悠悠ホームは、福岡県を中心に木造住宅を専門に手掛けるハウスメーカーである。 完全自由設計の自由度の高い住まいを実現しながらも、 高気密・高断熱、高い耐震性など住宅性能も申し分ない家づくりを届けている。 今回は同社の代表である、内山賢一氏(代表取締役)に事業での取り組みや 販売における考え方、経営のモットーなどについてお聞きした。(聞き手:ノウフル編集長狩野)

 

ーまず御社の事業概要を教えてください。

 

 

弊社は、主に住宅の販売を行っています。売り上げは約140億円、現在の年間着工棟数は350〜400棟で、社員数は約300名です。住宅の内訳は、注文住宅300棟、建売住宅50棟を販売しており、最近ではWeb住宅というWeb完結を目指した体制で20棟ほど販売しております。事業内容としては不動産流通工務店がメインで、その他にも、不動産やリフォーム・保険・太陽光・資産運用を展開しています。

 

ーWeb住宅という言葉が非常に魅力的なのですが、内容とそのような発想に至った経緯を教えてください。

 

 

コロナ禍が始まった時期にはお客様と会う機会が減り、集客も大幅に減少しました。そのような中でも住宅を販売していかなければならず、対面で会う機会を最小化する点に着目しました。そこでできたのが「イコール」というWeb住宅です。

 

ネットで完結できる商品であり、従来のようにモデルハウスにお客様を来店誘導し対面で話すのではなく、Webで集客をしてZoomで営業をするスタイルです。お客様はZoom営業の前に会員登録をし、間取りや外観・内観の確認、金額のシミュレーションをします。弊社では、この情報を元にZoom上できめ細かな営業を実現しています。対面での営業となるとどうしても競合他社が出てきますが、ネットで完結できる仕組みを作ることで、競合が少ない中で有意義な営業活動ができています。

 

ー会員登録や資料請求など非対面の反響は来場に向けた施策が必要ですが、どのように工夫されているのですか。

 

 

弊社では、電話を行う専任部隊(以降、インサイドセールス部隊)を配置させています。この部署については新卒社員をメインに構成しました。従来の営業が合わないメンバーもいた中でインサイドセールスに挑戦してもらったところ、活躍するようになったのです。現在、この部署は若手を中心に専任部隊8人で構成しています。

 

当時は業界のマーケットが縮小していく中で収益が落ち、歯止めをかける政策が必要でした。インサイドセールスを始めた今では、リード獲得できたお客様の契約率が高まり、実績を出せています。具体的には、月200件程度の反響で、50〜60件程度の来場、つまり来場率30%を確保できています。元々は営業メンバーが反響獲得、電話誘導、営業活動と全て行っていましたが、どうしても営業活動以外は二の次になってしまいます。ですから、反響獲得はマーケティング部門、電話誘導はインサイドセールス部隊、と部門を分けたことが功を奏しました。

 

また、インサイドセールス部隊の中には、Webの資料請求で反響が取れたお客様の担当者以外に、リサイクル担当がいます。初回接客をして次アポを取れなかった営業上での没のお客様を追ってもらっています。実は、お客様の中には、自社の商品に関心はあるものの、初回の営業担当が合わなかったことで次につながらないケースが結構あります。ですから、追客するタイミングをよく分析してリサイクル担当がアプローチを行うのです。この流れで対応してからは獲得率が高まり、かなり成果が出ました。

 

 

ー素晴らしい取り組みですね。電話をすること自体にあまり抵抗は持たれなかったのですか。

 

そうですね。8人のモチベーションコントロールのために、見込みの高いお客様への対応やシステムの活用など工夫していますので、その点は問題ありません。

 

ーありがとうございます。次に、具体的な契約率について教えてください。

 

ホームページから来場予約できたお客様の成約率は6〜7%である一方で、インサイドやリサイクル経由で入るお客様の成約率は高くて15%まで伸びるので、3倍近くの違いがあります。

 

ーこのような取り組みを行う上で意識していることはありますか。

 

やはり情報を積極的に取るように心がけています。そもそも業界自体が情報に対して閉鎖的であると感じています。弊社も以前まではそのような傾向にありました。しかし、今の社会では情報が武器ですので、他社からの情報共有を受けることも重要であると考えています。

 

 

ー全国ビルダーフォーラムという取り組みへの参画もそのような背景からでしょうか。

 

そうですね。弊社の会長はフォーラムの会長と創業期からの知り合いで、当時から積極的に勉強会に参加していました。全国ビルダーフォーラムへ参加する多くの会社には、やはり同じような経営課題があるように感じます。売り上げや人数、その地域性などの違いはあれど、そこでの情報交換が弊社にとっても非常にプラスの要素として役立っています。また、3カ月に一度の定例会で各社の視察を行ったり、個人的に社長の方々とコミュニケーションをとらせていただくことで、地域ごとの取り組み事例などを参考にしています。

 

ー最後に、今後の展望についてお伺いしてもよろしいですか。

 

奇しくもちょうど今、悠悠ホームが悠悠ホールディングスとして本格的に稼働することになりました。業界の市場縮小などを踏まえると、やはり住宅事業以外にも事業を広げていくために、弊社のコンセプトである「健康になる住宅」を軸に、ヘルステックな部分を事業として展開していきたいと考えています。

 

 

また、住宅事業のフロー型ビジネスには限界があり、ストック型のビジネスにシフトしていくことも重要です。弊社の場合だと、お客様からは「健康になる」という部分に共感していただいています。健康志向に着眼点を置いた商品やサービス、例えば化粧品やジムなど、違った分野にも事業を展開していきたいと考えています。このような既存のお客様に根ざしたビジネス展開が今後の鍵になってくるのではないでしょうか。

 

また、弊社には「三十人、三十億の社長を作る」というビジョンがあります。まずは、今後グループ会社を作る中で、経営者を増やしていきます。そういった人材育成はもちろんですが、悠悠ホールディングスとしてできる、健康を軸とした社会貢献を目指しています。

 

ー本日はありがとうございました。

 

悠悠ホーム株式会社


悠悠ホームは、福岡県を中心に木造住宅を専門に手掛けるハウスメーカーである。完全自由設計の自由度の高い住まいを実現しながらも、高気密・高断熱、高い耐震性など住宅性能も申し分ない家づくりを届けている。

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