今住宅業界で何が起こっているのか?

 

近年、住宅業界においては、市場縮小が最も深刻な課題となっている。下の図は、NRIが出した発表であるが、2025年を境に、着工棟数が大幅に減少していくと言われている。

 

 

その原因としては、近年、深刻化している経済インフレーションと住宅業界自体のライフサイクルの衰退期への突入、さらに人口減少が挙げられる。

 

 

このような市況において多くの企業が集客を落としているが、一方で集客を増やしている住宅会社もあり、まさに勝ち組と負け組という構図ができている。ではなぜ、多くの企業は集客を落としているのか。

 

その理由は、他力集客に依存していることにある。そもそも、自力集客と、それと対になる他力集客とは何か。まず、自力集客とは自力で集客を行うケースであり、他力集客とは、他社の送客サービスを活用することである。端的に言えば、集客を作る仕組みか買う仕組みか、である。

 

 

自力集客は、自社で作成したWEB広告やチラシを活用し、自社の見学会や相談会、勉強会に呼び込む仕組みである。

 

 

一方で他力集客は、総合展示場やAカウンターを中心としたカウンター集客、Aネットなどの送客型ポータルサイトなどが挙げられる。それぞれ何が問題なのだろうか。まず、総合展示場集客から見ていこう。

 

総合展示場に依存する集客の限界

 

総合展示場は、ご存じの通り、総来場数が年々減少傾向にある。

 

 

これは、市況などの外部的な要因ではなく、実は総合展示場自体のビジネスモデルに起因するものである。総合展示場のビジネスモデルは元々、親会社であるテレビ局がCM枠を提供し、そこにCMを放映することで集客をしてきた。

 

 

しかし、近年言われている通り、テレビCMなどのマス広告の効果が低下し、インターネット広告の方がメインとなる中で、総合展示場はビジネスモデル上、「お上」であるテレビ局には逆らえず、インターネット広告を主体的に活用した集客ができないのである。結果、総合展示場に依存している住宅会社は軒並み集客を落としている。

 

 

さらに言えば、総合展示場は、いわばさまざまな住宅会社が乱立する「自動販売機」であり、自社での単独展示場と比較し、圧倒的に契約率が低い。そのような観点も踏まえ、総合展示場に依存している企業は今後さらに集客を落とすことになろう。

 

次にカウンター集客である。近年は、Aカウンターを皮切りに、顧客に注文住宅を紹介するビジネスモデルが流行っている。しかし、これらに依存することも非常にリスクが高い。まずは、フィーの高さである。一般的な住宅業界の広告宣伝費は2〜3%である一方で、カウンタービジネスにおける成功報酬は5%と非常に高い水準である。

 

 

これらを顧客の見積もりに上乗せする住宅会社もあるが、ビジネス倫理として問題ではないか。このような会社がホスピタリティを謳っていれば顧客に気付かれ、評判が広がった際、商圏からそっぽを向かれるであろう。また、このようなカウンタービジネスからの送客は良くも悪くも細かくヒアリングなどをしてくれるため、案件の質が高い傾向にある。

 

結果、営業メンバーがカウンターの送客案件のみに集中するようになり、自力集客である見学会、勉強会、相談会に呼び込むということをしなくなるのである。そのような中で、今月は集客が厳しいから広告費をたくさんかけようというような方針を立てても、送客を待つしかないため、反響自体が増えることはない。

 

このように案件のコントロールができないという点もカウンター集客の問題点なのである。長期的に見れば、さらにリスクが高くなる。それは、カウンタービジネスは参入障壁がないことである。このビジネスは初期投資などが必要なく、明日やろうと思えば誰でもできるビジネスである。

 

結果、インスタグラマーやYouTuberなど個人のインフルエンサーや、地方の広告代理店が次々に参入しているため、今後は反響自体が分散し、挙げ句の果てにはアイ工務店や一条工務店など性能特化型のメーカーに一気に持っていかれる結果となるであろう。

