今回は、請負契約までを3回のスマホ完結型とし、社員を増やさずに棟数を500%増加させた福岡県F社について見ていきたい。
まず、F社の概要は上記の通りである。

F社は福岡県で注文住宅を展開している企業であり、低価格ながらデザイン性の高い住宅を提供している。当初、F社では請負契約までの打ち合わせが多く、営業マンが疲弊していた。また、1人当たりの生産性が低く、利益率も低いという状況に陥っていた。この中で、スマホを活用した販売効率の改善を行い、営業マン1人当たりの販売数を大幅に増加させるという成果を実現した。
では本日の目次を見ていこう。

 

 

住宅業界のデジタル化

 

まず、このスマホを活用した販売戦略について、外部環境から見ていこう。下の図をご覧いただきたい。こちらは、大手ハウスメーカーのニュースで、大和ハウスが住宅展示場を3割削減し、デジタル移行に舵を切ったという内容である。

 

 

人口減少により国内の注文住宅市場は20年間で25%縮小し、展示場を大きく減らす取り組みが行われ、住宅業界にインパクトを与えた。また、デジタルネイティブという言葉がよく聞かれるが、従来の1次取得者は対面でのやり取りを求める一方で、これからの1次取得者はネットを重視し、対面を嫌い、消費を控える傾向が強くなっている。

 

 

次の図は、企業のインターネット活用領域に関するものだが、単価の低い業界から高い業界へとWeb完結型のビジネスモデルが広がっているという点を抑えなければならない。例えば、Amazonが書籍販売サイトとして1995年にスタートしたことを皮切りに、アットコスメなどの化粧品業界、ZOZOTOWNのアパレル業界、ライフネット生命の保険業界、さらには住宅業界でもWeb完結の波が広がっている。

 

 

このように、コロナショックやデジタルネイティブの増加、ネット販売の進展などを受け、住宅業界にもネット完結型住宅販売の時代が到来したと言える。

 

 

その中で、スマホ完結に求められる三つのステップがある。ひとつは「選定」で、商品やプランを選定する際に、リアルでの対面面談が必要であるという視点である。二つ目は「体感」で、展示場などに足を運んで実際に住まいのイメージをつかむ必要があるという点だ。最後に「契約」で、実際に判子を押すなどの契約手続きは対面でなければ難しいケースが多い。

 

 

これらの対面ハードルをクリアすることが、スマホ完結型販売を実現するためには重要となる。小売業やアパレル業界などEC完結の観点で言えば、選定・体感・契約の三つをクリアすることが前提となる。一方で、住宅業界では選定において価格が不明瞭であり、ネットだけでは選びにくいという点、体感についてはモデルハウスに行かなければイメージが湧かない点、契約については価格の不明瞭さや判子を押す手続きが必要なため、ネットで完結することが難しいケースが多い。

 

 

F社の取り組み

 

このような中で、F社は三つの取り組みを行った。ひとつ目は、体感ハードルに関して、300近くのプランをインターネット上で用意し、ネット上で訴求するという施策だ。

 

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