checkbox編集を終えて

 

現在ノウフルの4月号に向けた執筆をしているが、主要な住宅企業11社の受注金額速報値(対前年同月比)が発表された。結果、マイナス企業数がプラス企業数を上回った。子育て世帯の住宅取得を支援する、こどもみらい住宅支援事業の訴求に力を入れるものの、受注環境の好転までには至っていない。

 

実際にノウフル経由で経営のご相談を毎月20社以上いただき、状況などをお伺いしているが、ほとんどの建築会社が昨年の10月あたりから集客が激減し、回復していない。このような状況下で各建築会社がどのような戦略を設定すべきなのか。今回、編集の結びとして残された紙面で適切な戦略構築にお役立ちできる考察を提唱し、本号の締めくくりとしたい。

 

なお、私は延べ15年ほど建築業界に携わり、コンサルタントとして100社以上を支援し、3000人以上の経営者と対峙をしてきた経験と見解があるものの、考察に関してはあくまで個人の意見であることは事前にご了承いただきたい。

 

checkbox太陽光発電設備の市場

 

それでは、今回も前回の続編として、太陽光発電設備の市場について考察してみたい。前回お伝えした通り、太陽光発電の需要は高まっており、今後、生活の中に浸透していくと考えられる。一方で、下の図にあるように、毎年の価格低下、あるいはFITによる固定価格買い取り制度の期間の満了などを踏まえ、「発電して売る」から、「電気の自給自足(自家消費)」へとシフトしている。

 

 

その上で、今後、重要になってくるのが蓄電システムとV2Hという二つのキーワードである。これらについて順番に見ていきたい。

 

 

蓄電システムとは、下の図にあるように、太陽光などの電力を蓄電するシステムであるが、蓄電システムのメリットは、自家消費による光熱費の削減だけでなく、災害時や停電時の非常用電源としても活用できるという点である。

 

 

蓄電システムの2020年の普及率は、新築戸建ての4%、全体の住居の1・7%と低い状況である。しかしながら、下の図にあるように、導入率増加における二つの要因がある。

 

 

一つはコストハードルの減少である。国や自治体の補助金や太陽光セット型サブスクリプション、また電力購入契約の実施などにより、コストハードルは今後減少していく見込みだ。

 

もう一つはVPPの実用である。VPPとは、下の図にあるように、各家庭に分散設置された蓄電池に貯めた電気エネルギーをまとめて発電所のように活用することを指す。

 

 

この二つの要因によって、今後の蓄電システムの導入件数は、次の図にあるように、予測値として高まっていくだろう。

 

 

次に、V2Hについて説明していく。V2Hは、下の図にあるように、EVの電力をそのまま家庭に給電する考え方を指している。

 

 

EVおよびPHVの普及率は、中国では18%、EUでは9%であるのに対し、日本では2%前後と非常に少ない状況である。

 

 

しかしながら、下の図にあるように、日本政府は2035年までに電動車の比率を100%にし、2030年までにEV充電器を現状の3万基から15万基にまで引き上げる方針を発表している。

 

 

このような動きがある中で、今後、太陽光発電設備の市場は活発化すると考えられる。

 

checkbox最後に

 

以上、今回は「住宅業界注目テーマ 太陽光発電設備について考察する」というテーマで見てきた。

 

今後は太陽光発電設備のコストハードルが減少する見込みであり、国や自治体の補助、その他さまざまな取り組みが打たれている中で、市場の活発化に目を向けていくことが重要であろう。このような状況下において「茹でガエル」にならないために、常に活用できる新しい情報にアンテナを張り、一人でも多くの建築従事者の方々にとってノウフルが貴重な情報源になればそれ以上のことはない。

 

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