ひかり工務店は、大阪府北部の北摂エリアを中心に、 新築の注文住宅事業とリノベーション事業を核として、地域から厚い信頼を獲得している。 お客さまの豊かな暮らしと幸せを追求し、業界の固定概念にとらわれず、 常に新しい技術や工法・建材・デザインなどを取り入れた独創的な家づくりを目指している。 今回は同社の代表である、清水 洋人氏(代表取締役)に 取り組みや販​​売における考え方、 経営のモットーなどについてお聞きした。(聞き手:ノウフル編集長狩野)

 

 

ーまず御社のサービス概要を教えてください。

 

弊社は、大阪府全域から兵庫県・京都府を拠点として住宅事業を展開しています。エリアは車で1時間ほどで、業態は注文住宅とリノベーションです。注文住宅においては、一件の平均が28坪、平均単価は税別3800万円で展開し、年間40棟ほど販売しています。リノベーションについては、税別2600万円で23棟ほど販売し、その他にもマンション事業として、1200〜1400万円の物件を10件販売しています。全体で70〜80物件を供給し、売り上げは24〜25億円になります。

 

ーありがとうございます。御社の特徴についてお伺いさせてください。

 

弊社は、集客戦略において他社よりもSNSに強い特徴があります。実際に、インスタグラムはフォロワーが9・8万人おり、集客の8割強はインスタグラムを経由しています。具体的に言えば、新築だけで月25〜30組の来場があり、マンションリノベで月20〜25組、合計50組ほどの来場があります。また、採用においても、企業説明会をストーリーズで案内すれば、2日で全国から20人ほどの申し込みが届きます。

 

このような実績があるため、インスタグラムはさまざまな領域で活用しています。なお、インスタグラムからの契約率は約26%ほどであり、今は契約率30%を目指して活動しています。広告だけでなく、ほとんどがアカウントからの来場になっているため、1件あたりの来場コストが3万円を切っています。

 

 

ー素晴らしい成果ですね。インスタグラムに注力すると意思決定をされた背景はあるのでしょうか。

 

私自身、中小の工務店においてはブランドイメージが最も重要であると考えています。かつては、ローコスト・無添加・断熱・デザインといった差別化戦略が有効でしたが、今は商品戦略自体もコモディティ化しており、機能や品質に差をつける時代も終わったのではないでしょうか。実際に、昔は建売と注文で品質に大きな差がありましたが、今は全く差が出ない状況になっています。

 

これは近年の携帯電話市場に似ており、毎年iPhoneの新機種が出ていますが、その違いが分かる方は少ないのではないでしょうか。差別化戦略は、コストをかければ他社との差別化ができますが、コストをかけること自体、大手ハウスメーカーでないとできません。だからこそ、工務店はブランドイメージで勝負すべきだと考えました。このブランドイメージを表現する上で、インスタグラムが最も有効だと判断し、インスタグラムに注力するとの意思決定をしたのです。

 

 

ーなるほど。差別化が難しくなる中で、お客様の比較・検討の対象から埋もれないようにブランドイメージを作るのですね。具体的には、どのようにインスタグラムの運用に取り組んでいるのでしょうか。

 

方法は大きく分けて二つあります。一つ目は世界観を作ること、二つ目が投稿の頻度を意識することです。

 

一つ目の世界観については、単におしゃれにすれば良いというわけではありません。弊社も元々は性能を打ち出した戦略を展開していましたが、10年前にデザインを強化するようになりました。その上で、単におしゃれにするのではなく、見せ方を意識することが重要だと考えました。例えば、インスタグラムには社員が撮った写真は使わず、当然ながらプロが撮った写真しか掲載しません。

 

また、日常のイベントは世界観が崩れてしまう可能性があるため全く載せませんし、ルームツアーなどポップなものは、バズったとしてもイメージが違うため、載せないケースもあるのです。このように、世界観を訴求することが重要になります。例えば、会社によって、自社のUSPがデザインではないケースもあります。アフターサービスが強みの会社であれば、アフターサービスを訴求した世界観を作り上げることが重要ですし、アットホームな雰囲気がUSPの場合は、お客様との関わりに関する内容をたくさん掲載するなど、自社のUSPに沿った世界観の作り上げが必要です。

 

 

二つ目の投稿頻度ですが、1日に最低1物件の投稿を意識しています。ただ、1日1物件となれば、年間で360棟以上の着工が必要になります。弊社にはそこまでの棟数はありません。どのようにするのかというと、見栄えの良い物件などを比較的優先順位を付けて細切れで複数掲載するなどしています。

 

ーなるほど。そのような細かな取り組みが、素晴らしい成果につながっているのですね。他にブランディングの観点で取り組んでいることはあるのでしょうか。

 

ブランディングにおいては、インスタグラムだけでなく、お客様とのタッチポイントをそれぞれ意識しています。その上では、「一貫性」のキーワードを意識することが重要になります。お客様とのタッチポイントは多岐にわたりますが、チラシや雑誌・インターネット広告など、さまざまなタッチポイントがあり、その中で一番大きなものがホームページです。

 

多くのお客様は、インスタグラムからホームページに遷移し、資料請求を経由して来場につながります。この過程で一つでも違和感があれば、お客様は不信感を抱き、来場には至りません。例えば、ホームページに限らず、インスタグラムからホームページ、資料請求を経由して来場したとしても、事務所がおしゃれでなければ一貫性がないという理由で他社に移ってしまいます。ですから、お客様とのタッチポイント全てに、一貫性を持たせることが重要になるのです。

 

 

近年のお客様の消費行動は、タイパという言葉が表すように、「検討にあまり時間をかけたくない」との意見が多く見られます。ですので、事前に自宅で細かい情報収集をして、一社が良ければ家族で一緒に決めるような時代になりました。そのような背景のもと、弊社では、いかにお客様のタッチポイントに違和感を持たせないかについて徹底しているのです。

 

弊社は、一貫性を持たせるため、高額なハイエンド商品もローコスト商品も展開しません。他社と同じ土俵で勝負をしないということですが、ブランディング、さらに広く言えば、マーケティングとは、選択と集中なのです。何をやるかではなく何をやらないかを決めることが重要ではないでしょうか。

 

ー中小工務店の目指すべき方向が明確になる考え方ですね。最後に今後の事業展望について教えてください。

 

 

今は新築事業を展開していますが、今後は物価が高くなることで、棟数が頭打ちしていくと予測しています。その上で、地場での展開が前提となり、ハイエンドやローコストではなく、戸建てリノベーションやマンションリノベーションで展開していくことが重要になるのではないかと考えています。

 

ひかり工務店が、おしゃれなブランドイメージに沿って展開を行う中でも、市場としてはマンションリノベーションが増えていくでしょう。ですので、こちらを強化すると共に、各事業を自社でも展開してブランドイメージを強化する必要があります。このように、非住宅事業においても、ブランド戦略を踏まえた展開をしていきたいと考えています。

 

ー今後の益々の事業発展が楽しみですね。本日はありがとうございました。

 

株式会社ひかり工務店


ひかり工務店は、大阪府北部の北摂エリアを中心に、新築の注文住宅事業とリノベーション事業を核として、地域から厚い信頼を獲得している。お客さまの豊かな暮らしと幸せを追求し、業界の固定概念にとらわれず、 常に新しい技術や工法・建材・デザインなどを取り入れた独創的な家づくりを目指している。

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