今回も前号に続き、ブランディングという考え方について見ていきたい。

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では本日の目次を示そう。

 

 

ブランドとは

 

下の図は住宅業界における提供価値を示したものである。住宅業界における商品価値は価格を分母にし、分子はハード・ソフト・ブランドといった付加価値で構成されるが、ブランドはその中の一つとなる商品戦略である。

 

 

建物自体の価値をハードとした際に、目に見えない価値をソフトと定義するが、ブランドもその二つに並ぶ重要な要素となってくる。ブランドに関しては、認知度と好感度で構成されるとの内容を前号でお伝えしたが、ブランドをつくる上で重要なポイントが三つある。今回はそれらについて紹介していきたい。

 

ブランド戦略のポイント

 

ブランド階層を明確にする

まず一つ目に、ブランドを階層ごとに分けることが重要だ。ブランドには、企業ブランド、事業ブランド、商品ブランドが存在する。

 

 

例えば、ユニクロで言えば、企業としてはファーストリテイリングというブランドがある。そして事業ブランドにおいては、ユニクロのほかにGUなどが存在する。そして商品ブランドについては、ヒートテックやエアリズムといったものがある。これらは階層が下がるほどUSPを訴求する効果が弱くなる。ついては、一般的にUSPを表現する場合、企業ブランドか事業ブランドが効果的である。商品ブランドは階層が下がるため、訴求力が弱く、USPをPRしにくい。あくまで商品ブランドは価格帯で松・竹・梅といった分け方をする程度に留めておいた方がよいであろう。

 

社内外一貫性を持つ

次に、ブランディングにおいては社内外で一貫性を持たせることが重要である。スターバックスを例に挙げてみよう。一般的に、ブランディングにおいては「高級商品が対象」「広告宣伝費が膨大」という考え方をするが、スターバックスはこれらに反する企業である。

 

 

例えば、スターバックス自体は高級ブランドではなく中級ブランドであり、広告宣伝費もほぼ使っていない。では、コストをかけずにどのようにブランドを確立しているのか。それがまさに一貫性なのである。

 

下の図は、スターバックスのブランディングを示したものであるが、外観や店内、オーダー、空間など、見せ方の部分に一貫性を持って展開している。このように顧客のタッチポイントを一貫して作り上げることが非常に重要である。

 

 

また、下の図は、ある企業のブランディングのビフォーアフターを示したものだが、チラシ・ホームページ・販促物・営業活動などにおいても一貫性を持たせて変えている。

 

 

具体的には、認知媒体はインスタグラムやFacebook、TikTokなどを活用し、ホームページにもイメージを訴求している。また、販促物もカフェスタイルの見せ方にし、営業メンバーも設計士を中心とした見せ方に切り替えている。このような一貫性を持たせることがブランディングにおいて重要なのである。一貫性を持たせることで、前号でもお伝えしたブランド再認、ブランド再生が実現する。

 

 

では、この一貫性を保持するためにどのようなことが必要だろうか。それは、下の図にあるように、外向きのブランディングと内向きのブランディングである。

 

 

外向きのブランディングは、ロゴ・ホームページ・チラシ・メルマガなどのほか、店舗の説えも含めての顧客接点全体を指す一方で、内向きのブランディングは、理念や哲学など、社員が持っているブランドに対する関心や熱意を指している。このように、外向き・内向きの両方のブランディングをしっかりと作り上げなければならないのだ。

 

例えば、外向きのブランディングがないケースでは、チラシやホームページ、店舗などに一貫性がなく、顧客にブランドが伝わらない。内向きのブランディングがない場合も、ブランドに対して社員が関心を持たず、積極的な販売活動を行ってくれない。

 

 

では、このような状況を防ぐためにはどのようにすればよいのか。まずは、外向きのブランディングがないケースについて見ていこう。下の図は、自社のUSPをブランド・ステートメントにまとめたものである。

 

 

これらを下の図にあるように、ホームページやテレビCM・広告・SNSなどに一貫性を持って表現していくことが重要である。

 

 

その際に、当然ながら、営業ツールやチラシ、パンフレットなど社内で使うツールも変えていくことが重要である。というのも、一貫性が重要だと言いながらも、ホームページは制作会社、テレビCMは代理店、看板は設置会社など、外部の担当が異なるケースが多いからだ。担当者が変わってしまうと一貫性を出すことができず、さらには顧客に自社のUSPが伝わらず競合に負けてしまうのである。

 

 

このような場合は、ブランドの設計書というものをまとめて、社内外で共有することが重要だ。内容については、ブランド・ステートメント、ロゴやアイコンの仕様、ターゲットとペルソナの設定、禁止事項の記載などが含まれる。このような内容をまとめることによって、社内外の一貫性を保持できる。

 

 

また、このブランド設計書には、服装規定なども含まれる。下の図は、USPに基づいたブランド体制を踏まえて服装の規定をまとめたものだが、営業パーソンの身だしなみなども含め、USPを表現していくことが重要である。

 

 

次に、内向きのブランディングがないケースについても見ていく。

 

 

これはまさに社内ブランディング(インナー・ブランディング)とも言われる部分であるが、前号からお伝えしている通り、ブランディングは「認知度と好感度」によって成り立っており、これは社内においても同様である。社内でブランドに対する好感度がなければ、それを浸透することができないのだ。

 

 

だからこそ、社内外で一貫性を持つためにインナー・ブランディングを行うことが重要なのである。

 

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