大鎮キムラ建設株式会社は、苫小牧・室蘭・日高・千歳を中心とする住宅会社で、 2009年以降は苫小牧・室蘭地域で着工棟数No.1の実績を有する。 不動産、メンテナンス、保険などの事業に加え、アンティーク住宅「ラフェルム」の 本部運営も行っており、札幌圏では「ラフェルム」を中心に展開している。 今回は、同社の代表である木村匡紀氏(代表取締役)に、 取り組みや販売における考え方、 経営のモットーなどについてお聞きした。

 

―まず、御社の特徴をお伺いさせてください。

 

 

弊社は新築住宅を中心に展開しています。新築に関しては、デザイン・コスト・性能のバランスを踏まえた注文住宅、そしてFC本部として「ラフェルム」といったフランチャイズの運営、さらにローコストの住宅展開も行っています。

新築は年間80棟で、全体で22億円になります。それ以外にも、エステート部門として不動産仲介や特権、リフォームや来店型の保険ショップ、メガソーラー事業などを手がけています。グループ全体の売り上げは28億円あり、社員は新築住宅で50名、グループ全体で80名在籍しています。

 

ーありがとうございます。御社の特徴として「地域密着」が挙げられると思いますが、こちらについて詳しくお聞かせください。

 

弊社は苫小牧を中心に、地域密着型企業として展開しています。今期で44期目になりますが、もともと私自身が苫小牧で生まれ育ち、地域に恩返しをしたいとの思いがありました。これについては、地域密着におけるシナジー効果があり、部活動などの先輩がほとんど苫小牧出身であるために、紹介などさまざまなつながりからの仕事の発注が多くあります。

 

また最近では、市と連携する機会も増えてきています。例えば、何かしらの賞などを受賞した際に、メディアに取り上げられやすくなったり、住宅に関する補助金のアドバイザリーを市に対して行ったりする機会がありました。また、「苫小牧地域の地方創生」のテーマで人との関わりを持つ連携も増えています。

このような中で、当然ながらビジネスにつながるケースも多くあります。これは事業だけでなく、採用面においても同様です。私は常々、社員が親御さんから「いい会社に入ったね」と言われるような会社にしたいと考えており、実際に建築関係で、地元の高校から採用の声が弊社にかかる機会も増えました。

 

また、当然のことながら、私自身が苫小牧という場所が好きです。苫小牧には日本で規模が4番目の港があり、市内から車で30分ほどのところには空港もあります。ダブルポートだけでなく海も山もある素晴らしい地域だと思っていますから、地域のアンバサダーとしても活動しながらも、それだけではボランティアになってしまうと考え、しっかりとビジネスに生かそうと理と利のバランスを意識しています。

 

 

ー素晴らしい取り組みですね。地域密着に対しては、事業でどのような取り組みをされていますか?

 

地域密着については、対顧客・対取引先・対地域という三つの視点を持って取り組んでいます。まず、対顧客の観点では、エリアに合わせた高性能住宅を展開しています。北海道は他の地域と違って光熱費が高く、電気代だけで月5万円を超えるケースも珍しくありません。そのような状況において、弊社では断熱性能(C値やUA値)に強いこだわりを持っており、苫小牧では唯一、弊社のみが全棟気密測定を実施しています。また、こうした取り組みが評価され、北海道で唯一、「ハウス・オブ・ザ・イヤー」を13年連続で受賞しました。

 

ただし、断熱や気密、快適性などの住宅性能へのこだわりにとどめず、「電気代が安い」という点もしっかり訴求することが重要だと考えています。これから化石燃料の価格が上昇していく中で、エネルギーを使わない住宅性能が求められる傾向にあると見込んでおり、実際に北海道の家計の支出トップ3は、ローンに次いで光熱費、保険となっています。

 

光熱費が高ければ、ローンが安くても家計は苦しくなりますので、その観点から、どちらの方が「豊か」なのか正しい判断をしていただけるようにしています。実際に、弊社の住宅では、太陽光と蓄電池を設置することで、光熱費が実質0円になるケースもあり、これらの強みが優位に働いてきました。また、耐震性能についても断熱とセットで考えており、耐震等級3・制震ダンパーの採用はもちろん、許容応力度計算も徹底して行っています。

 

 

ー大変素晴らしい功績ですね。対取引先についてはいかがでしょうか。

 

弊社は地域密着で展開しており、苫小牧では14年連続で着工棟数1位を獲得しています。この大きな要因の一つに、ハウスメーカーの下請けから元請けへと転換してきた背景がありました。会社の価値観によるものですが、下請け時代に大工を多く抱えており、現在も社員大工が10名前後在籍しています。これは全体の20%が社員大工という形になり、他社よりも比較的多い数値です。

 

これから着工数が減少していく中で、エリアの観点で言えば、当然ながらスーパーやコンビニも50年後は今のようにあるわけではありません。さらには、住宅会社の数も減っていくと考えられます。大工職人は請負形式で仕事を受けていますので、住宅会社が減ると仕事もなくなり困るでしょう。今後も大工の高齢化が進み、若手が減少していく中で、「地域で住宅を守る」という観点を持つと、今コストがかかってでも職人を守ることが重要ではないかと考えています。

 

また、先ほどお伝えしたように、理と利のバランスを考えると、結果的に施工品質の向上にもつながるため、差別化になる要素としてもこれらを展開しています。

 

 

ーありがとうございます。対地域についてはいかがでしょうか。

 

先ほどお伝えしたように、弊社では新築以外にも、不動産仲介・リフォーム・保険・メガソーラーなど、さまざまな事業を展開していますが、そのベースにあるのは「地域密着」という考えです。メガソーラー事業では、800世帯分の電力をまかなうことができ、災害時にも地域に対して支援・貢献できる体制が整っています。

 

また、エステートは不動産仲介ですので、空き家などを買い取って再販することで、地域貢献も行っています。生命保険は新築時に見直すことが多く、家計のサポートにもつながりますし、今後もこのようなさまざまな形で地域をサポートし、「地域密着型企業」として貢献することを常に意識していきたいです。

 

ー素晴らしい取り組みですね。最後に、今後の展望を教えてください。

 

 

現在は、45期に向けて本社の建て替えを検討・進行中です。現在、敷地は2000坪ありますが、そこを住宅を建てない人でも気軽に立ち寄れる場所にしたいと考えています。例えば、ドッグランやカフェを併設したり、モデルハウスも全商品が見られるようにするなどの整備を計画していました。さらに、法人向けに「ラフェルム」にもモデルハウスを見学できるスペースを設け、これから事業や商売を始めようとしている、若い方々を支援するためのテナント作りも計画しています。

 

これらも理と利のバランスですので、結果的に店舗や住宅の施工につながるよう、しっかりと導線を意識して進めていく考えです。売り上げ目標としては、まず50億円を目指し、補助金などの兼ね合いも踏まえて、将来的には100億円を目指して進めていく方針です。

 

 

ー本日はありがとうございました。

 

大鎮キムラ建設株式会社

苫小牧・室蘭・日高・千歳を中心とする住宅会社。 不動産、メンテナンス、保険などの事業に加え、アンティーク住宅「ラフェルム」の本部運営も行っており、札幌圏では「ラフェルム」を中心に展開している。

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