株式会社クリエイト礼文は、山形県を拠点に展開する住宅会社で、主力事業であるユニテハウスは同社の基盤を支えている。山形県内において15年連続着工棟数No.1、仙台市においても多数の実績を誇っており、総社員数は129名である。また、不動産や地方創生事業にも注力し、自治体連携案件や公共性の高い取り組みにも積極的である。今回は、同社の代表である大場友和氏に、取り組みや販売における考え方、経営のモットーなどについてお聞きした。
―まず、御社の特徴をお伺いさせてください。
弊社は、山形県を中心に、注文住宅を施工・販売しています。年間約170棟のペースで供給しており、建築部門での売り上げは全体の65%を占め、会社の基盤を形成しています。
フランチャイズも展開していますが、全国拡大のフェーズを終え、現在は全国拡大よりも「選択と集中」による質の高い展開を行っています。また、建築部門以外にも、地方創生事業として不動産20%、特建10%、合わせて約3割となっています。全体売り上げとしては66億円前後となっています。
―幅広く展開されているのですね。既存の事業と地方創生事業は、どのようにリンクしているのでしょうか。
まず、説明する上で、弊社の三つの戦略を紹介させていただきます。
一つ目は既存事業です。コア事業として、規格住宅ブランド「ユニテハウス」を展開しています。ただし、全国拡大一辺倒ではなく「選択と集中」を重視しています。フランチャイズ展開は一定のフェーズを終え、現在は直営・地域集中による質の高い展開に注力しています。
その一方で、新たなセグメントとしてB2B事業を進めています。これは当社の施工力を活かし、工務店やディベロッパーからの依頼に応じて施工を担うモデルです。施工支援という形で外部に貢献する取り組みであり、結果的に地域の工務店が利益を確保しやすくなると同時に、当社自身も安定した収益基盤を確立できると考えています。
二つ目が工業化事業です。平時の職人不足・高齢化に対応するため、現場施工を極小化した「オフサイト建築」を推進しています。「セミパネル→スケルトンボックスユニット→フルパネル→ボックスユニット」という段階的なロードマップで進化させていきます。これにより、住宅供給を現場依存から工場主導へとシフトさせ、社会インフラとして安定的に供給できる産業構造を目指しています。この取り組みは、当社単独ではなく全国の工務店ネットワークとの連携を通じて進めているものです。ネットワークでは、中小工務店が協力し、南海トラフのような巨大災害時にも被災地の外から応援供給できる仕組みづくりを進めています。
三つ目は地方創生事業です。自治体と連携した定住促進住宅、森林環境譲与税を活用した地域材住宅、アフォーダブル賃貸住宅などを今後、強化していきます。ここでは特に、PPP(官民連携事業)の枠組みを積極的に活用することを重視しています。
山形においては、人口減少や子育て世帯の住まい確保といった課題に直面しています。こうした地域課題に対して、当社はPPPの枠組みを通じて積極的に取り組んでいます。とりわけ、Park‐PFI事業や未利用公有地の活用提案を進め、公共空間や遊休地を地域の暮らしに資する場へと転換していくことに注力しています。民間の柔軟な発想と自治体の公共性を組み合わせることで、単なる住宅建設や施設整備にとどまらず、地域経済の循環を促し、地方の未来を支える社会的インフラ整備につなげていく。地方に拠点を置く企業だからこそ果たせる使命だと考えています。
―ありがとうございます。一つ目の既存事業と二つ目の工業化事業について、さらに詳しくお伺いできますでしょうか。また、こちらはどのような背景で戦略を決められたのでしょうか。
大きな要因は、南海トラフ地震のリスクです。発生すれば、最大84万戸の建築型応急仮設住宅が必要と試算されています。この膨大な供給責任を果たすのは行政や大手メーカーだけではなく、地域に根差してきた中小工務店も担い手であるべきだと考えています。
しかし、中小工務店は人手不足や資材高騰といった課題に直面しています。だからこそ、従来の現場依存の工法ではなく、オフサイト建築と施工支援モデルを組み合わせ、設計・商品を標準化し、誰でも無理なく施工できる仕組みを整えることが重要です。これにより数万〜数十万戸規模でも迅速に対応でき、全国の工務店が供給責任を果たせる体制が築けます。
―素晴らしい取り組みですね。実際に検証などは行われたのでしょうか。
はい、能登半島地震の際に実証しました。当社のモバイル建築を応急仮設・恒久移行可能な住宅として導入し、地域工務店と外部支援工務店、そしてネットワークが連携する形で成果を得ました。ここで得た教訓は、第一に「スピードと質を両立させる工業化の必要性」、第二に「地域工務店が主役になれる仕組み」を作ることです。小規模な実践でしたが、「仕組みさえあれば工務店は責任を果たせる」という確かな証拠になりました。
ーありがとうございます。最後に、今後の事業展望についてお伺いさせてください。
三つの戦略を重ね合わせたものが当社の全体像です。立ち位置で言えば、ユニテ事業は基盤、工業化は未来戦略、地方創生は社会的使命。この組み合わせで、住宅を「個別消費財」から「社会インフラ」へと進化させたいと考えています。さらに、全国の工務店ネットワークを通じて、平時の住宅供給と災害時の大規模対応、その両方に応えられる仕組みを整えていくことが、私たちの責務であり挑戦です。
そして、地方に根差した企業として、PPP事業に積極的に参画することも今後の柱です。人口減少や高齢化といった地域課題、さらには災害対応や復興需要といった社会的課題に、官と民が協力して取り組む。その現場に立ち続けることこそが、当社が地方から果たすべき使命であると考えています。
ー本日はありがとうございました。
株式会社クリエイト礼文
株式会社クリエイト礼文は、創業以来3,700棟を超える住宅を手がけ、山形県内で15年連続着工棟数No.1の実績を持つ住宅会社です。ユニテハウスを中心とした住宅事業に加え、不動産、地方創生事業まで幅広く展開し、「建築業から製造業へ」という視点を取り入れながら、地域に根ざした事業を進めています。