checkbox編集を終えて

 

現在ノウフルの7月号に向けた執筆をしているが、主要な住宅企業11社の受注金額速報値(対前年同月比)が発表された。結果、マイナス企業数がプラス企業数を上回った。子育て世帯の住宅取得を支援するこどもみらい住宅支援事業の訴求に力を入れるものの、受注環境好転までには至っていない。

 

実際にノウフル経由で経営のご相談を毎月20社以上頂き、状況などをお伺いしているが、ほとんどの建築会社が昨年の10月あたりから集客が激減し、回復していない。このような状況下で各建築会社がどのような戦略を設定すべきなのか。

 

今回、編集の結びとして残された紙面で適切な戦略構築にお役立ちできる考察を提唱し、本号の締めくくりとしたい。なお、私は述べ15年ほど建築業界に携わり、コンサルタントとして100社以上のご支援、3000人以上の建築経営者と対峙をしてきた経験と見解があるものの、考察に関してはあくまで個人の意見であることは事前にご了承いただきたい。

 

checkbox外部環境変化に見るターゲットの二極化

 

近年、コロナや住宅の価格高騰といった外部環境の変化が多く取り沙汰されている。この外部環境は住宅業界の戦略にどのように影響するであろうか。まず押さえるべきはターゲットの変化である。外部環境の変化によってターゲットの属性が大きく変わる。このターゲットには様々な捉え方があるが、少なくとも2つの属性から押さえることが好ましい。今回は外部環境の変化によって10年後、どのような二極化が生じるかを論じてみたい。

 

まず最初に消費における所得層の二極化である。ここでは高級消費とコスパ消費という二つの傾向に分けることができる。高級消費は富裕層・パワーカップルによる坪単価150万円以上の建築家住宅などの購入を指す。コスパ消費は中低所得層による坪単価30万円からのローコスト建売セミオーダーなどの購入を指す。

 

 

このように、消費に関しても所得層によって大きく二極化していくという観点を抑えなければならない。また、資産型とバランス型である。先ほどお伝えした所得カテゴリーの中にさらに資産型とバランス型といった分け方ができる。資産型は資産を重視し、駅近の利便性の高い物件を高単価高価格で購入するケースである。

 

一方バランス型は、郊外でも周辺環境の良い物件を価格バランスを踏まえて購入するというケースである。このような属性の違いによって、打ち出し方が大きく変わるという観点が押さえる必要抑えることが重要である。そして中心部型と郊外部である。中心部に関しては、東京都心部など富裕層やパワーカップルによる購買を指し、郊外部に関しては高騰する住宅コストを踏まえ、郊外へ移り住むという傾向を指す。

 

このように指向性が二極化しているのは、特にコロナなどによる影響があるが、こちらについてさらに深く見ていきたい。下の図は、転入超過エリアを掲載したものである。例えば都心部方でいえば、東京が転入超過となっている。しかし、よく見ると状況が変わってくる。15から29歳が9万人の転入超過である一方で、他の世代は全て転出超過(5.2万人)なのである。

 

 

特に30代から40代(2.1万人)と、0から14歳(1.1万人)と子育て世代からの転出が目指すということである。
そして副都心型の転入超過エリアは、神奈川千葉埼玉である埼玉への12,458人を筆頭に、東京からの転入超過が24,800人と、全体の56%を占める。

 

そして地方型に関しては長野や茨城を指す。交通の利便性と割安な住宅費で、転入超過である60代の転入超過は東京を超える数字となっている。シニア層による地方証書を喚起することで、仕事の創出に繋がり、若い人は呼び込むことができるといった考え方ができる。

 

次に、オフィス勤務とテレワークという二極化である。近年はアフターコロナというふうな位置づけをされている中で、オフィス回帰議論により増加傾向にあるのがオフィス勤務である。一方で、テレワークという風習も浸透し、定着をしている傾向にあり、職住一体型で、郊外での住宅ニーズの増加、そして住居内ワークスペースの確保、広い間取りなど住宅住環境に対する考え方が大きく変わっている。

 

 

次に、ミレニアム世代とZ世代である。ミレニアムについては、コスパ重視・モノよりコト重視ということ傾向にある。家庭内にサードプレイスを設置するといったニーズであるとか、カスタマイズ好き所有欲の薄さにより、自由さと手軽さでシェアハウススモールハウスなどの需要も増加している。

 

そして、さらに次の世代であるZ世代については、デジタルネイティブ、ソーシャルネイティブと言われ、SNSで映えさを発信できる住宅に対する需要が大きい。多様性を重視するまた、タイムパフォーマンス重視。多様性やタイムパフォーマンスを重視し、することでにより、システムキッチンより簡易キッチン連休圧力鍋など需要調理機器の時、需要が広がる。
このように、外部環境の変化によって様々な顧客の二極化というものが、今後さらに拡大する。自社がどのような顧客をターゲットにして、どのような戦略を打ち出すのかという点については、今このタイミングで改めて見直しを行うべきではなかろうか。

 

checkbox最後に

 

このように、今後、棟数が減少していく中で、規模によって狙うべき戦略オプションが変わってくるであろう。また、外部環境における深刻度も大きく変わる。繰り返しになるが、今後の市場を見れば「現状維持は後退」であり、何もしなければ競争の中で淘汰されてしまう。

 

このような状況下において「茹でガエル」にならない為には常に危機感を持ち、ヒト・モノ・カネに次ぐ「情報」についてアンテナを張ることが重要であり、一人でも多くの建築従事者の方々にとってノウフルが貴重な情報源になればそれ以上のことはない。

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