
今回は、八つのリーダースキルの中の一つである「聴く」について、全三回にわたり解説していく。

では本日の目次を示そう。
「聞く」と「聴く」の違い
まず、目的を整理しよう。リーダーにおいて、なぜ聴く力が必要とされるのだろうか。
それは、部下を理解し、信頼関係を強固にするためである。強固な信頼関係は、組織で仕事をする上で絶対に欠くことのできない重要な要素である。その信頼関係を構築するために必要なのは、「互いの理解」である。下の図にあるように、継続して成果を上げるリーダーは、部下と協力して仕事ができる信頼関係を築いている。

こうしたリーダーは、部下の話を聞くことに多くの時間を費やしているという特徴がある。では、聴くスキルにおいて、どのような状態を目指すべきだろうか。「聴く」においては、以下のような状態を目指そう。

「きく」には「聞く」と「聴く」という表し方があるが、その違いは何だろうか。「聞く」とは耳で聞く機能的な行為であり、単に話が聞こえているだけの状態を指す。一方、「聴く」とは心で聴く行為である。例えば、部下の声の調子や表情、目の動き、身振り、発言などから、その気持ちを受け止め、理解しようと努めることである。
つまり、「聴く」とは消極的な行為ではなく、相手の感情や意見を「分かろうとしていますよ」と伝える積極的な行為である。このような行為を「積極的傾聴法」と呼ぶ。
聴く力の落とし穴
それでは次に、「きいているのにきいてくれない」という状況について考えよう。これは、リーダーと部下の認識にズレが生じているケースである。例えば、リーダーは「私は自分から部下と話すようにしている」「部下の気持ちはよくわかっている」と考えている。一方で、部下は「リーダーがちっとも話を聞いてくれない」「私達の気持ちはきっと分かっていない」と感じている場合がある。
このケースでは、例えば「あの案件はどうなった?あれはいつ受注する?」と聞いたとする。リーダーは自分が知りたいことを聞いている。つまり、部下が聞いてほしいと思っていることを聞いていない。解決してほしいことや聞いてほしいことが置き去りになっている状態である。部下はリーダーに期待していないため、本当の気持ちを話せていないのである。

最初に部下を理解するような姿勢を心掛けることが、重要である。部下と良好な関係を築けていないリーダーは、「あいつのことが分からない」とよく口にする。しかし、これはリーダーが部下を理解しようとする姿勢がないことが原因である。
「あいつのことがわからない」と言いながら、実際には「なぜ私の言うことがわからないのか」と、自分の意見を聴くよう部下に求めているのである。これでは良好な関係は構築できない。責任者であるリーダーが、まず部下を理解することから始めなければならないのである。

次回は、「聴く力の落とし穴」の続きから解説していく。
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