多くの住宅関連企業(工務店)で集客がなかなか増えないといった悩みがあるのではないでしょうか。
こちらはある会社の経営者の悩みです。
うちは商品力はどこにも負けないと思う。
ただ、イマイチ集客が悪いんだよな。そもそも契約率も高くないし。。。
商品と販売構造って相性とかあるのかな・・・?
例えばうちはママの家を展開しているけど、総合展示場でいいのかな?
もっと商品に即してカフェで集客した方がいいのかな?
元々は資材で売っていたから工場ツアーが良かったりする?
うーん、どうすればいいのか。
このように集客に関しては、移動式展示場やカフェ集客、工場ツアーなど様々ありますが、どのような施策を行うべきかまとまらない、といったケースが多く見られます。
今回はこのような住宅会社の集客がないケースについてどのように対処すべきなのかについて触れてみたいと思います。
なお、本記事では商品に沿った住宅会社の集客・営業手法についてご説明しますのでそもそもの商品の開発や改善については下記の記事をご覧ください。
では本日の目次をお示しいたします。
住宅業界における集客全体像
まず住宅会社の集客全体について触れてみたいと思います。集客構造には大きく「媒体」「販売ルート」「企画」が存在します。媒体は販売ルートにどのような手法で来場・アポにつなげるか、を指します。販売ルートは展示場や見学会・店舗など見込み客と対面接点を持つ場所を指します。また、企画は販売ルートに呼び込む為にどのような企画を行うかを指します。
企画に示している物件案内は展示場であれ見学会であれその物件を紹介するという意味合いになります。物件案内以外にも相談会やセミナー、ワークショップなど様々な企画が行われています。近年ではこの企画自体がオンライン化されつつあります。
今回は住宅会社の集客(販売)ルートを活用すべきかについて深堀をしていきます。
住宅業界における6つの販売ルート
下の図は、先程の販売ルートを分類したものになります。それぞれ説明いたします。
①展示場型
総合展示場、単独展示場、移動式展示場に分かれます。住宅業界黎明期より総合展示場が主流でしたが、企業独自に展示場を持つ単独展示場、最終的に販売する移動式展示場が主流となりました。住宅関連企業(工務店)全般が行っている販売ルートです。
②見学会型
自社で施工した物件を呼び水に展開する手法です。集客コストが圧倒的に低い点で取り入れやすい手法で工務店全般が行っています。建売物件の場合は現地販売会という表現で見学会が行われます。
③店舗・ショールーム型
設計相談やプラン相談などを呼び水とする手法です。早期に営業活動に取り組むことが出来る一方で集客の難易度は比較的高いと言えます。主にデザイン系ビルダー・リフォーム企業が行っています。
④イベント型
薄い客を含めて大量に刈り取り、管理客として育成する手法です。見込みが薄い為高い営業力が求められます。ブランド力が求められる為、主に大規模ビルダーの手法と言えます。また、認知度向上という副次効果を狙うケースも見られます。
⑤自宅型
顧客の自宅に訪問し営業を行なう手法です。多くの住宅関連企業(工務店)で従来行われていましたが、プライバシーなどによる社会問題により減少傾向にあります。現在では一部リフォーム系、分譲系企業に見られる手法です。
⑥現地型
実際の物件にて商談を行うケースです。分譲事業が多く、建売だけでなく売建(条件付き土地の販売)でも見られる手法です。建物ではなく、エリアの魅力を伝えることが重要になります。
それぞれの業態や商品に併せてこれらの販売ルートを活用することが重要になります。例えばデザイン力を売りとする住宅会社が展示場での集客を行えば、当然ながらウリを活かせず苦戦しますし、性能を売りとする住宅会社が店舗来場での集客を行えば苦戦するでしょう。
商品から逆算した適切な集客構造11連発!
