顧客の満足度を上げれば紹介が増えると感じ、様々な取り組みを行っているがなかなか満足度が上がらない・・・とお悩みの方は多くいるのではないでしょうか。実際紹介が多い会社は満足度が高いケースが多く、視点は正しいはずが、なかなか満足度が上がらないんですね。

 

こちらはある経営者のお悩みです。

 

うちは商品はいいのに紹介比率が低いんだよなあ。

一方で一部のメンバーは紹介だけで契約を上げてるし、結局センスなんだろうな・・・。

ただでさえ忙しい営業に紹介活動をしろって言っても新規の営業活動が忙しいって言われるし。

でも仲間の会社は紹介の比率が全棟数の中で7割を超えてるんだよな。

あの会社は完全にお客様満足のみを考えてるからな。

うちはあくまで普通の会社。

どうしたらいいんだか・・・。

 

こちらの経営者と同様に満足度が上がらない、上がったとしても紹介をもらえるかどうかは営業マンのセンス、と割り切ってしまっているケースがあるのではないでしょうか。

 

本日はこのようなお悩みについてどのように対処すべきかをお伝えいたします。

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

集客構造における「紹介・リフォーム受注」の位置付け

 

では、まず住宅業界の集客・営業構造における位置付けを見て参ります。

 

紹介やリフォームについてはあくまで集客活動の位置づけになります。

 

他の媒体がいわゆる「店舗や見学会」などに来場してもらう施策とすれば紹介も同様に店舗に新規客を来場してもらう集客活動ですね。ただ、営業マンが対応するという点では単に集客部が対応するというより、連携して進める部分かもしれません。

 

 

紹介を増やす為の3つの施策

 

では改めて紹介を獲得する為に何が必要でしょうか?

 

下の図をご覧ください。

 

 

こちらは満足度が上がれば上がるほど、口コミを行った人が増えていくことを示した図になります。多くの方は体感されていると思いますが、データで見ても満足度を上げれば、紹介口コミが増えるということがお分かりになると思います。

 

もう一つご覧ください。こちらはある住宅会社で、OBからどのくらい紹介をもらえたかをグラフにした図になります。

 

 

結果を見ると、10%のOBが全体の50%近くの紹介をしてくれていることが分かりました。紹介特性が高いOBを見極める点においては、満足度が高くとも紹介に繋がらない方が一定数いらっしゃる一方で、満足度がそこまで高くなくとも、紹介をたくさん頂ける方がいらっしゃるということです。世間一般的な言葉で言えばおせっかいな方が、紹介特性が高いOBに当てはまりますが、自社のOBの中でそのおせっかいの方を探すことが重要になるんですね。

 

ですから、紹介を増やす為には一つ目「全体の満足度を上げる」、そして二つ目「紹介特性が多いOBを見極める」。そして三つ目「紹介活動を行う」ということが重要になります。

 

では全体の満足度を上げる為に、どのような施策が必要なのでしょうか。本記事では、そちらについて触れてみたいと思います。

 

なお、残り2つの「紹介特製が多いOBを見極める」「紹介活動を行う」については下記の記事でまとめていますので併せてご覧ください。

 

 

OBの満足度を上げるテクニック大公開

 

ここからは実際の住宅関連企業(工務店)事例を踏まえてご説明いたします。

 

ご紹介する会社は、四国で年間100棟販売している戸建ての住宅会社で、全体棟数における紹介からの契約は7割近くですからほとんどがOBからの紹介です。

 

ですから、他の会社よりも広告宣伝費はかかりませんし、何を営業の手間もかかりません。そして、生産性が高く、顧客満足社員満足ともに高く結果的に利益率も高いという好循環を生み出している企業になります。

 

 

具体的に行っている施策が下図になります。

 

 

見学会が一番最初に会うタイミングですが、来場予約が確定すれば、結婚式のような招待状をお送りするんですね。そして実際に来場すると、ウェルカムボードが出迎えてくれ、ドリンクメニューとネームプレートが手元に準備されます。ネームプレートは見込み客の名前が掲載されたプレートになり、この時点で、見込み客の期待値を超えてるんですね。

 

そして、お子さんがいらっしゃる場合は、事務員が保育士の資格を持っておりますので、接客を受ける間は保育士が、お子様あやすなどの細かい工夫をしております。最初のタイミングで期待値を超えることによって、高い契約率を実現することが出来るという副次効果も見受けられます。

 

そして着工のタイミングも抜け目がありません。着工式を行うだけでなく、その場でお祝いの膳をもてなします。

 

この時点で見込み客の満足度は非常に高まることはお分かりかと思います。

 

