住宅業界において「紹介の獲得」は非常に価値のある取り組みです。来場に発生する費用もありませんし、信頼関係が出来ているので契約率も比較的高く営業活動を行うことが出来ます。
一方で営業や工務・メンテの手間が発生する為、なかなか抜本的に取り組むことが出来ていないのではないでしょうか。本記事では社員の手間をかけずに紹介獲得数を倍増させ、大きな成果を出したA社の成功事例をご紹介いたします。
こちらはA社の当初のお悩みです。
うちは仙台を中心に自社土地に注文住宅をセットで販売する「売建」型の住宅販売を行っている。
現状土地を中心とした分譲事業を行っているが、今後土地仕入れが困難になることを想定し、「注文事業の強化」を行いたい・・・。
その上でOBを活用した紹介やリフォーム(新機能設備の提案など)などの強化が必要だ。
その上で年1回カレンダーをご配布する取り組みを800組のOB様に行っているが紹介やリフォーム受注の機会が少ないな。
どうしたらいいんだろう。
補足しますと、まず仙台を中心に自社土地に注文住宅をセットで販売する売建型の住宅販売を行っており、土地を中心とした分譲事業を行っているものの、今後土地仕入れが困難になることを想定し、注文事業の強化を検討されておりました。その上でOBを活用した紹介、リフォーム(リフォームに関しては新機能設備の提案を含む)などの強化を検討されておりました。
年1回カレンダーを配布する取り組みを過去累計800組のOB様に行っていたものの、一方で紹介やリフォーム受注の機会が少ない、ということに悩んでおられました。紹介を増やしたいが、様々な理由で体制づくりが出来ない、という会社は何もA社に限ったことではありません。OB客がたくさんいるものの手が付けられていない・・・そんなA社はどのような体制で紹介を倍増させたのでしょうか。
それでは本日の目次をお示しいたします。
A社のビジネスモデル
まず、内容に入る前にA社のビジネスモデルを整理いたします。
元々A社は、仙台を中心に住宅会社として住宅を販売しておりました。一次取得者向けに総額3500万円前後土地セット型の住宅商品をご提供していました。
集客の仕方としてはモデルハウスを建てて集客装置として活用し売却する、といういわゆる移動式展示場モデルです。営業に関しても来場客に対して土地と建物の両方を提案するスタイルで展開をしておりました。
また、当初大工から事業化されたということもあり、大工さんでした創業者の想いを引き継ぐ職人重視型の組織風土でそして創業者のご家系で経営していることから、比較的意思決定が早い組織体制でした。財務状況においてはに関しましては分譲土地を持っているということで比較的財務としては負担感がある点で特徴的です。
商圏の特性としては仙台、特に南部という所が多くの山に囲まれておりまして、パワービルダーが参入しにくく工務店シェアが大きいという特性があります。あわせて東北全域がそうですが、比較的保守的な志向性の方が多くOBとは関係構築がしやすい、いわゆる一度関係性を構築すればせまく深くお付き合い頂ける特性でもあります。
課題の考察
前提として成果を出す上では売上が上がらない要因がどこにあるのか、を明確にする必要があります。その為に与件やビジネスモデルを踏まえた上での課題を明確にする必要があります。
なお、この考え方は問題解決の基本的な考え方で非常に重要な考え方です。詳細については下記の記事に詳しく記載しておりますので併せてご覧ください。
私達はこのA社がなぜ紹介が少ないか、について以下のように分解いたしました。順に説明して参ります。
まず図にありますようにA社は紹介を獲得する依頼業務を行っていませんでした。理由としてはそもそも依頼をしても紹介をしてくれないから、ということが判明いたしました。ではなぜOBは紹介をしてくれないのでしょうか。要因は図に記載している通り大きく2つあります。一つ目は紹介のメリットがない点で、もう一つは年1回しか接点がないからでした。
紹介のメリットが少ない点を少し補足すると多くの住宅会社は紹介特典を用意していると思いますが、A社の紹介特典は粗品をお渡しするのみであり、OBが「紹介をしようかな。」とメリットを感じにくいという点が紹介が増えない原因としてありました。(①)
また、本来紹介を増やすのであれば年に3〜4回程度OB様と接点を持つ必要があるのですが、接点が年末にカレンダーをお渡しする程度で、接触頻度が比較的少ないことにより紹介が増えないといった悪循環に陥っていました。
営業側から言わせれば、OB宅に訪問することは移動を踏まえると非効率という考えがあります。自身が担当するOB宅はエリアが密集している訳ではありませんし、場合に寄っては県をまたぐこともあります。ですから、OB宅にご訪問すること自体が非効率と感じてしまうんですね。(②)
また、同じように通常の営業活動を優先するからという視点もあります。チラシから来場する見込み客のイベント案内や店舗での提案で多くの業務時間を費やします。その中でOB宅にご訪問するといった取り組みはどうしても優先順位を下げざるを得ないと考えていました。(③)
以上の課題分析を行った結果、上記①〜③を解決する仕組みづくりがA社には急務である、ということが判明いたしました。ここからはどのようにこれらの課題を解決したのかについて触れていきたいと思います。
解決の方向性
ではA社はお伝えした3つの課題をどのように解決したのでしょうか。上記の番号に沿って言えば営業業務を阻害することなく、紹介依頼を行う体制づくり(②③)と、OBに紹介のメリットが伝わりやすい体制づくり(①)をアプリによって実現いたしました。
下の図をご覧ください。こちらはA社が実際に行った「OB専用アプリを活用した紹介獲得体制」の全体像です。図のように会OB専用アプリを作り、その中で紹介活動を行ったのです。
ログインもしくは会員登録の上ご覧ください。