多くの住宅関連企業(工務店)で、営業のマネジメントというテーマは、非常に難しいテーマとして捉えているのではないでしょうか。
マネジメントをすべきと分かっていながらも営業部長が数字を稼ぎに行く、いわゆるプレイングマネージャーになっているケースは多くの会社で見られます。
営業部長という立場上、数字の管理に専念したいと思いながらも、どうしても最後の数字合わせで自分自身が営業を行ってしまう。
このような状況から抜け出す為にはどうしたらいいのでしょうか。
本日はこのようなお悩みについてどのように対処すべきかをお伝えいたします。
では本日の目次をお示しいたします。
マネジメントとは何か?
そもそもマネジメントとは何でしょうか。
下図をご覧ください。
こちらはハーバード大学大学院の教授であるドラッカー氏が定義した言葉になります。
マネジメントとは、組織に成果を上げさせる為の道具、機能・機関であるということです。
もう少し深堀をしてみましょう。
そもそもリーダーとマネージャーの違いは、お分かりでしょうか。
下図にありますように、リーダーはゴール達成に向けてリードする立場になります。
多くの住宅会社で、経営者がリーダーという立場をとっています。
リーダー自体は現場を管理するというよりも、高いビジョンを示し、ビジョン達成に向けて、組織を引っ張る位置づけですね。例えば、コロンブスが航海にて「この先に黄金の国ジパングがあるんだ」と船員を鼓舞し、苦難を乗り越えたという逸話があります。このようにビジョンを示すという立場がリーダーの役割になります。
一方、マネージャーはゴール達成に向けた阻害要因を排除する役割です。
ですから、リーダーが組織を引っ張っていく中で、ハードル阻害要因になる要素を取り除く役割と言えます。
多くの大企業の創業期にはリーダーとマネージャーの絶妙な役割の中で、拡大した歴史があります。ホンダで言えば、本田宗一郎がリーダーの位置づけ藤沢武夫がマネージャーの位置づけですね。ソニーで言えば、井深大がリーダーの位置づけを盛田昭夫がマネージャーの位置づけになります。
成果を出すマネージャーとは?
このようなリーダーマネージャの役割を理解した上で、改めて確認をさせてください。
あなたは適切にマネジメントが出来ているでしょうか。
下図をご覧ください。こちらは成果を出しているマネージャーと出せていないマネージャーの業務にかける時間をまとめたものです。
成果を出している営業マネージャーの場合は、マネージメント業務が全体業務の62%おおよそ半分以上を占める結果になっています。社内業務や行事、トラブル対応など様々な業務もこなしておりますが、全体のほとんどはマネージメント業務という点が非常に特徴的ですね。
一方で、成果を出せていない営業マネージャーの場合は、マネジメント業務がなんと12%、およそ1割前後にとどまってしまっております。その内訳を覗いてみますと、成果を出している営業マネージャーと違って営業活動やトラブル対応といったところに多くの比重を占めており、本来は営業メンバーがやるようなことも引き取ってやってしまっている点が特徴的だと言えます。
こちらは有名な格言になりますが「魚を釣るのではなく、釣り方を教えよう」という考え方が重要になります。自分で魚を釣ることを続けていると、組織としては独り立ち出来ませんし、自分自身が疲弊してしまう結果になります。
ですから、営業メンバーには魚を釣って食べさせるという発想ではなくて、釣り方を教えるという発想を持って活動する。ことが営業マネージャーにおいては重要になります。
お伝えした内容を一旦まとめますと、下図のようになります。
リーダーとマネージャーという役割の中で、あくまで管理職である営業部長としては、マネジメント、いわば現場の阻害要因を解除するといった考え方が重要になります。併せてし営業業務を兼任するのではなく、マネジメント専任の位置づけで日々の業務活動を行うことが重要になります。
図で言えば、左下が営業マネージャーの成功パターンであると言えます。
あなたは現在の営業組織でマネジメントに専念出来ていますでしょうか。出来ていない場合は、今一度どうすればマネジメントに専念出来るかという点について考えましょう。
営業部における「4ナイ」問題
ではここからは営業マネージャーが頭を抱える住宅会社の営業部における4つの課題について触れてみたいと思います。
一般的に、営業部での課題というのは、この4つに集約されると言われております。
一つ目についてこちらをご覧ください。
営業会議で「案件がない」という問題にぶつかるケースは多いのではないでしょうか。営業力はあるものの、「熱いお客さんがいない」ということですね。
ですから、最終的には集客部、集客部に集客を増やすことをお願いをする結果となるのですが、集客部からすると、責任転嫁のように感じてしまい、組織が睨み合うような結果になることも少なくありません。
最近では資料請求となどを中心に「集客の質」に論点がずれ、営業の契約件数が少ないのは、営業部の問題ではなく、集客部が集める顧客の質が悪いといった結論に陥ることもあります。
そして二つ目。課題がそもそも分からない点です。
営業会議では、完璧な営業していると感じるものの数字だけ見ると、徐々に落ち込んでしまっている。こういったケースは多いのではないでしょうか。そもそも、マネージャーとして課題を解決したいものの、何が課題か分からないといった事態も多く見られるケースです。
続いては営業のやり方が分からない点です。
若手の営業パーソンに営業同席し、学ばせるマネージメントをしているものの、当然マネージャーとしても、どのように教えればいいのかという点で、答えを見いだせないままマネジメントを進めるので最悪の結果、退職してしまうということにも繋がってしまいます。
最後はそもそもやる気がない点です。
今まではインセンティブ、あるいは歩合で頑張ってくれ営業パーソンが近年ではなかなかそのような報酬では、粘りがきかなくなっていることも多くの会社で見られます。それどころか、日報の提出や遅刻、そもそも営業以前の問題が、増えてきている・・・。
このようなケースもその営業マンのやる気の低下が原因だと考えられます。営業パーソンのやる気をどう引き上げるかについては、多くの営業部長が悩まれているのではないかと思います。
営業マネージャーが押さえるべき論点
ではどのように解決すればいいのでしょうか。
下図をご覧ください。
営業部長のマネジメントには、「管理・教育・動機づけ」というものがあります。
「管理」は数字、あるいは案件を正しく管理することによって、課題を解決することを指します。案件がない問題についてはランクマネジメント、課題が分からない問題については、プロセス管理や案件管理などの改善体制が挙げられます。
「教育」については、標準化、ロープレ実行フォローが押さえるべきポイントになります。この点を実行することによって、若手が営業の仕方が分からない問題が解決されます。
三つ目は「動機付け」です。
動機付けには金銭的な報酬と意味報酬があり、この2つの報酬を正しく整備することで、実行力を上げることが出来ます。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
マネージャーの役割はゴール達成に向けてリードすることである
マネージャーはマネジメントに専任する体制が好ましい
営業部における代表的な課題は4つ存在する
4つの課題に対しては管理・教育・動機づけで対処することが重要である
このように営業マネジメントにおいて、3つのポイントである「管理・教育・動機づけ」を行うことで、4つの課題を解決することが住宅会社の営業部長にとって非常に重要になります。