それだけでは終わりません。上棟のタイミングではハサミと手袋を用意してテープカットまで行います。そして、プロの方が加工したお子さんの絵をプレゼントしたり、ご夫婦のそれぞれの感謝の手紙を読む機会を作ったり、それらを写したDVDを最後にプレゼントしたり、様々な工夫がなされているわけですね。

 

 

このDVDですが、さらに仕掛けがあります。

 

まず、着工からの内容を撮影し編集したもので、10枚から20枚お渡しするんですね。この狙いはオーナーのお知り合いにお渡し頂くことです。DVDをご覧になった友人は、感動しこの住宅会社で家を建てたいと思って頂ける。このような仕掛けになっているんですね。

 

さらにはこのDVDは業者さんの名前もエンドロールで入れております。業者さんが、このDVDを見ることによって感動し、身内を紹介する、といった紹介の連鎖がこのDVDから生まれているんです。

 

続いて下の図をご覧ください。

 

こちらは、同じ会社が行っている感謝祭になります。

 

一般的な住宅会社が紹介を増やせない大きな理由の1つとして、顧客接点が少ないことが挙げられます。ですからオーナーの感謝祭は、顧客接点を増やして紹介を増やすことが目的の一つだと言えます。実際にこの会社では、紹介の半分はこのオーナー限定の感謝祭から発生しています。

 

 

以上を踏まえ重要な視点をお伝えすると「出会ってから引き渡しまで一貫性を持って満足度を高めにく」ことが重要であるということです。

 

単に上棟式を行う、DVDをお渡しするだけでは満足度は高まりません。ポイントカードのように全ての顧客接点で満足ポイントを稼ぎに行くという考えが非常に重要になります。

 

ミッションと紹介の関係性

 

以上満足度を上げるテクニックをお伝えしましたが、結論から言えば、細かいテクニックだけでは紹介を1.5倍にすることは出来ても全体の7割を紹介、という水準は難しいでしょう。

 

なぜでしょうか。それは「理念に基づいた活動にならない」からです。まずこの会社は「売上よりもお客様満足」という強い理念があります。理念から現場に「お客様満足」を落とし込んでいるから一貫した活動で満足度を限界まで高めることが出来るのです。

 

では理念とはなんでしょうか。下図をご覧ください。

 

理念とは「自社の活動を通して果たす社会的使命」を指します。そして「理念を通じて目指すゴールを(ブランド)ビジョン」、「それらを展開する上での社員の価値観」を(ブランド)バリューといいます。

 

 

また、単に作るだけではなく下図のように現場への浸透も徹底して行っております。お客様満足をクレドに落とし込み、毎朝社員が唱和する、あるいは朝礼で経営者が毎週発信するなど徹底した取り組みを行っております。

 

 

また、下記のようにコンセプトムービーを活用することも有効です。自社のミッションについて動画形式にして社員に発信することで考え方に対するより深い理解に繋がります。併せてこのような動画はマーケティングや採用などにも転用が出来る点もメリットのひとつです。

 

 

では理念をお客様満足に切り替え、現場まで落とし込めば良いのでしょうか。一朝一夕ではありませんが、それが本記事の解となります。

 

一方で、注意しなければならない点があります。下図をご覧ください。

 

 

「理念を変える」ということは、現在の組織における「踏み絵」のような位置づけになります。ですから、現在の圧倒的な戦力というものを失うことも考えられます。一方で、理念採用という施策を行うことで、お客様満足を主体に置いた未来の圧倒的戦力を採用することも出来ますからこの点を組織として捉えるのか、が重要になります。

 

実際にこの住宅会社も理念を変えるまでは売上しか考えておらず、給与も歩合だったのですが、理念をお客様満足主体に切り替えることによって、このような圧倒的な紹介比率を実現をすることが出来ました。

 

一方で、当初の戦力である営業部長を含めたベテラン営業マンが、理念に反発し、多く退職されたということもこの成功エピソードの過程にあったことを触れさせてください。

 

本日のまとめ

 

改めて、本日のまとめをお示しいたします。

checkbox紹介を獲得するには「①満足度を上げ」「②紹介特性を見極め」「③紹介依頼をする」が重要である

checkbox満足度を上げるには出会ってから引き渡しまで一貫性を持って満足度を高めるべきである

checkboxただし、テクニックに走るのではなく理念ベースで顧客満足度を高めに行くことが重要である

以上、紹介を獲得する為の満足度を上げる策について触れました。重要なポイントとしては、お伝えしたテクニックを踏襲しつつも、本質的にミッションやビジョンやバリューを変えることが最も有効な手立てだということを押さえてください。

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