
前号では、質問の意義と、基本的な質問の考え方について解説した。本号では、残る質問スキルと、現場で質問を活用する際の具体的なポイントについて解説していく。
前編ついては、下記の記事に掲載しているので併せてご覧いただきたい。
では本日の目次を示そう。
4つの質問スキル~前号の続き~
前号では、質問する4つのスキルの内の1つ、「拡大質問」を紹介した。

2つ目のスキルは、「肯定質問」である。肯定質問とは、物事の肯定的な側面に焦点を当てる質問のことであり、質問の中に「できる」という肯定形の言葉を含む。例えば、「どうすれば時間通りに終わらせることができると思う?」という質問である。肯定質問をされると、部下は前向きな気持ちになる。そうすると、自発的に考えるようになり、新しいアイデアが生まれやすくなる。

一方で、「否定質問」も存在する。否定質問とは、物事の否定的な側面に焦点を当てる質問であり、質問の中に「ない」という否定形の言葉を含む。例えば、「なぜ時間通りに終わらないのか?」という質問である。否定質問をされると、部下は後ろ向きになりやすい。自身の不十分な点について責め立てられているような感覚になり、言い訳が多くなってしまう。可能な限り否定質問ではなく、肯定質問を多く使うように心掛けるべきである。
3つ目のスキルは、「掘り下げ質問」である。掘り下げ質問は、部下の考えをより具体的にするための質問である。

部下は通常、上司よりも問題を掘り下げて考える力が弱い場合が多い。この点について、部下の能力に問題があると捉えることもできるが、部下の能力を引き出すことも上司の重要な役割の一つであると考えたい。なお、掘り下げ質問には3つの種類がある。
4つ目のスキルは、「切り替え質問」である。切り替え質問は、部下に今までにない視点を考えてほしいときに使う質問である。

誰にでも視野が狭くなってしまうことはある。特に上司よりも経験が浅い部下は、目の前の仕事に追われ、発想が凝り固まってしまうことが多い。そのようなときに、思考を広げるような質問を投げかけることで、部下の新しい考えを引き出すことができる。
いつも同じ視点で考えさせているだけでは、せっかく部下の中に芽生えている可能性があっても、いつまでたっても開花しないだろう。切り替え質問によって、部下の考えをより活性化させていくべきである。視点を変える方法として、会社・部下・お客様の3点が挙げられるが、それぞれの立場で考えることで、新たな発想が生まれやすくなるのである。
実践のポイント
以上が、質問における具体的なテクニックである。これらを実行する上で、押さえておきたい重要な3つのポイントについても説明しよう。1つ目のポイントは、部下に考えさせる時間がない場合は、質問をせず、一方的な指示で対応しても問題ないということである。
仕事の品質を一定の水準に保つことが難しい場合は、まず品質を高めることが最優先となるためである。その際は、部下に考えさせるのではなく、上司が自ら判断し、指示を出すべきである。ただし、部下の自発性や実行力を伸ばしていきたいのであれば、可能な限り部下に考えさせる機会を与えるべきである。したがって、部下に考えさせる時間を確保できるような仕事の進め方を、心掛ける必要がある。
2つ目のポイントは、上司が答えを持っていない場合でも問題ないということである。質問するという行動は、上司が問題に対して適切かつ明確な答えを持っていない場合にも有効である。上司だからといって、常に部下を指導し、指示するのが自分の役割だと思い込むのではなく、部下との対話を通じて、上司が持ち得ていない情報や発想を引き出そう。部下と一緒に問題を解決していく姿勢が重要である。
最後の3つ目は、部下の考えを褒め、行動を促すことである。質問をすると、部下から何らかの答えが返ってくる。上司はその答えに応じて適切な反応を取り、質問の目的を果たせるようにしていこう。部下の考えが良い場合は、積極的に褒め、行動につなげるよう促すことが大切である。
部下の考えに不足や誤りがある場合は、まずその意見を受け止めた上で、上司が不足している部分を補うようにしよう。特に、アドバイスの内容に拘束力を持たせたくない場合は、部下自身に考えをメモさせ、上司も同じ内容を記録しておく方法が有効である。これにより、後からお互いの進捗を確認する際に活用できる。
以上が、8つのリーダースキルのうちの1つ、「質問する」の解説である。リーダーはこの取り組みをしっかりと身につけ、部下と適切なコミュニケーションを取ることを心掛けてほしい。
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