住宅業界では営業マン不要論(近い未来、AIによって営業が要らなくなるのではないか)という議論が至る所で行われています。

 

こちらはある経営者のお悩みです。

 

最近はAIが流行ってるな。

なんでもロボットが人間の仕事を奪うらしい。

実際営業職もそのうち淘汰されるのかな・・・。

しかし、営業はロボットには出来ないからそんなことないだろう。

ロボットには人の感情が読めないからな。

でもある程度のことはいずれ出来るようになるんだろうな。

ちょっと心配ではあるよな・・・。

 

実際にAIの技術革新は目まぐるしく、一部の業務は既にAIによって取って代わっていることも紛れもない事実です。では営業マンは近い未来必要なくなるのでしょうか。

 

今回はこの営業マン不要論について触れてみたいと思います。

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

AI vs 営業 

 

最近巷で「営業マン不要論」が再熱しております。

 

営業マン不要論を謳った書籍はベストセラーになり、同テーマでのセミナーや講演が今増加傾向にあります。背景としてはAIの台頭です。営業職に限らずAIが今の仕事を奪うのでは、という不安は多くのビジネスパーソンが抱えているのではないかと思います。実際に営業職がいない業種や企業は増加傾向にあり、そういった企業が時価総額を上げながら存在感を増しているのも事実です。

 

 

 

 

下の図をご覧ください。一部の事例ですが、上記のような企業はまさに営業マン不要論を体現するように営業マンを使わないビジネスモデルで展開しております。

 

 

1社目がライフネット生命です。生命保険会社にもかかわらず、営業マンはいません。インターネット販売に特化することで、その分格安な保険料を実現している点です。実際にプロが選ぶ死亡保険第1位に選ばれるなど、保有契約高というのが1年目で900億円を超えてるような会社です。

 

2社目がテスラモーターズです。CEOのイーロン・マスク氏の宇宙ビジネスなどが最近様々なメディアに取り上げられているテスラモーターズも、営業マンがいません。

 

3社目はDELLです。DELLは受注生産型のPC販売で有名になりましたが、DELLに関しても、営業マンがいない点が特徴になっています。

 

営業マンがいない会社に関しては、高い競争優位性を持っている点も特徴的と言えます。営業コストがかからない分、そのコストの分を商品の原価に付与することで、いわゆる「安くても良い商材と」いったサービス展開が可能になります。

 

こういった営業がいない会社の競争力というものが増えていくんじゃないか、という風に言われております。さらにもう一つ違った観点で見ていきます。

 

下図のをご覧ください。

 

 

 

直近の20年間で実は営業マン人口が、10%およそ100万人減少しています。他の業種を見ても数%の変化はあるものの、10%レベルで変化が出ている職種はこの営業職のみになります。そういったところからもそもそも営業がいなくなる、と言われることも分かるかと思います。

 

これは営業職がなくなる、というよりやはりAIによって代替されるという見方が正しいでしょう。最近ではpepperくんを中心に、様々ないわゆる業務ロボットの市場が本格的拡大しています。当然ロボットが営業をする未来は遠い未来ではあるものの、徐々にその影響力を増しているのは紛れもない事実です。

 

 

こういうところからも営業マンがロボットに取って代わる、こういった未来も想像がつくのではないかという風に思います。では改めて、営業は今後必要なくなるのでしょうか。

 

結論から申しますと、私は営業は100年後も200年後もなくならない、と考えております。

 

それでも営業が必要な理由

 

下図をご覧ください。

 

こちらは見込み客が自社に対して、「会社に対してどういったところにロイヤリティを感じているか?」をデータでまとめた資料になります。

 

 

企業やブランドのインパクトが19%、製品サービスの提供が19%、コストパフォーマンスが9%、中でも特筆すべきが「営業体験が53%」を占めているという点です。ほぼ半数ですね。理由についても「営業マンが独自の視点を提供してくれる」、「選択肢を検討する手助けになる」、など様々な要因が挙げられております。

