多くの住宅関連企業(工務店)で新たな商品開発について注力をされていると思います。一方で、商品を作ったもののなかなか営業が売ってくれない、といった悩みもあるのではないでしょうか。
こちらはある経営者の悩みになります。
商品を作ることの重要性は分かってるし、今までもやってきた。
でも結局営業が「売りたい」と思わなければ意味ないよね。
結局仏作っても魂入れずじゃ意味ないよね。
商品だけでなくFCも同じ。
うちは過去にいくつかFCにも入ってるけど結局営業が売らなくて結局は意味なかったよな・・・
このように、商品開発やFCの導入を行っても営業が売ってくれない、といったケースは多くあります。今回は、そのような取り組みについてどのように対処すべきなのかについてお伝えいたします。
では本日の目次をお示しいたします。
商品開発の成功パターンと失敗パターン
まず商品開発の成功パターンと失敗パターンについて触れてみたいと思います。
下の図をご覧ください。下の図は、一般的な商品開発のパターンをまとめたものになります。
当然ながら商品を売れる体制にするには「商品の売りやすさ」と「営業の売りたい気持ち」が重要です。例えば、商品は売りやすいが営業が売りたくないと思っていれば最初は売れるものな徐々に営業が売らなくなってしまいます。これを瞬間湯沸かし器型の商品開発と言います。
一方で営業は売りたいが、商品が売りにくい場合は、徐々に販売数は上がるもののなかなかスケールしないといったケースに陥ります。これをホットプレート型と言います。この図で言えば商品が売りやすく、営業が売りたい気持ちを持ち続ける成功パターンを構築する必要があります。
では、どのようにすれば成功パターンを作ることが出来るのでしょうか。まず、ここでは組織的な観点で触れてみたいと思います。
なお、そもそもの商品開発の流れについては下記の記事をご参照ください。
なぜ開発商品が売れないのか?
開発した商品が売れない大きな要因は組織力学によるものが大きいとされています。どの組織においても新たな体制や新たな商品に対して抵抗勢力が生まれます。変化を恐れる組織メンバーであたかも黒船が来たかのように抵抗します。
言葉にはしなくても「また営業が関係ない所で商品が増えたよ・・・」「現場の声をもっと反映してよ・・・」といった考えのもとなかなか変化を受け入れようとしません。彼らをチェンジモンスターと呼び、彼らを説得することが商品の販売体制を構築する上で重要になります。
これらのチェンジモンスターには以下のような6つのタイプに分類されます。順番に説明して参ります。
①タコツボドン
自分のタコツボに閉じこもり他とのつながりを持とうとせず、自分の担当部署への「よそ者」の関与を否定します。口癖は「それはうちの部署の仕事とは関係ない。」「忠告はありがたいがそれはうちの仕事なのでうちがやります。」
②マンテン
全てのリスクを潰し100点満点の報告書がないと動き出せず、結局何もしないかあるいは遅い傾向にあります。口癖は「まだデータ不足だ。動く前にもう少しじっくり検討しなくては。」などがあります。
③カコボウレイ
かつての経営者がてがけた事業や開拓した取引先はどんなに業績が悪くても議論出来なかったりやめられない傾向にあります。口癖は「先代会長が手塩にかけた事業を君はどうしようというのか。」などがあります。
④ノラクラ
様々な言い訳を使い、あの手この手で変革を回避しようとします。口癖は「前例はないし、部署がうんと言うはずがない。それに忙しくて人手が足りないよ。」などがあります。
⑤ミザキカイワザル
3匹セットになって見ざる、言わざる、聞かざるを通し、嵐が通り過ぎるのを、首をすくめてやり過ごします。口癖は「どうせ今回もまた掛け声だけだ。動くだけ損にきまっている。」などがあります。
⑥カイケツゼロ
課題の指摘や出来ない理由の説明は巧みですが、解決策の提言は出せない傾向にあります。口癖は「それは何度も検討しましたが、無理なんです。その理由は5つあって・・・」などがあります。
商品開発を成功させる2つのポイント
このようなチェンジモンスターに屈することなく商品の販売体制を組織に浸透させる必要があるのですが、どうすればいいのでしょうか。
取り組みとしては大きく2つあります。
まず一つ目が定量的なビフォーアフターを訴求することです。実際に新しい商品を売ることによってどのような成果が出たのか、を定量的に伝えることです。棟数が増える、あるいは営業利益率が上がる様々な指標がありますが、まず指標を決めて定点観測しながら、組織に対してどのようなメリットがあるかを定量的に訴え続けることが重要です。
二つ目が小さな成功体験を積み上げることです。まず、全社で一気に導入するのではなく一部のチームでまず小さく始めます。そして売り方などが確立されていき、成果が出始めたタイミングで一気に全体に広げるといった考え方です。
こちらについては下の図のようなイノベーション理論を活用します。イノベーション理論とは、全体の16%が取り組めば、一気に浸透するといった市場浸透における理論です。
こちらは市場浸透だけでなく、組織にも同じことが言えるのでまず全体の16%で販売を始め、成果が出たタイミングで一気に広げるといった二段階計画を組むことが重要です。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
商品開発は組織が納得出来る体制を構築しなければ販売体制は出来上がらない
組織が納得出来る体制を構築するにはチェンジモンスターへの対策が重要である
チェンジモンスターは2つのポイントを押さえることで納得し、販売体制を構築することが出来る
今回は商品開発後の現場浸透について触れました。商品を作っただけでは成功とは言えず、当然ながら営業メンバーが売る体制づくりを行うことが重要です。このような取り組みは非常に重要になりますので、正しく現場浸透の流れを押さえた上で進めていきましょう。