編集を終えて
今回もノウフルを通して、売り上げを上げるためのノウハウを紹介してきた。ノウフルは、人・物・金に次ぐ第四の経営資源である情報を、平等にさまざまな住宅会社に伝えることができたらと思い執筆している。
また、それだけではなく、常々お伝えしているように、今後住宅業界においては集客大恐慌が到来する。そのような中で、ノウフルは、単なる販促ではなく、商品戦略・価格戦略・立地戦略を踏まえた広義のマーケティング、いわゆる「シン・マーケティング」の浸透を目的としている。今回もこの「シン・マーケティング」というテーマに沿って編集後記を記し、本号の締めくくりとしたい。
商品価格帯の重要性
今回は、シン・マーケティングの考え方をベースに、集客の仕方を論じてきた。このような考え方は単にプロモーションだけではなく、住宅の商品価値としてのハード・ソフト・ブランドを、さらに価格の観点でも見ていく重要性を示している。
価格においては、近年のインフラで原価の考え方が変わってきていることもあり、無視できないテーマになってきた。こちらについは、下の「成長率トップ20社の価格レンジ」より詳しく見ていただきたい。
この坪単価は、標準仕様・本体工事価格などは含んでおらず、外交・諸経費・地盤改良費なども別途計算、かつ消費税別で示したものである。このような見方をしたときに、40万以下が5%・40万〜50万は10%、50万〜60万は24%・60万〜70万は33%・さらに70万以上はまとめて約30%となっている。このような成長企業の価格レンジを参考に自社の商品がどこの位置づけにあるのかをよく見ることが重要であり、さらには、見せ方においてどのような条件で価格を設定しているかも注意深く確認する必要がある。
例えば、下の図は一条工務店の「HUG me」であるが、価格1,490万からの打ち出しをしており、ここでは、基礎坪単価2万円と水道延長料金を本体から除外した、200万〜300万低い数字で訴求している。これにより、ミドルコストのレンジに価格帯を抑えることができているのだ。
このように、坪単価や価格帯というのは前提の条件によって大きく振れ幅がある。例えば、坪単価が70万を超えているケースであれば、前提条件を調整することで、ミドルコストは最も成長率が高い企業と同じ価格帯で勝負をすることができるのである。
最後に
以上、今回は、住宅業界の重要テーマとして「戦略的に魅せる住宅価格のしくみ」について見てきた。
他社と比較される住宅価格の見せ方においては、商品戦略として外せない要素である。本記事にて示した内容より、自社の掲げる価格帯を必要な位置に持っていくことで、顧客の目に留まる可能性も高まるだろう。一人でも多くの建築業界従事者の方々にとって、ノウフルが貴重な情報源になれば、それ以上のことはない。
引用