず、適切なバランスをとるということが非常に重要です。
また、法律や技術など外部環境の変化によって、大きくルールが変わることも注意点と言えます。ここでは下図の赤枠の2点の動きについてご紹介いたします。
一つ目が下図で示した通りですが、サイト訪問済みのユーザーに対して配信する広告については、個人情報の侵害であるという観点で2022年に完全に禁止されてしまうと言われています。
二つ目は技術革新の側面になります。下図はビーコンと言われる技術なのですが、例えばある自動販売機に近づくとその自動販売機の広告が配信されるという取り組みです。
このように技術革新や法律によって大きく変わりうるターゲット広告ですが、だからこそ可能性があると言えるのではないでしょうか。
WEB広告ターゲット戦略の失敗事例と成功事例
ここからはターゲットの配信設定についての失敗事例と成功事例を見ていきましょう。
下の図はある会社の広告配信の内容を設計したシートです。ペルソナを見ると、ターゲットが「30代・男女・年収600万円」そして居住地が浜松であることが分かります。一方で広告の出稿先が全国の年収300万円の見込み客に配信しており、おおきくずれていることが分かります。
このように、広告の設定自体が間違ってしまっているなどのケースが非常に多くありますので、この点を意識して運用をしていくことが重要です。
下の図は設計を見直した後のシートですが、ペルソナと配信設計が適切に反映されていることが分かります。この修正を行うことで反響数は1.5倍まで増加いたしました。この事例を踏まえて単なる設計ミスで大きな機会損失があるということがお分かりかと思います。
なお、こちらのシートの活用方法は下記の記事に詳しく解説しているので併せてご覧ください。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
従来の広告に比べWEB広告はターゲットの精度が圧倒的に高い
ターゲットの絞り込みは類似性・自社との関わり・属性・関心事項がある
ターゲット配信においては絞りすぎると配信量が減るのでバランスが重要になる
また、外部環境変化における動きも定期的に確認が必要である
今回はWEB広告、中でも、「誰に配信するか」の観点で説明いたしました。お伝えしたように、今後飛躍的に技術革新が起こる領域ですので是非今のうちに設計を強化いたしましょう。