 

このようなことから、Aカウンターなどのカウンタービジネスに依存するというのは、企業経営においてハイリスクなのである。次に、ポータルサイトである。

 

 

住宅会社には、Aネットなど多くの資料請求型の送客型ポータルサイトが存在する。住宅会社は、そもそも資料請求からの来場ということを求めているにもかかわらず、ポータルサイト側はあくまで資料請求自体がゴールであり、それ以上のことは行わない。このゴールのずれが反響の効率悪化に影響しているのである。

 

考えてみれば、資料請求というゴールに対してフィーを払っているのに、それ以上のことをこちら側が期待するのも筋違いである。住宅会社で言えば、施工後にお金は払わないが、メンテナンスに時間を割けと言っているようなものである。また、FC本部からの送客なども同じである。

 

 

今までは、FC本部が全国規模のテレビCMなどを一斉に行い、各加盟店に送客していたが、FC本部もデジタル集客への対応の遅れからそのような取り組みは成功していない。結果、本部フィーを払っているにもかかわらず、送客がないといったケースも見られる。

 

なお、住宅業界以外では、すでにこの自力集客消滅の動きが始まっている。下の図をご覧いただきたい。宿泊業界や美容業界、結婚式業界、飲食業界などは、リクルートによる他力集客に完全に浸食され、「リクルート帝国」が築かれてしまっている。

 

 

このような中で、彼らはまるで奴隷契約を強いられているかのように、経営において「首根っこ」をつかまれているのが現状である。こうした状況下で、住宅業界が強化すべきなのは「トリプルメディア」のマネジメントである。

 

トリプルメディアとは、自社のホームページなどを指すオウンドメディア、InstagramやTiKToKなどのSNSを含めたソーシャルメディア、そしてSUUMOやタウンライフなど、お金を払って名簿を獲得するペイドメディアの3つを指す。

 

 

では、それぞれに対して、ただ単にホームページの改善や投稿、インスタグラムの投稿などを漠然と行っていればよいのであろうか。いや、そうではない。進める上で三つのポイントがある。ひとつめは指標をみるということ、2つ目が販路を見るということ。3つ目が商品を見るということである。順番に説明していこう。

 

 

指標を見るべきである

 

まず、指標を見るべきであるという点である。まず、下の図にある「エンゲージメント」という言葉を聞いたことはないだろうか。

 

 

エンゲージメントとは、ユーザーの中で何かしらの反応があった数である。例えば、ホームページにしろ、インスタグラムにしろ、自社の見込み客になり得ないユーザーがアクセスしているケースが多くある。

 

その中で、見込み客をいかに増やすか。つまり、これらの媒体の中で積極的にアクティブな動きを取っているユーザーをいかに増やすか、ということが重要なのである。

 

この数自体がエンゲージメント率となる。例えば、下の図にあるように、インスタグラムでのエンゲージメントは、いいね数、コメント数、写真保存数などである。これらの数字が多ければバズり、来場につながるという考え方である。

 

 

二つ目に、YouTubeの場合は下の五つの指標となる。これらの数字を増やせば増やすほど、住宅購入検討者の関連動画枠に表示されやすくなり、来場につながるのである。

 

 

TikTokについては、下の二つの指標となる。平均視聴時間と動画フル視聴の数値が高ければ、エンゲージメントが高く、来場につながる。

 

 

また、LINEの場合は、ターゲットリーチ数とクリックユーザー数である。

 

 

ターゲットリーチ数は、友だち数からブロック数を引いた数であり、クリックユーザー数は自社のメニューページをタップした数になる。なお、ホームページやイベントに紐づく広告においても、当然ながらエンゲージメントは存在する。ホームページでいうと、リピート率、滞在時間、閲覧ページ数である。

 

 

リピート率については、住宅は即決するような商品ではないため、慎重な顧客が多い。そこで、弊社の統計では、一回目、二回目のアクセスよりも、五回目、六回目のアクセスでやっと反響につながるケースが多い。

