checkbox編集を終えて

 

今回もノウフルを通して、売り上げを上げるためのノウハウを紹介してきた。ノウフルは、人・物・金に次ぐ第4の経営資源である情報を、平等にさまざまな住宅会社に伝えることができたらと思い執筆している。

 

また、それだけではなく、常々を伝えしているように、今後住宅業界においては集客大恐慌が到来する。そのような中で、ノウフルは、単なる販促ではなく、商品戦略・価格戦略・立地戦略を踏まえた広義のマーケティング、いわゆる「シン・マーケティング」の浸透を目的としている。今回もこの「シン・マーケティング」というテーマに沿って編集後記を記し、本号の締めくくりとしたい。

 

checkbox住宅業界の現状

 

今年も決算期を迎え、多くの企業が売り上げの開示をしている。その中で印象的であるのが、従来業者であったローコストメーカーや建売住宅・規格住宅の工務店の不調である。

 

かつては、建売住宅や規格住宅を展開している企業だけが伸びており、それ以外の住宅企業は苦戦するという逆の現象が見られた。しかし、今年の決算を見ると、これらローコスト系の企業が苦戦しているように見受けられる。これはなぜなのだろうか。結論から言えば、原価高騰やインフレによる付加価値負担の上昇が挙げられる。下の図は、住宅の着工数の推移を示したものであるが、1980年代から見ていくと、住宅業界は2020年から衰退期に入っている。

 

 

 

1990年代は成長期の後半であり、2000年から20年間は成熟期となっていた。外部環境で見れば、この2020年まではデフレ期であり、2020年以降はインフレ期となっている。

 

 

このような中で、安いだけでは満足できない層が増えていることが、住宅業界の衰退期と重なっているのだ。また、下の図は注文住宅の建築主の世帯年収を示したものであるが、2024年においては、なんと年収1000万円以上の世帯の割合が3分の1近くを占めている。

 

 

このような中、まさに価格重視から価値重視へ、インフレによって切り替わっていると言えるだろう。

 

 

その結果、インフレや原価高騰で金額が上がった分、商品価値としての付加価値を高めなければいけないとの結果になっている。

 

 

わかりやすく示すと、下の図のようになる。元々はハイクラスの人たちは、こだわりが高く高性能の住宅会社に行っていた。また、ミドルクラスの人たちは地域密着の住宅会社に行き、比較的年収の低い層は、そこまでこだわりなく建売や規格住宅の工務店に行っていたのだ。

 

 

 

このような中で、インフレになるとどうだろうか。ハイクラスの層はそのままであるが、ミドルクラスの層も「金額が高くなるならこだわりたい」となり、高性能の住宅会社に行くように変化したのだ。そして、高性能のメーカーに行っている消費者には、性能について非常に営業しづらい結果となっている。また、低年収の層は、価格が障壁となり住宅を買うことができないので、中古住宅に行ってしまうのだ。そのため、地域密着の住宅会社と建売・規格住宅の工務店は、今後の淘汰対象になるであろう。

 

 

 

では、住宅会社はどのようにして商品価値を上げていくべきなのだろうか。代表的なものは、トータルコストと資産価値である。

 

トータルコストは、初期費用だけではなく、電気代や太陽光などの設置におけるランニングコストの削減、さらに、保証の充実によってメンテナンスのコストを削減し、トータルで見た時に価格が安いとの見せ方である。資産価値は、住宅の耐久性能を高めることによって、最終的に建物自体を資産として売却するなり、さまざまな資産活用ができるという訴求である。このように、短期的な視点ではなく、長期的な視点で購入を提案をすることが求められているのである。

 

最後に

 

以上、今回は、住宅業界の重要テーマとして「インフレと集客難に克つ」について見てきた。

 

今後インフレがさらに進む中で、住宅購入においては、短期的な視点ではなく長期的な視点での提案に切り替えることで、物価高にも対応できる体制を築いていくことが重要である。自社の経営を守るべく、市場の状況を正確に理解する上で、一人でも多くの建築業界従事者の方々にとってノウフルが貴重な情報源になれば、それ以上のことはない。

 

引用

 

 

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