今回は、住宅業界における集客の要である販売ルート戦略について見ていきます。
では本日の目次をお示しいたします。
販売ルート戦略の基本構造
下の図をご覧ください。下の図は、住宅業界における集客の構造を示しています。

まず、媒体としてのチラシ・ポスティング・ホームページ・SNSなどがあります。これらは、顧客に到達するための手段として位置付けられます。
次に、販売ルートです。単独展示場・総合展示場店舗・完成物件など、さまざまな販売ルートがあります。これらは媒体で集めた顧客を呼び込む販売場所となります。多くの住宅会社では、媒体の領域に注力するあまり、販売ルートやそこで行う企画について軽視されがちな傾向にあります。
しかし、たとえば見学会の来場が5件だとした場合、ホームページでの案内が魅力的でも、来場は2〜3件に過ぎません。しかし、見学会を2回開催すれば、来場者数は単純に2倍になります。このような観点から、販売ルートと現地で行う企画の重要性がおわかりいただけるでしょう。
下の図は、販売ルートと企画の時代の変遷を示しています。

1990年代には、ハウスメーカーを中心に総合展示場という販売ルートが主流でしたが、2000年には中小のビルダーが単独展示場を展開し始めました。また、2010年には買い時セミナーなどセミナー型の集客が浸透し、店舗への誘導という新たな販売スタイルが出来上がったのです。さらに、2015年には移動式の展示場・完成見学会などで集客するケースが増加しました。
そして近年、2023年頃には、中立的な情報カウンターなどの販売ルートが影響力を増しています。このような流れをおさえると、販売ルートと企画をマネジメントすることが非常に重要だとお分かりいただけるでしょう。
販売ルートと企画のポイント
では、販売ルートと企画における三つのポイントについて見ていきましょう。
①企画の実施率を管理する
下の図をご覧ください。下の図は、住宅業界における見学会の実施率を示しています。

実は全完工物件の55%しか見学会を実施していません。実施しない理由としては、図に示されている通り様々な要因があります。しかし、現場のハードルがあることを前提に見学会の実施率を100%にすれば、来場が2倍になるという考え方になります。この点を抑えることが非常に重要です。下の図は、住宅業界の倒産すごろくを示しています。

資本力があれば、モデルハウスを立ち上げたり、総合展示場に出店することができます。資本力がない場合は、安定的な観光があれば、見学会の実施ができますが、安定的な完工がない場合は、当然ながら集客装置である販売ルートと企画ができなくなり、倒産してしまいます。このような前提で、今見学会を実施しないことで集客ができず、負のスパイラルに陥らないかということを考えることが重要になります。このような前提で、今見学会を実施しないことで集客ができず、負のスパイラルに陥らないかということを考えることが重要になります。
では、そもそも企画がないといったケースについてはどうすべきなのでしょうか、下の図をご覧ください。

企画にはさまざまな手法があります。中でもモデルハウスでは、常設だけでなく移動式やバーチャル、常設のモデルハウスには、マルシェ・無人モデルハウス・ミニチュア展示会などがあります。
オープン時には大幅な集客が見込まれますが、経年による集客減少が課題です。一方、移動式では、最終的に建てるモデルハウスを売却するため、エリア戦略が重要になります。バーチャル展示場については、コロナ時には既に流行しましたが、時期尚早感が否めず、集客の危機管理としては難易度が高いといえるでしょう。
また、見学会では、完成見学会だけでなく基礎や構造といった段階での企画も可能です。さらに、ナイターや平日あるいは餅まきなど、さまざまな展開も可能です。また、完成見学会だけではなく、既に住まれている住宅に対して謝礼金などを支払うことで、企画の実現をすることができるのです。
②部門間連携を徹底する
下の図をご覧ください。下の図は、見学会やモデルハウスイベントのWeb広告の配信段取りを示しています。

企画自体は3ヶ月前から決定し、1ヶ月前には広告のすり合わせ、2週間前からの配信が必要になります。このような際に、広報部と営業部の連携が必要になりますが、この連携がうまく取れていないケースがよくあるのではないでしょうか。その場合には、下の図に示すように、実施日から逆算したスケジュールを営業と広報で管理し、徹底的に実行することが非常に重要となります。

③現場のハードルを解除する
モデルハウスや見学会では、現場でさまざまな細かいハードルが存在します。下の図は、見学会におけるハードルのランキングを示していますが、例えば、施主さんが嫌がる場合には、謝礼金で解決する方法があります。

住宅業界では、1件の契約につき約8万円のコストがかかると言われています。ですから、もし見学会で5件の来場が見込まれるとすれば、その企画には40万円の価値があるということになります。この考え方からすれば、10万円の謝礼金を支払うことは十分な価値があるのではないでしょうか。顧客にとっては、土日に物件を見せる代わりに10万円をもらえるなら、喜んで協力するでしょう。このような考え方を持つことでハードルを解除できるのです。

次に、物件が魅力的でないという観点です。このような観点では、集客が十分であっても物件が魅力的でなければ見学会を実施する必要はありません。しかし、集客が不足している時代においては、このような理由で見学会を実施しないことは非常にもったいないと言えます。このような観点からは、社内スタッフのマインドセットを含めて改革していく必要があるのです。
次に、外観が間に合わないという観点においては、パースを活用したチラシでも十分に集客が可能です。このような取り組みで、スピードを重視した対応を行うことが重要になります。

また、人手が足りない問題については、下の図に示すように、ほったらかし見学会といった取り組みを行うことも一つの施策として考えられます。

例えば、下の図は、年間200棟展開している住宅会社の取り組みですが、見学会の実施率は100%、つまり常時20物件ほどの見学会を実施していることがお分かりいただけます。

しかし、常駐しているのは公務や事務スタッフのみであり、このように、人手をかけない見学会の実施を実現しています。このような工夫を行うことによって、見学会の実施率を上げれば、1件当たりの総数は少なくとも来場数自体は担保できるのです。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
販売ルート戦略では、ルートと企画をマネジメントすることが重要である
企画の実施率を管理することで、実施率と来場数を増やすことができる
企画を実施するには、さまざまな手法を活用し、社内で連携して運用する
企画を実施する際には、事前に予測できる現場や関係者のハードルを下げる取り組みを行なう
以上、今回は住宅業界の集客に求められる販売ルート戦略として、考え方をお伝えしました。
今後さらに集客難が続くと思われますので、今のうちに施策を行っていきましょう。