 

同じように滞在時間も重要であり、また反響との相関でいうと、施工事例を何ページ見たかといった施工事例の閲覧ページ数も反響と相関があるため、エンゲージメントとして重要な指標になる。

 

広告におけるエンゲージメントは、表示回数、リーチ数、クリック率、反響率となっている。これらは、Google広告やFacebook、インスタグラムなどのメタ広告も同様であり、この四つの指標を押さえることが非常に重要なのである。

 

弊社では、これらすべてのトリプルメディアの指標を数値管理し、他社の事例などを共有しながら、数値が不足している点について改善を行うといった取り組みを行っている。

 

これら指標を押さえることは、今後の集客戦略において非常に重要になってくる。特にこの中でもWEB広告の指標を外部業者に任せるのではなく、社内で管理し、改善体制を整えることが非常に重要である。理由を説明しよう。まず下の図を見ていただきたい。今後、AI革命がより加速する中で、ホームページについてはコードが不要な制作体制が構築できる。

 

 

つまり、社内でホームページをパワーポイントのように簡単に作成できる時代がすでに来ているのである。広告も同様に、Google広告を中心に社内でAIの機械学習が加速しており、ボタン一つで最適化できる時代が近づいてきている。広告運用における手数料は広告費の20%と言われているが、ボタン一つで終わる作業に広告費の20%も取られていると考えれば非常にもったいなくないだろうか。

 

このような中で、ホームページ制作会社や広告運用会社は今後、絶滅していく業種なのでありそう考えれば社内での運用体制を構築することは非常に重要なのである。

 

このような状況において、これらのWEB広告の指標についても、弊社で分析やレクチャー、改善に関するレクチャーなどを行い、内製化につなげるという取り組みを行っている。

 

販路を見るべきである

 

次に「販路を見る」ということである。先ほどお伝えしたSNSやホームページの指標については、それらを見ただけでは反響につながらないケースが多い。というのも、下の図にあるように、販促は単なる顧客の来場のきっかけに過ぎず、どこに来場させるかという販路設計が重要だからである。

 

 

つまり、入口設計だけでなく、出口設計が必要なのである。この観点でいくと、販促はKPIを指し、販路とは来場・契約といったKGI、つまり最終ゴールを指すのである。

 

 

多くの住宅会社がこの販促のKPIしか見ていないため、結局来場につながっているのかどうかという点まで分析ができていない。例えば、下の図を見ていただきたい。下の図は、コロナ前とコロナ後の完成見学会の構造の変化である。

 

 

邸宅見学会における「見栄え物件」とは、外観にお金をかけた魅力的な物件であり、「見劣り物件」とは外観に十分なコストをかけられなかった物件のことである。例えば、見栄え物件では完成見学会を行うことで集客できるが、見劣り物件では完成見学会を実施するとブランドが毀損してしまうケースもある。

 

コロナ前においては、この見栄え物件が全体の50%以上を占めており、二軒に一軒の割合で完成見学会を行うことで集客が可能であった。しかし、原価高騰や性能重視の流れが強まったため、見栄えにコストをかけられない案件が増加し、見栄え物件が大幅に減少した。そのような中で、見劣り物件で邸宅見学会を実施しても、顧客集客にはつながらなくなってきているのである。

 

つまり、従来は邸宅見学会で集客できていた構造そのものが破綻しており、現在では魅力的なモデルハウスで集客を行い、邸宅見学会はランクアップのための施策として活用する傾向が有効になっている。

 

 

しかしながら、工務店によっては、モデルハウスであっても見学・来場が得られないケースも多いであろう。このような際に、我々は「ギア理論」という考え方を提唱している。

 

ギアとは腕時計などに使われている部品であり、一つでも止まるとすべてが止まってしまう。住宅業界のイベントも同様で、イベントにはさまざまな変数が存在するため、一つひとつを改善していき、どれか一つでもギアが止まっていれば集客につながらないという前提で最適化を行っていくべきなのである。