 

ここで注目すべきは「営業体験、顧客の営業体験が会社のファン度、ロイヤリティに非常に密接に寄与している」ということです。

 

もう一つデータをご覧ください。

 

 

実際にこれは住宅宅会社15社のアンケートから抽出したものです。「自社を選んで頂いた理由は何ですか?」という質問対して、1位は圧倒的に「営業マンの対応」となっております。もし自社でもアンケートを取られている会社は、是非自社のアンケートも確認して欲しいのですが、「営業マンが良かったからあなたの会社で決めました」、「あなたの商品に決めました」という方が思った以上に多くいる、ということに驚かれると思います。

 

ではそんな営業なんですが、「何もしなくても営業として生き残れるのか?」というわけではありません。

 

やはりデジタル時代になることで、営業という機能が必要なくなる、という風潮も一方で存在します。その中でやはりAIが出来ないことを営業マンが主導権を持って進めていくことが重要になります。

 

ではどういったところを注力して営業活動を取り組むべきなのか?大きく2つ、①顧客の課題解決が出来ること、②営業は購入の後押しが出来ることに尽きると考えています。

 

①営業は顧客の課題解決を助ける

 

では一つ目、営業は顧客の課題解決を助ける、について説明をします。

 

まずこちらのグラフをご覧下さい。

 

顧客を取り巻く情報を調査したデータです。

 

 

住宅を検討されている見込み客の入手する情報というのは、5年間で6倍まで増加しています。例えば、「今まではチラシあるいは看板を見て、住宅会社を知って来場するだけでよかった」が、インターネットによる様々な情報を入手することによって「1社しか検討しなかったものが、10社20社あるいはポータルサイトでもっとたくさんの情報を資料請求することによって、様々な情報や会社と触れることになった」のです。

 

これは非常に良い側面がある一方で、いわゆるたくさん情報がありすぎて迷子になってしまう、という傾向が非常に強くあります。

 

 

 

従来だと選択肢が少なくて迷わなかったことが、情報が多すぎていわゆる「情報迷子」になってしまって結局どうしたらいいか分からないという風なケースに落ちいる、そんな方がたくさん増えております。

 

このような状況でどのような営業が求められていくでしょうか。

 

こちらについては大きく3つあります。

 

まず一つ目、専門的な知識を持っている人です。消費者がネットなどの情報で物やサービスに関する情報を、簡単に手に入られることが出来るようになりました。しかし知識を得るのには限界があります。どこかで頭打ちになってしまって、分からない部分は出てきます。それゆえ専門的な知識を持った営業が、正確に情報提供するということが非常に大事になります。この領域はAIでもなかなか難しい領域であると言えます。

 

二つ目ですが、顧客に寄り添って課題を探し出し、それを自社製品で解決する人が求められます。見込み客と接触して物やサービスを売る、そんな重要性が高まっていきますが物やサービスという風な捉え方ではなくて、そもそも見込み客の課題を緻密に洗いだして自社のサービスでこういうこと出来ますよ、といった提案力が求められてきます。

 

例えば今狭いから広いリビングにしたい、という要望について本音の部分を探ってみると、お友達を呼んでリビングパーティーをしたいんだ、と分かるわけです。そういった課題を深掘りして、ではパーティ向けのスタンド型のキッチンがいいですよ、という提案を行うことが出来るのです。これはなかなかAIやロボットでは出来ないですね。こういったところが、いわゆる情報化社会において役割として求められる二つ目になります。

 

そして三つ目ですが、顧客が気づいていない課題を発見する人です。これは更にレベルが高い話かもしれませんが、見込み客が話す課題に対し、その考えではさらなる課題が出てきますよ、と課題をこちらから引き出す営業が求められます。そこに対して解決策を提示出来る、そういった役割が求められるんですね。

 

