今回は、AIデータの活用により営業人員を増やさず契約棟数を51棟から104棟まで増加させた茨城県A社について見て参ります。A社は茨城県で注文住宅を販売している企業で低価格ながらデザイン性の高い住宅を展開しています。

 

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

当初の課題

 

下図はA社が抱えていた課題と目標、ギャップを埋める為の対策を記した図になります。順に説明致します。

 

 

元々A社は営業力に課題を抱えていました。住宅業界の市場規模が縮小する中で、営業案件が減少し経験による成長が困難になったという業界課題も内包しています。また、中間層がおらず、若手とベテランの年齢差が大きく、マネジメントの価値観にギャップがあり、適切なマネジメント体制を組むことが出来ないといった課題がありました。

 

A社は商品力が高く、集客も安定していることから棟数を増やすには営業力を上げることしか残されていませんでした。このような状況の中でA社が目をつけたのが「案件マネジメント」です。案件マネジメントとは営業アプローチが適切かを案件ごとにレビューを行うことを指します。

 

下の図をご覧ください。

 

 

A社では営業会議を行っているのですが、会議で出てくる案件状況に「案件は多いものの優先順位を付けることが出来ていない」「報告内容は適切だが、同席すると正しい営業活動が出来ていない」「営業アプローチがワンパターンである」といった課題がありました。

 

このような状況を改善することで営業力を飛躍的に高めることが出来ると判断したのです。このような課題は、多くの住宅会社でも当てはまるのではないでしょうか。ここからはA社がどのようにこのような問題を解決したのかについて説明いたします。

 

A社の取り組み

 

 

まず、A社が抱えている案件に対する悩みをまとめると以下のようになります。現状で言えば各案件に対して適切に分類が出来ておらず、一辺倒な対応に終始してしまっています。このような状況を解決するには右側にあるように営業案件を「購買意欲」や「ステージ」で分類し、営業活動を行うことが重要です。

 

 

 

例えば10件営業案件を保有していたとして「購買意欲が低く」「初期ステージ」の案件が10件ある場合と「購買意欲が高く」「クロージングステージ」の案件が10件ある場合では全く結果が違います。そこでA社では下記のように4つのマトリックスに沿って案件を分ける取り組みを行いました。

 

 

まず縦軸は「案件進捗度」を入れていきます。フェーズ1は「初回接客」フェーズ、フェーズ2は「見極め」フェーズ、フェーズ3は「ポジショニング」フェーズ、フェーズ4は「クロージング」フェーズになります。そして横軸は「商談の見込み度」を入れていきます。

 

レベル4は「見込み度が高い」、レベル3は「まずまずの見込み度」、レベル2は「普通の見込み」、レベル1は「見込み度が低い」といった内容です。

 

この見込み度は感覚ではなく6つの熱感を判断する要素により、ランクを付けます。一つ目は時期です。購入のタイミングが半年なのか、1年なのか、3年なのかで見込みは大きく変動します。二つ目が動機です。なんとなく家が欲しいという場合より、来年子供が小学校に上がるなどの動機の方が熱感が上がるように当然ながら動機も見込みを判断する重要な要素です。

 

三つ目が資金です。自己資金が十分ある場合と足りない場合で見込みは大きく変動する為、資金も重要な判断軸になります。4つ目が土地です。当然ながら土地があるかないか、または無くとも候補があるかで見込みが大きく変わります。5つ目が当社度です。自社をでの程度候補として考えているのかが見込みを決める上で重要なポイントになります。そして6つ目がリスクです。購入においてリスク(ハードル)になる要素がどの程度あるかという点でも見込み度が関わってきます。

 

この6つの観点を押さえた上で主観的ではなく客観的に見込み度を管理することが重要です。このマトリックスを作成し、マスごとに案件アプローチをルール化することによって「確実に決めることができる案件がどれぐらいあるか」や「それぞれのマスに沿ってどのようにい対応すべきか」を明確にし、営業力を上げることに成功しました。

 

それだけではありません。B社では下図のような案件ごとのレビューを行うシートを活用し、営業案件のマネジメントをしていました。こちらのデータは累積で数千にものぼっており、このデータを活用して営業組織を最適化出来ないかという点で施策をしておりました。

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