正栄産業株式会社は、全国に展開する北欧インテリアショップ「ACTUS」の 富山・金沢店を運営しており、家づくり以上の「暮らし」のトータルコーディネートが可能。 営業・設計士・デザイナー・現場監督・インテリアアドバイザーがお客様の専属チームとして、 建物だけでなく内装の家具・小物に至るまでプロデュースしている。 今回は、同社の代表である森藤正浩氏(代表取締役)に、 取り組みや販売における考え方、経営のモットーなどについてお聞きした。
―まず、御社の概要を教えてください。
弊社は現在、北陸の中でも石川県で事業展開しており、戸建てにおいては注文と企画が半々で、年間の施工件数は150棟です。建築以外にも、不動産・リフォーム・インテリア・介護・飲食・印刷など、さまざまな事業を展開しており、売り上げは60億円前後です。社員数はパートを含めて400名おります。
ー御社はさまざまな事業を展開している点がユニークだと思いますが、どのような背景でそのような事業展開になったのでしょうか。
戦略には、エリア自体を拡大していく戦略と、人・エリアを進化させる戦略があると考えています。我々は、後者の「エリアを進化させる」戦略をとっています。同一エリアで質を高め、信用とブランドを確立しながら、提供できるサービスを増やすことを意識し、事業展開を進めています。当然ながら、エリアを拡大することも少しずつ進めていますが、エリアの進化こそが顧客にとって大きなメリットとなり、喜ばれる企業になり得ると感じています。
実際に、家の購入から老人ホーム、不動産相続まで、「ゆりかごから墓場までサポートする」というビジネスモデルを展開しています。単品販売のビジネスであれば、エリアを拡大するしかありませんが、住宅を「暮らし」という広いドメインで捉えれば、さまざまな展開が可能です。ですから、このような戦略をとっています。
ーありがとうございます。一方で、地場産業は収益率がそこまで高くないと思うのですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
今、日本は人口減少という大きな課題に直面しており、我々のビジネスも、ご指摘のとおり地場産業です。そのため、インターネット産業などと比較して収益率は高くありません。これには二つの要因があると考えています。一つは、建築業界は市場や国の政策に大きく影響を受けるビジネスであるということ。もう一つは、工場などとは違い、減価償却という概念があまりなく、年月を経ても収益率が上がりにくい点です。
これらの点を踏まえて、弊社ではいかに収益率を上げるかに注力しています。私自身、企業の目的は長期利益の創出だと考えています。長期利益を生み出しやすいビジネスを構築するため、多角化によって利益を最大化するポートフォリオを組んでいます。実際に弊社では、売り上げが約64~65億円ですが、経常利益は9億円、経常利益率は14%となっています。また、粗利益は32億円で、比率で言えば50%(建築部門は30%)です。経常利益は粗利益によって決まるため、グループ全体でいかに粗利益を高めていくかを意識し、事業経営を進めています。
ー素晴らしい取り組みですね。この利益の考え方について、もう少し詳しくお伺いしたいです。
繰り返しになりますが、企業の目的は長期利益の創出です。「この企業がこの地域にあってよかった」と思っていただけることが企業の存在意義であり、それによって社員が幸せになり、顧客も幸せになると考えています。そのため、短期の利益ではなく、長期利益を創出することが重要になります。長期利益を生み出すためには、短期的に収益が悪化しても問題ないと割り切りながら、企業が潰れないための利益を創出することが大事です。
長期利益の創出は、全てが整っていなければ成り立ちません。10年後、20年後に長期利益を出せる会社にするため、マクロ的な視点とミクロ的な視点の両方が重要です。マクロ的には、どのようなビジネスモデルを確立するか、ミクロ的には、現場のオペレーションをどのように効率化するか、これらのバランスを見ながら、インパクトのある施策に投資し続けることが重要だと考えています。
ーありがとうございます。続いて、住宅において性能やデザインをUSP(独自の強み)とした取り組みをされていますが、性能面ではどのようなこだわりをお持ちでしょうか。
弊社では、「性能・デザイン・施工の質」が重要だと考えています。特に性能に関しては、今後、差別化が難しくなるため、より一層注力する必要があると認識しています。建築は「ものづくり」ですから、施工現場と工程の整備が重要です。
弊社では、全棟気密測定を実施するなど、長年にわたり品質管理に取り組んできました。ただチェックするだけでなく、工具一つ一つの意味を理解しながら、現場の施工技術を向上させることに注力しています。我々は地域密着型のビジネスですので、日々の細かい取り組みが地域の評判につながり、ブランド価値を高めると考えています。
ーありがとうございます。デザインについてはいかがでしょうか。
我々は「建築デザインは普遍的であるべき」という考えを持っています。住むための戸建て住宅は、奇をてらうのではなく、20年経っても愛着が持てるシンプルなデザインを意識しています。ただし、デザインは単独で完結するものではありません。北陸の風土や気候、土地の形状、道路や方角など、外部環境との調和が不可欠です。実際にデザインとして扱える領域は全体の3~4割程度しかないのです。
特に北陸では、雨や降雪を考慮しなければ良いデザインは実現できません。その限られた部分を意識しながら、「普遍的で気持ちのいいデザイン」を追求しています。そのため、「非日常」よりも「上質な日常」をスローガンに、デザイン設計を行っています。また、経営効率の観点から外注も活用しつつ、許容応力度計算や温熱計算など、家に大きな影響を与えるコア領域は自社で行う方針です。これができなければ、品質の崩壊につながるためです。
ーありがとうございます。素晴らしい取り組みですね。最後に、今後の展望を教えてください。
売り上げを5年後に130億円、10年後に300億円にするというロードマップを描いています。これは、単なる数値目標というよりも、社員のモチベーション向上のための指標と考えています。企業の目的は長期利益の創出であり、地域にとってなくてはならない存在になることが定性的な目標ですが、それだけでは北陸において10年後、20年後の少子化問題を乗り越えるのは難しいでしょう。今後は、北陸のみならず海外展開も視野に入れ、住宅以外の事業展開も進めていきます。このような考え方のもと、新しい生活文化を生み出すエンジンとなることを目指しています。
ー本日はありがとうございました。
正栄産業株式会社
全国に展開する北欧インテリアショップ「ACTUS」の富山・金沢店を運営しており、家づくり以上の「暮らし」のトータルコーディネートが可能。営業・設計士・デザイナー・現場監督・インテリアアドバイザーがお客様の専属チームとして、建物だけでなく内装の家具・小物に至るまでプロデュース。