このような力を持っている役割というのは、営業マンに他ならないわけです。AIやロボットが、これは50年経っても100年経っても出来ることではありません。

 

②営業は購入の後押しをする

 

そしてもう一つ目、営業は購入の後押しをする、ということになります。

 

ここで一つ問いかけをいたします。

 

一般的にバンジージャンプは飛び込み率が70%程度と言われています。最後の最後で怯んでしまう方がいるからですね。一方であるテーマパークではバンジージャンプ飛び込み率が100%です。

 

では何故でしょうか。

 

答えはインストラクターが「飛ばせるのではなくて、背中を押すから」なんですね。普通はかけ声でせーので飛んでください、で終わりますが、このテーマパークは遠慮なく思いきり背中を押します。なぜかと言うと、飛んだ方が幸せだ、と知っているからです。

 

 

住宅を検討している見込み客も、数千万円の買い物ですから最後は躊躇します。ただ本来営業マンは、実際に住宅を購入して幸せになった方をたくさん見てるので、背中を押すことが出来るんですね。もちろん「住宅を買うと不幸になる」と思っている営業の方はしませんが、この点もやはり AI あるいはロボットには出来ないことですね。

 

淘汰される「営業スタイル」とは?

 

ここまで営業はAIに取って代わらないとお伝えしてきましたが、残念ながら取って代わる営業スタイルは存在します。

 

ではどのような営業スタイルが淘汰されるのでしょうか。

 

それは「販売員型」の営業マンです。

 

では一般的な営業と販売型営業の違いって何?となりますが、基本的に営業と販売員に関しては商品説明をする点は共通です。

 

一方で先程お伝えした「課題の解決」や「購入の後押し」に関しては少し弱い、というスタイルの営業マンですね。いわゆるAとBという商品だったらBの方がいいですよ、といった商品説明や単なるアドバイスにとどまっていれば当然ながらAI 、ロボットが出来てしまう領域となります。

 

 

こちらのサザエさんのキャラクターご存知でしょうか。三河屋さんのサブちゃんです。

 

 

こういったサブちゃんのような役割が、失礼ですがこれからAIによって取って代わると言われております。サブちゃんは、気前よく醤油が切れそうなタイミングで醤油切らしてませんか、あるいは寒い季節になると熱燗美味しい季節ですよ、と先程の商品説明をしてくれます。

 

ただこういった機能は、Amazonのレコメンド機能と変わりません。先程のpepper君とまでいかなくともオンラインの流れで単なる販売員がレコメンド機能に取って代わる日は遠くはないでしょう。

 

実際にある調査では、10年後になくなる仕事ランキングで1位が販売員といった結果が出ています。

 

 

ですから改めて、自分はAIに出来ない営業が出来ているだろうか、販売員、単なる商品説明になっていないだろうか、と自身に問いかけてください。

 

以上、結論をお伝えすると①営業は顧客の課題を解決し、②購入の後押しをする機能であると言えます。

 

この①営業は顧客の課題を解決するという考え方は一般的に「課題解決型営業」と言います。

 

ここからは課題解決営業についてご説明致します。

 

下の図をご覧ください。営業理論を遡ると1900年代から2010年代まで4つの変革が起こってきました。

 

 

1900年代、実は保険の営業、保険業界から営業ノウハウというものは生まれたんですが、100年前に丁度分業というものが生まれました。いわゆる保険の営業する方と保険の契約書類を書く方っていうのは、分業したら生産下がるよね、というノウハウが実は100年前に発見されたんですね。そう考えると、意外に歴史は浅いですよね。

 

そして1950年代、70年ほど前に「単純接触の法則」や「ラポール」といったテクニックが生まれ、1980年代に「SPIN法」と言われる大型商談のテクニックが生まれました。

 

そして、2010年代に「単なる物売りではなくて見込み客の課題を解決しましょう」、という課題解決型営業が生まれたんですね。これはまさにAIを中心としたインターネット革命の中で営業がどのように自分達の職種を守っていくのか、という観点でまとめられた考え方になります。なお、インサイトセールスという考え方が一部で浸透しておりますが、あくまで課題解決型営業の延長と捉えてください。

 

つまり、世界的な営業理論においても先程お伝えしたような情報化社会といった外部環境により課題解決営業が主流になっているのです。

 

課題解決型営業とは何か?

