静岡県を中心に注文住宅を販売している百年住宅。独自の工法を軸としたVC展開などのチャレンジを続ける住宅業界を代表する企業。今回は同社の代表である中嶋社長に現在の取り組みや中長期の戦略、住宅業界の未来に対してのお考えなどについてお聞きした。(聞き手:ノウフル編集長狩野)

 

ーまず、御社のサービスについて教えて下さい。

 

はい、弊社は静岡県を中心に宮城・愛知・岡山・広島・山口・福岡・熊本・沖縄と広く展開しており、棟数は年間で250棟ほどです。コンクリート住宅に特化して戸建て注文住宅を販売している点が特徴的です。

 

 

 

ーありがとうございます。コンクリートという珍しい工法を扱っておられますが、扱い始めたきっかけなどあれば教えて下さい。

 

 

 

日本の住宅の耐久性の弱さに課題認識を持ったということがきっかけです。欧米の住宅などは百年以上住み続けるのに対し、日本の家は「建てて壊してまた建てる」といった”スクラップ&ビルド”の繰り返しです。

 

このようなサイクルが続く限り日本人は住宅によって貧乏になり続けるのではないかと感じていました。さらには日本は「災害大国」であり毎年の様に発生する地震や台風などの災害により住宅が損傷し、建替え修繕費用に苦しむ人がいるのが現実です。

 

我々はこれを”住宅災害貧乏”と呼んでいますが、このような不幸の連鎖を断ち切れないかというのが当初のきっかけです。このような中でWPC工法というプレハブコンクリート住宅に出会い、これこそが日本の“住宅災害貧乏”を救う唯一の工法と惚れ込んだのです。

 

 

本来、家はどんな時にも住む人を守ってくれるものです。それにも関わらず家が凶器となり住む人を押しつぶしてしまう様な不幸を招いてしまうということは耐え難いことです。このような不幸を少しでもなくすためにどんな巨大災害が起きても百年住む人を守る家を造り続けています。

 

ーそのような思いが社名の百年住宅に繋がっているのですね。

 

 

そうですね。親子三代という孫の代までバトンを渡せる家として想像できる時間軸が百年と思っています。百年と考えると様々な災害が来ますがそどんな災害が来ても百年間無傷という強さが必要です。

 

ー熱い思いで経営に取り組まれているのですね。一方で社内メンバーが同じ水準で意識を持つために行っていることはありますか?

 

現場を見ることを大事にしています。例えば国内で災害が起きると皆で被災地に赴くようにしています。早期支援の位置付けでもありますので必ず1週間以内に現地に行き、支援を行います。また、支援だけでなく家がどのような被害を受けているのか、などを把握するようにしています。

 

 

このような中でWPC工法の家が無傷である状況を社員が目の当たりにするわけですが、そこで社員はWPC工法の素晴らしさを実感しています。実際に多くの社員がは皆百年住宅で自宅を建てています。

 

また、被災された施主様の声を聞くということも重要視しています。両隣が火災でも助かった・・・一階が土砂に埋まったが無事だった・・・避難所の方が怖い・・・などの話を聞くと社員は自社の住宅に誇りを持ちますし、我々の家は世の中の役に立っていると実感します。

 

ーありがとうございます。住宅業界を変えるべくVC展開も行っているとお伺いしました。

 

 

VC展開を始めた背景にも災害から住む人を守りたいという理念があります。東日本大震災で街全体が消滅する中でもコンクリート住宅は津波に流されなかったという現実を見た時に、もっとこの工法を広めていればこんなに悲しむ人がいなかったのではと痛感し、全国供給できていないもどかしさが常にありました。

 

自社の収益効率のみを優先すれば、静岡県内だけで事業展開をするのがベストです。しかし、「日本の住宅はもっと強くもっと長持ちであるべきだ」という使命感が勝りました。このような熱い想いがあり、現在ではWPC工法をオープンにし全国展開を行っています。

 

VC展開を広めていく重要なポイントはなんですか?

 

全国の工務店の皆さんが扱いやすいプレハブ住宅(工業化住宅)である事がポイントです。製造はすべて愛知と鳥取の自社工場で行っており、厳格な品質チェックを行っています。品質チェックをクリアした上で全国へ運送され後はボルトで組み立てるだけです。熟練の技術は不要で、建て方はわずか5日間で完了します。

 

 

また、加盟店の皆さんが売りやすいように様々な差別化のサービスを行っています。有料メンテンナンスが不要な35年無条件耐久保証などがそれにあたります。日本唯一のコンクリート住宅のVCということもありますが、1年足らずで既に60社以上加盟してくれていることを見ると非常に市場に求められていると実感します。

 

日本優良ビルダー普及協会(以下JGBA)の副会長もされていますね。どのような思いで立ち上げに参画されたのですか?

 

きっかけは危機感です。住宅業界のマーケットは必ず縮小します。その中で同じ商品を同じ場所で同じように販売していたら衰退しかないという危機感です。私が常々言っているのですが、JGBAは成長の情報が溢れかえっている情報の宝箱です。成功事例だけでなく経営者の生の失敗談も聞けるので私自身とても刺激を受けています。

 

VC展開やエリア拡大など新規事業の取り組みもJGBAがきっかけです。事業にはワクワクが必要だと考えていますが、まさにワクワクする未来を描くための多くのきっかけを頂いています。会社がチャレンジする姿勢でいれば社員もワクワクします。そういう意味では常に切磋琢磨しながらJGBAの仲間たちと常に成長し続けたいですね。

 

ー今後の事業展望について教えて下さい。

 

 

一つ目は住宅業界のコンクリート住宅の割合が少ないのでシェアを25%まで上げていきたいですね。日本のコンクリート住宅といえば百年住宅グループだと言われるレベルまで高めたいと思っています。日本においてコンクリート住宅はニッチです。一方でニッチだがだからこそ大きなチャンスがあると感じています。コンクリート住宅のシェアを高めることで日本全体の家の耐久性が上がり、建て替えの必要がない社会にしたいと考えています。

 

ニつ目に世界を目指したいです。今はベトナムに拠点を構えて事業の幅を広げていますが、今後ベトナムだけで300棟、1,000棟を目指したいと考えています。いずれは海外の売上が日本の売上を超えるところまで目指したいですね。国内においてはコンクリート住宅と相性が良い沖縄を重点エリアとしており、沖縄のシェアも高めていきたいと考えています。台風が多く、RC建設の人件費も上がっているので今は非常にチャンスだと考えています。

 

三つ目に3Dプリンタ住宅ですね。職人不足・材料の高騰の中で今後需要が大きく伸びると確信しています。価格・スピード・デザインそれぞれに大きな変革をもたらすと感じています。なかでもデザインについてはは従来の直線ではなく曲線のデザイン平面計画が可能になるので建築業界の常識が大きく変わるでしょう。

 

 

 

ーまさにワクワクする事業展望ですね。このような戦略を描く際に心がけていることはありますか?

 

そうですね。変化を受け入れることが重要だと考えています。変わることから逃げても何も生まれませんし、何より実際に住まう人がどうすれば幸せになるのか、その為に我々販売事業者が何をすべきかという視点で常にチャレンジをすべきだと考えています。

 

ー本日はありがとうございました。

 

百年住宅

百年住宅株式会社は、静岡県静岡市に本社を置く日本の住宅メーカー。静岡県を中心にコンクリートプレハブ工法による鉄筋コンクリート構造の一戸建て住宅(注文建設および建て売り)を取り扱う。

 

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