以上、住宅会社の集客構造である「媒体」「販売ルート」「企画」について見てきました。ここからは業態や提供商品に併せてどのような住宅会社の集客構造が適切かを成功事例を踏まえてご説明いたします。
下の図をご覧ください。下の図は自社が提供するサービスに沿ってどのような住宅会社の集客構造(媒体・販売ルート・企画)が良いかまとめたものになります。さらに運営する上でのポイントや住宅会社の集客の仕方についてもまとめております。順に説明いたします。
①高性能
高性能な住宅商品は、総合展示場にが相性が良いと言えます。例えば、ハウスメーカーが立ち並ぶ総合展示場において、ハウスメーカーと同品質かつ低価格といった打ち出しは非常に効果的でしょう。少なからず地域密着を求める声は一定するありますのでハウスメーカーで同品質かつ地域密着(アフターサービス)などの打ち出しが有効であるケースが多いです。
②高気密・高断熱
高気密・高断熱の会社については展示場が有効です。性能を重視する観点で言えば、例えば見学会などは性能を説明するツールなどを設置出来ませんのであまり相性がよくありません。ですから、自社の展示場を持ちその中で訴求をすることが重要になります。
なお、展示場でのツールなどの見せ方についてはこちらの記事を参照ください。
③ライフスタイル型住宅
ライフスタイル型住宅の場合は展示場(複数)を持つことが有効です。ここではまずライフスタイル住宅とはなにか、について説明いたします。
こちらは住宅商品のトレンドを示した図になります。
従来は左下にあるような一般的な三角屋根の住宅が主流でした。しかし、顧客の嗜好性が装飾よりミニマム、伝統的より都会的に嗜好性が変わる中でライフスタイル型の住宅が増えつつあります。
ライフスタイル型住宅とは「自身の生活に合わせた住宅」を指します。例えばサーフィンが好きな方であればサーフィンがしやすい設計、乗り物が好きな方であればガレージが広い設計など、ライフスタイルに合わせた住宅商品です。
ライフスタイル住宅は下図のように外観はシンプル、内観は趣味に併せて様々なパターンを用意しています。代表的な企業で言えばベツダイのゼロキューブでしょう。
ですから家自体は性能も高くなく、スペックの話などは全く刺さりません。一方で世界観を訴求すると響きやすい点が特徴です。結果的に単独展示場を複数用意し、それぞれの展示場で世界観を訴求すると感性を刺激しやすいでしょう。また、単独展示場が1つでは訴求力が弱いので少なくとも3棟は隣接した形で用意することが重要です。
また、店舗の設えは間取りよりコンセプトに合った生活感を演出するインテリアが重要になります。ホームページでのコンセプトの見せ方から意識して演出する必要があります。一貫性の観点で言えば営業マンの服装などもラフな方が良いでしょう。ガチガチのネクタイ営業は社内風土から見直しが必要です。
④ローコスト住宅
ローコスト商品を展開している場合は、性能の訴求などは重要ではなく、あくまで反響を取れば決まる傾向にあります。ですから、チラシで展示場や見学会に来場してもらうよりもホームページなどで無料見積もりなどの反響装置を設置することでWEB広告を活用し、店舗に来場してもらう流れが勝ちパターンです。また、WEB広告はチラシなどと比較して価格重視の見込み客が多い点もWEB広告と相性が良い理由として挙げられます。
⑤デザイン力
デザインを訴求する会社は、デザイン力をいかに魅せるかが勝負なのでホームページの施工事例を強化しましょう。その上で店舗でプラン相談会などを行うと比較的熱が高い状態で来場につなげることが可能です。
なお、施工事例の見せ方についてはこちらの記事を参照ください。
⑥ママコンセプト住宅
ママコンセプトの住宅については主婦目線の販売ルートが当然ながら有効です。カフェを併設した形式の展示場を作ることで、メインターゲットを呼び込むことが出来ます。また、無理な呼び込みをせず、主婦同士の憩いの場として運営することが重要です。カフェの運営自体に高額の維持費がかかる点も抑えて慎重に運営しましょう。
⑦設計士(建築家)と作る家
設計士や建築家を強みとする住宅会社は、プランの設計力が来場、あるいは契約に向けたフックになりますので、店舗でプラン相談会を行うといったやり方が勝ちパターンになります。また、営業ではなく設計士や建築家が対応する点を踏まえ「営業色」を極力なくすことが勝ちパターンです。
⑧情報量
主に分譲住宅になりますが、仲介物件も扱っている場合は物件情報の量を訴求しましょう。販売ルートについては店舗において「家づくりに関する全ての情報が揃っている」といった打ち出しを行うことが重要です。自社商品がローコストであれば「中古物件よりも自社商品が安い」と自社商品につなげる営業フローを構築しましょう。新築以外、場合によってはリフォームも扱う為部署連携が重要になります。
⑨自社分譲
自社の分譲を展開されている場合は、ホームページで物件情報を掲載し、一部の物件を会員登録型で非公開にしましょう。そうすると会員登録リストが増えていきますので、そのリストに対して来場アポを獲得する流れが勝ちパターンになります。アポについては現地に誘導し、現場の魅力を伝えることが重要です。
会員登録からの来場・アポ取得についてはこちらの記事を参照ください。
⑩ブランド
自社の知名度に優位性がある場合は、イベントが有効的です。あくまで認知を目的とし、有名キャラクターとコラボしたイベントを行います。ワイワイ系イベント自体からの案件化は少ないものの、認知度が上がりますので自社の認知度を起点にしたブランドをさらに高めることが出来ます。
⑪資材の品質
資材などの品質などを売りにしている会社は、展示場や見学会・イベントなどで魅力が伝わりにくい為、バスツアーなどを用意するといった取り組みが重要になります。また、展示場などを活用する場合はパネルなどに資材の説明などを掲載し、営業が説明する営業フローを構築することが重要です。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
住宅業界には6つの販売ルートが存在する
自社の商品に併せて販売ルートを設計しなければ集客の最大化は困難である
それぞれの成功事例に併せて販売ルートを運営しなければならない
今回は、商品の提供価値から逆算した集客、中でも販売ルートの組み方について説明をいたしました。このように自社の提供価値、や商品に合わせて販売ルートを設計する考え方は非常に重要ですので、今一度改めて自社の販売ルートが正しいかについて検討をしましょう。