 

最後に課題解決型営業とは何か、について簡単にに説明いたします。お伝えしましたようにあくまで顧客の課題を解決するアドバイザーの位置付けになります。ですからあくまで教師的なポジションで立ち位置は上であることを目指します。

 

また、商品を提案するのではなく、あくまで課題解決を重視することに特化し、場を支配することが重要です。

 

 

多くの住宅営業マンは関係構築を意識し過ぎることで顧客の考え方に歩み寄る姿勢を持っているのではないでしょうか。しかしながら、住宅のプロとしては時に厳しく顧客を安全圏から引っ張り出すことが重要です。顧客に嫌われてでも顧客にとって正しい解決方法を提示することが求められます。

 

 

一方で「顧客に嫌われてまで自己主張を通すべきなのか・・・」とお考えの方もいるのではないでしょうか。そのような場合は下記に記した本当の意味での顧客満足について考えてみることが重要です。

 

貴重な時間を頂いているからこそ有益な時間にする

見込み客はお忙しい中時間を作って面談を受けて頂いています。単なる商品説明ではなく、見込み客の課題を早期に解決してあげることが本当の意味での顧客満足です。

 

自身の知見が優位であることを理解し、遠慮をしない

住宅の領域においてはプロである以上見込み客よりも幅広い知識や経験を保有していることは明らかです。見込み客が今後住宅選びに失敗しない為に遠慮せずに見込み客の為に正しい情報を伝えることこそ本当の意味での顧客満足です。

 

商品説明のみ行うことは失礼であることを認識する

見込み客に商品説明のみを行うことは見込み客ひとりひとりのことを考えているとは言えません。商品よりも見込み客の課題を解決することを最優先してこそ本当の意味での顧客満足です。

 

では課題解決営業はどのような流れで進めるのでしょうか。大きく3つの流れがあると言われています。順に説明いたします。

 

 

まず一つ目が信用獲得です。見込み客は営業マンの人間性をまず観察します。信用出来る営業マンでなければ当然課題解決の話をしても話を聞いてくれませんのでまず信用獲得を行うことが重要です。なお、信用獲得の流れはこちらの記事でまとめていますので併せてご覧ください。

 

 

二つ目が課題解決です。信用を構築した上でお伝えした課題解決型営業を行うことが重要です。課題解決においては当然ながら顧客の課題をどのようにヒアリングするか、また自社の商品と顧客の課題をどうつなげるか、を考えることが重要です。具体的な課題解決の流れについては下記の記事を参照ください。

 

 

三つ目が差別化です。課題解決を行った上でさらに解決する手段としての自社の差別化トークを展開することが重要です。課題解決を行った上で自社のサービスをどう説明するか、についてはこちらの記事を参照ください。単に商品を説明するのではなく、商品の魅力を最大化する営業トークの考え方をまとめております。

 

 

本日のまとめ

 

改めて、本日のまとめは以下になります。

checkbox営業マンは20年で100万人減少している

checkbox顧客が契約した理由の53%は営業マンである

checkboxデジタル時代だからこそ顧客の課題解決と後押しが必要になる

checkbox一方で「物売り営業」はAIに代替される

checkbox同時に課題解決営業はより価値を増す

 

今後AIの躍進によって営業は淘汰されるどころか、さらなる価値発揮が求めらていきます。その時代の流れの中で「AIに淘汰されない営業力」が非常に重要になります。本記事を踏まえて積極的に正しい営業スタイルを身に着けましょう。

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