 

例えば、下にある「フック」とは、平屋やペットといった切り口を指すが、このフックが弱ければ来場を増やすことはできない。

 

 

また、原稿やページとは広告原稿やイベントページのことであるが、その内容が魅力的でなければ来場にはつながらない。このように、10個の変数をギアとして扱い、一つでも止まらないように最適化していくことが重要なのである。

 

弊社では、このようなギア販路戦略において、KGIの指標設定、イベントカレンダーの設定、広告予算の最適化、イベントフックを含めたイベント管理、そしてギア理論に基づいた改善活動などを行っている。このようにして、販促だけではなく「販路を見る」ことが重要なのである。

 

商品を見るべきである

 

次に、「商品を見るべきである」という点である。結局、ここまでお伝えした内容を踏まえても、顧客は商品力が高い会社に来場する傾向にある。

 

つまり、下の図でいうと、販促案だけではなく、「商品」という観点で、デザイン・性能・コスパを押さえなければならないのである。

 

 

集客へのインパクトという観点では、実は商品戦略を見直すことは非常に効果的であり、これらは戦略的な取り組みと言えるであろう。

 

 

この「商品」という観点においては、従来、カテゴリーキラー戦略、すなわち性能やデザインといった一本軸で勝負する戦略が主流であった。しかし、技術革新により差別化が難しくなり、カテゴリーキラーではなく「バランスキラー」が勝ち組になっている。

 

 

このような中で、弊社では、自社のUSPに基づく「サービスコアの指針書」を作成し、それらを踏まえて、ホームページやインスタグラム、Youtube、テレビCMなどに反映させていく活動を行っている。サービスコアとは自社のUSPを一枚にまとめたものである。

 

 

 

バリューメッセージと構成要素に分かれるのであるが、バリューメッセージは一条工務店で言う「家は性能」というキャッチフレーズである。これはUSPを一言のメッセージで表現したものである。構成要素とはそのままUSPの構成要素であるが、一条工務店で言えば性能を構成するC値やUA値などを説明した内容である。

 

次のこのサービスコアを顧客とのタッチポイントに反映することが重要になる。例えばホームページやInstagram、youtube、営業ツールなどである。わかりやすい事例で言えば自分が知っている住宅会社のホームページを開いてみてほしい。その会社のUSP、つまり強みが分かるだろうか。

 

答えはNOであろう。多くの住宅会社のホームページは自社のUSPが分かりづらく、何を訴求したいのかがわからない。そのような状態では顧客に選ばれるはずがないのである。弊社では顧客タッチポイントにUSPを落とし込むところまでサポートする。そのような取り組みを行うことで集客効率が最大化されるのである。

 

 

 

今までの内容をまとめると、従来のトリプルメディアの改善という取り組みは、あくまで販促に過ぎない。それだけではなく、商品戦略や販路戦略という視点を持たなければ成果にはつながらないのである。一般的なマーケティングは、この「販促」のみを扱うことが多い。

 

しかし、弊社の定義するマーケティングは、「商品・販促・販路」という三領域を対象とする。ここを我々は「広義のマーケティング」とし、「シン・マーケティング」として提唱し、支援を行っている。

 

 

自社の取り組みが、このシン・マーケティングの領域に入っているかどうかは、今一度確認していただきたい。成果事例としては、下の図にあるように、純増数は規模によって変動があるものの、毎月5組以上の来場増加に成功している。

 

 

このような取り組みによって、金額面においては、下の図のように、毎月15万円という金額でこれらのサポートを行っている。また、契約縛りは特になく、都度更新のため、契約におけるリスクも少ない。さらに、毎月三社に限り無料サポートを実施しており、そこで判断していただくケースも多い。

 

 

以上、今回は「新マーケティング」という観点でのサポートを行う「集客顧問」サービスについて紹介した。このような取り組みに関心のある企業は、ぜひ下記から問い合わせをいただきたい。

 

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