鹿児島県で創業以来、数多くの家づくりを行ってきたトータルハウジングは 「感動の家づくり」をモットーに、日本人の繊細な感覚や年代別ライフスタイルに対応した、さまざまな住宅を提供している。 今回は同社の代表である、渡邊孝太郎氏(代表取締役)に 事業での取り組みや販売における考え方、経営のモットーなどについてお聞きした。(聞き手:ノウフル編集長狩野)

 

 

ーまず御社の事業概要を教えてください。

 

弊社は住宅事業・リフォーム事業・飲食事業を行っています。グループ全体で売り上げ87億円、社員数は140人です。リフォームと飲食は1社ですが、住宅事業は木造とツーバイフォーと違うブランドで展開しており、棟数は合わせて​​250棟前後です。飲食に関しては、全て食べ物に特化したお店で、現在は売り上げ38億円になり、従業員は38人います。

 

ー多角化戦略において飲食事業を行っているケースは多いですが、ここまで規模を大きくされているケースは珍しいですね。何か規模拡大におけるポイントはあるのですか。

 

これは住宅事業にも言えることですが、やはり理念に即して多角化戦略を展開することが重要だと考えています。例えば、飲食事業においても社会課題の解決という考えがベースにあります。元々飲食事業を立ち上げた際に、鹿児島県にお住まいの方を飲食で笑顔にしたいという思いで始めました。このような理念に基づいた経営を行うことが多角化戦略において最も重要だと考えております。このような考えは現状も経営の大きな判断軸として経営判断の根底にあります。

 

例えば、実は鹿児島県の貧困率は13%と日本全国ワースト3位という事実があります。貧困率とはある特定の年齢層で所得が貧困線を下回っている人の割合のことを言います。先進国である日本ではなじみのない指標ですが、経済格差という課題は日々深刻化しており、事態は思いのほか深刻です。一定の生活水準のレベルのご飯にありつけていない子どもたちが8人に1人の状況を知ったとき、何とか手助けができないか考え、フードプロジェクトを4社合同で行うことにしました。

 

 

フードプロジェクトとは、社員一丸となって、常温で置ける食べ物や賞味期限が1ヶ月以上残ってる食べ物を集め、子ども食堂に提供するという取り組みです。これらの取り組みは子どもたち、そして地球にも貢献できますし、近年話題のSDGsにも直結すると考えています。

 

ー素晴らしい取り組みですね。住宅会社では多角化を考えているケースが多いのですが、やはり理念経営やSDGsなどの観点も含めて考えることが重要なのでしょうか。

 

 

そうですね。私は高知の人間で、九州の鹿児島にやってきて商売を始めたわけですが、鹿児島の方々にこの会社を育ててもらった恩義があります。まずは足元の鹿児島に恩返しをしたいと考えており、恩義を踏まえた事業展開が重要だと考えています。

 

 

ー多くの事業会社を展開する上で、各事業会社における採用力も非常に高いと聞きました。秘訣などあれば詳細について教えてください。

 

採用力が高い背景には、ワールドワイドな視点でのボランティア活動が影響していると思います。カンボジアなどで小学校建設に取り組んでいて、業務以外でもさまざまな取り組みをしてる点が学生の腑に落ちるのではないでしょうか。あとは、グループ会社として住と食というジャンルの異なる事業を取り揃えている点にも面白みを感じているのかもしれません。これらがエントリーが多い理由かと考えています。

 

ー多角化する中でそれぞれの事業がシナジーを生むこともあるのですか。

 

 

面白いことに、飲食店の認知度を活用して住宅事業の認知度が高まっているという現象があります。飲食事業は、一部上場企業のFCに加盟しており、その中にある焼肉キングや丸源ラーメンは学生も利用するため、認知度も高い傾向にあり、例えば中核事業のトータルハウジングは知らなくても、焼肉キングを知っている学生が圧倒的に多くいます。ですから、事業間のシナジーとしては認知度という側面が大きいですね。

 

ー多角化戦略の成功において重要なポイントはありますか。

 

 

最も重要なのは事業として明確に分けることですね。例えば、事業間での配置転換などはほぼしていません。住と食の事業は似て非なるものでして、住宅は住宅、飲食は飲食と人員を割り切っています。また、分社化をしている点も同じような理由からです。現在両方の社長を務めていますが、会社を分けなければ混乱することもあります。例えば、会議で話し合いを行う際でも、内容は同じであれ、社員のリアクションが全く違うなどがあります。あくまで事業を分けて考えることが大切です。

 

ー今後の展開はどのようにお考えですか。

 

 

まず、短期ビジョンとしては3年以内に100億円の売り上げの達成を目指しています。現在、売り上げが87億円まで到達していますが、ここ3年以内を区切りとして100億円の売り上げを達成しようと全員にアナウンスして取り組んでいます。

 

住宅に関しては、鹿児島県以外で、宮崎県宮崎市への支社の立ち上げを行い、市場拡大を進めています。飲食に関しては今現在20店舗ありますが、3年以内に10店舗を増やして30店舗、それらによって100億円の売り上げを達成する目標を立てています。

 

ー定性的な側面ではいかがですか?

 

 

やはり、引き続き企業としてボランティア活動を行っていきたいと考えています。小学校は、今までカンボジアなどに二つ作り、アフリカでの建設も検討していましたが、当時は事業も含めて機運が高まらずいました。改めて3年以内にアフリカに小学校を作る目標を掲げています。

 

ー多角化や採用の観点で、商圏に対する恩返しとボランティアを紐づけて取り組まれているのですね。本日は、ありがとうございました。

 

株式会社 トータルハウジング

鹿児島県で創業以来、数多くの家づくりを行ってきたトータルハウジング。 「感動の家づくり」をモットーに、日本人の繊細な感覚や 年代別ライフスタイルに対応した、さまざまな住宅を提供している。

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