住協グループ(株式会社住協、住協建設株式会社、株式会社住協ホールディングス、P・R保険パートナーズ)は、 埼玉県・東京都を中心に、宅地開発・分譲・注文住宅・リフォーム・リノベーション・仲介・売却・賃貸・保険など 住まいに関わる全てをワンストップサービスで提供している。 価値ある住環境を創造し、地域の発展に貢献すべく、安心・快適な家づくり・街づくりを手がけている。 今回は同社の尾崎正樹氏(株式会社住協専務取締役)に 事業での取り組みや販売における考え方、経営のモットーなどについてお聞きした。(聞き手:ノウフル編集長狩野)
ーまず御社の事業概要を教えてください。
弊社は埼玉県・東京都を中心に展開しており、年間着工棟数は戸建てが約600棟で、累積は1万6000戸を超えます。売り上げはグループ全体で約1000億円ですが、戸建て(売り建)以外にもグループ内では、ビル・マンション事業などさまざまな事業展開をしています。直近の決算では売り上げが過去最高となり、非上場ですが、ROEは14・5%を維持しております。(第45期決算公告にて)
ー素晴らしい功績ですね。正しい経営を行なわれている結果なのでしょうが、経営において、心がけていることはございますか。
経営で心がけている点は大きく二つあります。「本業の軸をぶらさない」こと、「事業・人に対して時間をかけ育てる」ことですね。
ーなるほど。まず一つ目について教えてください。
はい。弊社は元々、不動産事業という位置づけから事業をスタートしました。ですから、不動産業界特有のフルコミッション営業や歩合営業と言われる、金銭報酬を軸とした販売体制を長年採用しております。報酬額は業界平均と比較しても高めで、一例ですが、販売が2棟で100万円を超える報酬を得ている営業マンもおります。一方で、このようなスタイルは時代に合わないという声もよく耳にします。
確かに、働き方改革や、高歩合だけのブラック企業などの横行といった社会問題を鑑みると、このような体制を見直す企業も増えてきたように思いますし、弊社でも一時期、見直しの検討をいたしました。しかし、やはり軸をぶらすことなく、今も業界平均よりも高めの設定での報酬制度を維持しています。結果、振り返ってみればそれが今の成長に大きく寄与していると思います。
企業戦略において、外部環境に適応しながらも、事業のコアになる部分についてはぶれることなく守り続けることが重要だと改めて感じています。そのような中でも、企業規模が大きくなると、報酬よりも安定を期待して入社するケースが増えます。その際は、社内で稼ぐこと本来の重要性を教育し、金銭報酬によるモチベーションを高めています。
ー素晴らしい取り組みですね。具体的にどのような教育をしているのでしょうか。
具体的には、「稼ぐとは何なのか」について教育しています。大げさに言えば、資本主義社会に生まれてきて、資本主義を否定できるはずがありません。ですから、稼ぐことの重要性と社会貢献に対する意味を根本的に教育しているのです。近年は営業マンの草食化などと騒がれていますが、弊社ではこのような教育体制により、販売活動に意欲的な営業メンバーが多く在籍しているのが特徴的です。
ーなるほど。一方で金銭報酬によりホスピタリティなどが欠如した営業が増えるなどのリスクはあるのでしょうか。
全くありません。金銭報酬意欲が高い営業はクレームが多いとのイメージをお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、実際のところは違っています。優秀な営業マンほど、丁寧な対応をしているのが事実です。例えば、弊社では年に3回、営業マンを表彰しているのですが、トップセールスほどお客様や社内メンバー、家族など、周りに対する感謝の意を口にしているケースが多いのです。
ーそうなんですね。営業メンバーは、住宅営業でキャリアを積んでいたメンバーが多いのでしょうか。
半々ですね。中途採用で入社した社員の中には、家電や自動車販売、宝石販売など、異業種から来たメンバーも多くいます。過去の経歴に関係なく、ホスピタリティーを意識している営業マンは、お客様から契約をいただく機会が多いです。
ー店長など、管理職も同じ歩合での評価なのでしょうか。
支店長は仕入れなども行うバイヤーの位置づけでもあるので、利益評価にしています。また、チームプレーで稼ぐことが重要ですが、支店長自ら部下の案件を対応することもあります。部下を育てる動機づけにつなげることを目的としています。弊社としては、支店ごとにチームプレーで稼ぐ方針でおり、支店長は利益評価にしています。
ー次に、「事業・人に対して時間をかける」点について伺っても宜しいですか。
はい。弊社では多角化戦略を採用しており、10年以上前から売り上げ1000億円を目指していました。今年がちょうど10年になるタイミングで、予定していた半分の人員でこの目標値を達成しています。一人一億円の売上額と考えると壮大な目標ではありましたが、達成した成果を非常に感慨深く思います。
多角化に向けては、「トップ営業(トップが先頭に立ち営業を行うこと)」と我々は言っていますが、経営陣が自ら営業を行う姿勢が重要であると考えています。トップ営業を行う上では、思いつきではない裏打ちされた経営判断やチャレンジが必要であることはもちろんですが、最も重要なことは、人材も事業も諦めずに時間をかけ育てることだと考えます。実際に、弊社の民間型区画整理事業には5年、ワンルームマンション事業が収益化するまでには10年かかっています。
時間をかけるという意思決定は非常に難しく、その分、同じ事業に取り組む競合が多くいません。そういった点も追い風になっています。結局は短期的な利益ではなく、大局的な視野で事業を見ることが重要で、いかなることも、鍾乳洞の水のようにじっと耐えて積み上げる、ウイスキーのように時間をかけて熟成させることが重要であると考えています。人も同様です。今は変わらなくとも10年後には変わるのではないか、と社員を信じ、根気よく向き合うことが大事です。
ーありがとうございます。最後に今後の展望について教えてください。
今回、1000億円という一つのステージをクリアしましたが、次のステージは人を育てることに徹したいと考えています。今後、多角化を強化していく上で社員全員がチャレンジできる体制が重要です。そのためには既存の事業で資本体力を高めていかなければなりません。ですから、これからのメンバーが積極的なチャレンジを行える体制を私達の世代でつくっていきたいと考えています。
ー本日はありがとうございました。
住協グループ
住協グループ(株式会社住協、住協建設株式会社、株式会社住協ホールディングス、P・R保険パートナーズ)は、埼玉県・東京都を中心に、宅地開発・分譲・注文住宅・リフォーム・リノベーション・仲介・売却・賃貸・保険など住まいに関わる全てをワンストップサービスで提供している。