今回は、8つのリーダースキルの中の一つである「質問する」について、前編として解説していきたい。

 

では本日の目次を示そう。

 

 

質問の意義

 

そもそも、なぜ「質問する力」が必要とされているのだろうか。まず前提として、質問をする目的は、スタッフに物事を考えさせるためであることを、押さえておいていただきたい。スタッフ自身で考えることには、次のようなメリットがある。

 

1つ目は、自分で考えることによって、問題に対して自主的に解決しようとする習慣が身につくこと。2つ目は、行動に対する責任感が強まることである。質問をせずに一方的な指示ばかりを与えていると、スタッフは次第に問題について自発的に考えなくなり、言われたことだけをこなすようになってしまう。また、自分で考えないために、行動に対する責任感も弱いままになる。

 

質問をする際には、次のようなゴールを常に意識しておくことが重要である。

 

1つ目は、スタッフに一方的に指示をするだけでなく、積極的に考えられるようにな質問を投げかけることである。スタッフに質問する際のポイントは、「なぜできないのか」と問い詰めるのではなく、「どうしたらできるか」という前向きな表現を使うことだ。スタッフに質問をする際、次の行動が明確になるようにヒントを出す。さまざまな視点で物事を考えるきっかけを、スタッフに与えるのである。

 

スタッフの仕事状況や能力に応じて、一方的に教える場合と、スタッフに考えさせる場合をバランスよく使い分けることも重要である。ある実験によると、指示されながら学習した場合と、自分で考えながら学習した場合とでは、その後の「学習定着率」が大きく異なると言われている。

 

 

一方的に指示された場合、3週間後の定着率は70%、3ヵ月後の定着率は10%にまで低下する。一方、自分で考えながら学習した場合、3週間後の定着率は85%、3ヵ月後の定着率は65%である。3ヶ月後で比較すると、6.5倍の差が生じる。

 

人間は本来、外的な力によって操られる存在ではなく、自分の行動は自分自身で決定したいという欲求、すなわち「自己決定感」を持っている。したがって、一方的に強い圧力をかけられ続けると、スタッフは反発心を持つようになり、行動しなくなるか、従ったとしても嫌々やらされている状態のまま行動することになる。その結果、上司と部下の信頼関係にも悪影響を及ぼす。

 

同じ仕事であっても、「言われたからやっている」と感じながら取り組むスタッフと、「自分で決め、心の底から納得してやっている」と感じながら取り組むスタッフとでは、仕事に対する意欲に大きな差が生まれるはずである。

 

強制してスタッフを動かすのではなく、効果的な質問を上手に活用することによって、スタッフのやる気を引き出していくことが重要である。質問する大きな目的は、「スタッフに考えさせること」にある。考えさせることで、スタッフ自身の自発性や責任感を高めていくのだ。

 

しかし、多くのリーダーは、考えさせるための質問をしていながら、スタッフがすぐに答えられないと、しびれを切らして自分から答えを言ってしまうことが多い。これではスタッフは考えることができない。リーダーが答えを言ってしまう場面が何度も繰り返されると、スタッフは質問されても「どうせリーダーが答えを言ってくれる」と考え、自分で考えなくなっていく。

 

質問する目的の本質を理解し、質問をした後はじっくり待つことが重要である。その上で、質問するスキルを4つ紹介しよう。

 

4つの質問スキル

 

1つ目は「拡大質問」である。

 

 

拡大質問とは、さまざまな答えが考えられる、自由度の高い質問のことを指す。例えば、「鈴木さんは将来についてどう考えているか?」という質問は、拡大質問に該当する。

 

 

拡大質問は、自由度が高い分、スタッフの考える余地も大きい。したがって、じっくりと考えを深めることができる。また、自分の頭で考えた答えであるため、本人にとっても納得度が高い。

 

一方で、「限定質問」も存在する。限定質問は、スタッフがイエスかノーで答えられる質問、あるいは与えられた選択肢の中から選ぶだけの、回答範囲が限定された質問である。例えば、「鈴木さんは将来マネージャーになりたいと思う?」といった質問は、限定質問に該当する。

 

上司から与えられた選択肢に答えるだけであり、スタッフの考える余地が小さい。したがって考えが深まりにくく、答えを押し付けられているような印象を持ちやすい。スタッフに考えさせたいときは、可能な限り限定質問を少なくし、拡大質問を多く使うことを心掛けることが重要である。繰り返すが、質問する大きな目的は、「スタッフに考えさせるため」なのである。

 

本来、余裕を持って考える時間を与えるのが上司の役目であり、その場で急に質問し、スタッフから納得性の高い答えが出てこない、全く考えることができいていないと嘆くのは避けるべきである。その場でスタッフから明確な答えが返ってこなかった場合は、「それでは、それについて今週金曜日までに考えておいてほしい」というように期限を設定し、スタッフに考えを整理してもらおう。

 

以上、ここまで、質問の意義と質問スキルの基本となる考え方について解説した。次号は、残る質問スキルと、実践的な活用方法について詳しく解説する。

 

引用

 

 

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