今回も前号に続き、住宅業界におけるブランド戦略について見ていきたい。
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では本日の目次を示そう。
住宅業界のブランド戦略と認知戦略
前号でお伝えした通り、集客を増やすにはマーケティングの4P戦略が重要になる。
その中で一番重要なのは商品戦略であり、その商品戦略の中には、ブランド戦略が位置づけられている。このブランド戦略を徹底して強化することによって、集客が増えるのである。また、このブランドにおいては、認知度と好感度という要素が必要になる。
認知度とは、そのブランドを知っているかどうか、好感度とは、そのブランドが好きかどうかである。この二つが合わさって初めてブランドが成立するのである。では、このブランド戦略という観点において、住宅業界ではどのような企業が優れたブランドを持っていると感じるだろうか。多くの読者が「ハウスメーカー」と答えるのではないだろうか。
商品のハード戦略やソフト戦略はさほど変わらないにもかかわらず、ブランド戦略が優れていることによって、顧客を奪われてしまうといった悩みを持つ方もいるだろう。今回は、このハウスメーカーとブランド戦略の関わりについて見ていきたいと思う。
まず、下の図を見ていただきたい。この図は、住宅業界の主要ハウスメーカーの親会社、関連会社、そして創業年を示したものである。
各ハウスメーカーは大体1960年〜70年代に創業しており、独立系ではなく、大手メーカーの子会社や関連会社として創業している。当時のプロモーション戦略としては、手法が限られていたため、テレビCMやラジオCMなどで認知度を獲得する施策が主流であった。そのため、親会社や関連会社の資本力を武器に、一気にテレビやラジオに広告を投下するという、まさにブランド戦略の要となる認知度向上策をメインに行っていたのである。
このようにして、一気に認知度を獲得し、シェアを拡大していったのが大手メーカーのブランド戦略である。この認知度を主軸にしたプロモーション戦略は、マーケティングの変遷によって変化していくこととなった。下の図は、プロモーション戦略の変遷を示したものである。
1960年代は高度成長期により、市場がモノ不足となっていた。そのため、物を作れば売れる時代であり、特にプロモーションを工夫する必要もなく、認知広告(テレビCM、ラジオCMなど)を流していれば集客ができたのである。
しかし、1980年代にバブルが崩壊すると、モノ余りの時代へと突入した。物が売れなくなり、今まではマネジメントがメインドライバーであったのが、集客がメインドライバーとなった。この時期には、費用対効果が判断しやすいチラシなどがプロモーションの施策として台頭し、船井総研がチラシコンサルを軸に、認知ではなく獲得寄りのプロモーション事例を市場に浸透させていった。
2000年代になるとデフレ時代に突入し、市況はさらにモノ余りが加速した。この中で、翻訳家である神田昌典氏が、海外から「ダイレクト・レスポンス・マーケティング(DRM)」という反響を直接獲得する広告手法を輸入し、より一層、費用対効果を重視したプロモーションが主流となっていった。
タマホームのブランド戦略
このように、大手メーカーは莫大な資金を投じて認知広告を行っていたが、その費用対効果が不透明であったため、多くの企業がチラシなどの獲得型広告へとシフトしていった。そうした中、後発ながらメーカーとしてのポジションを確立したのがタマホームである。
タマホームは、1960年〜70年代のメーカー創業ラッシュ期ではなく、1998年に創業し、ローコスト戦略で成長した。なぜ、タマホームは後発でありながらもハウスメーカーになり得たのだろうか。下の図を見ていただきたい。
これはタマホームのテレビCMを活用した認知戦略をまとめたものである。多くの企業がチラシなどの獲得媒体へシフトしている中、タマホームは地場の住宅会社としては珍しく、積極的に認知広告を展開していった。その中でも、一次取得者層だけではなく、団塊層やリタイヤ層の購入相談を見据えた広告や、最近では0次取得者層に向けた広告などを打ち出している。このように、時代と逆張りの認知戦略を徹底的に行うことによって、認知度を獲得し、ブランドを築いていったのである。
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