多くの住宅関連企業(工務店)にとってOBを活用した「紹介獲得」と「リフォーム受注」は至上命題ではないでしょうか。

 

一方でOBとの接点を持つ工数もなかなか取りにくく、紹介による契約やリフォームを増やしきれないことが実情ではないかと思います。

 

こちらはある経営者のお悩みです。

 

紹介が最近減ってきたな・・・。

ウチは顧客満足がウリなのになんでだろう・・・。

年末にカレンダーをお渡しして回ってるのに、何かが違うのかな・・・。

あと、OBで言えばリフォームも増やしたいんだよな・・・。

リフォームを増やしたいのは増やしたいが、小ぶりな案件は対応出来ないんだよな・・・。

出来れば大規模工事を増やしたい。

でもそんな都合がいい訳ないよね。。。

 

顧客満足が高い会社でも意外に紹介やリフォーム受注が少ないんですね。しかし、そのような会社こそ体制を構築すれば一気に成果を出すことが出来ます。

 

本日はこのようなお悩みについてどのように対処すべきかをお伝えいたします。

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

集客構造における「紹介・リフォーム受注」の位置付け

 

では、まず住宅業界の集客・営業構造における位置付けを見て参ります。

 

紹介やリフォームについてはあくまで集客活動の位置づけになります。他の媒体がいわゆる「店舗や見学会」などに来場してもらう施策とすれば紹介も同様に店舗に新規客を来場してもらう集客活動ですね。ただ、営業マンが対応するという点では単に集客部が対応するというより、連携して進める部分かもしれません。

 

 

CRMを軸とした2つの考え方

 

まず、紹介活動についてのノウハウをお伝えする前に言葉を理解しましょう。

 

下図をご覧ください。「OBを活用して売り上げを上げる」という考え方をCRMと呼びます。

 

 

日本語に訳すと、「顧客関係構築」となりますので、端的に言えばOBとの関係を強化することによって、売り上げを上げるといった考え方そのものを指します。

 

その中に、一つ目、CLVがあります。「顧客の生涯価値」という意味ですが、端的に言えば「顧客に再度購入をしてもらう」、いわゆるリピート率を上げることによって、顧客から頂く生涯の価値(ここでいう価格)を引き上げるといった考え方になります。

 

そしてもう一つ、CRVは「顧客紹介価値」と言われるものです。こちらがいわゆる住宅業界における「紹介活動」を指す訳ですね。ですから、OBを活用したマーケティングにはCLVとCRVというものがあり、それらを総称してCRMと呼ぶことを押さえてください。

 

なぜCLVが必要なのか?

 

ではなぜCLVが必要なのか、について触れてみたいと思います。

 

下図をご覧ください。こちらは、住宅業界における1顧客あたりのCLVを算出した数字になります。

 

このデータ自体は、「国土交通省の増改築・改装等の調査結果から算出した生涯メンテナンス費用平均」、そして同じく「国土交通省統計データ」から算出した「マンション設備管理費用の金額」を参考に算出をしております。1人のOB様から頂けるメンテナンス、あるいはリフォームにおける金額は、おおよそ1622万円から2118万円と言われております。

 

 

 

当然ながら、住宅会社によっては、メンテナンスを無償にしていたり、OBによっては、リフォームを他社に依頼したりということもありますので、この金額をまるまる頂けるというわけではありませんが、一つの参考として押さえてください。

 

そして、もう一つ、下図をご覧ください。住宅業界の様々な業種業態の将来性をまとめた図になります。

 

 

注目すべきは、新築請負市場新築分譲売り建て市場が減少傾向にある、併せて仲介、リノベーションリフォームといった市場が拡大傾向にあるという点です。

 

この2点を踏まえると、単なる住宅を建ての販売だけではなく、ストックとしての市場にある程度力を入れる必要があるということが分かります。

 

実際に下記図のように多くハウスメーカーはリフォームに関する売上を年々増加させております。この背景には、先ほどお伝えしたようなフロー市場と言われる新築戸建住宅業界の縮小、そしてメンテやリフォーム、リノベーション市場の拡大という点が挙げられます。

 

なぜCRVが必要なのか?

 

続きまして、なぜCRVが必要なのかという点に触れてみたいと思います。

 

CRVの強化においては、多くの方が重要性を認識されているので、改めてお伝えする必要がないかもしれませんが、CRVのメリットについてまとめた図が下になります。

 

 

一つ目、集客効率ですね。OBのご紹介で来場される見込み客は、当然ながら内情にかかるコストが発生いたしません。ですから、非常に効率よく、集客が出来るという点がメリットの一つ目になります。

 

二つ目は、営業効率です。OBの紹介ということから、ある程度の信頼性は確保出来ている状態から営業活動はスタートいたしますので、当然ながら契約のみ止まり、契約率が上がる傾向にあります。住宅業界で言いますと、一般的な以上からの契約率は、おおよそ10%つまり10件に1件が契約すると言われておりますが、紹介に関してはその3倍、30%、つまり3人に1人が契約に繋がると言われております。

 

三つ目は業務生産性です。信頼を獲得する為の初期段階のアプローチが軽減されますので当然ながら営業の生産性が高まります。紹介者の信頼度によっては話をしなくても契約につながった、というケースもあるのではないでしょうか。

 

4つ目が、顧客満足です。例えば、OB様が友人を紹介してくださり、その友人が満足された場合は、当然、OBも満足する。という好循環が生まれます。ですから、紹介活動を正確に行えば顧客満足に繋がるということも言えるんですね。

 

5つ目は社員満足になります。こちらは、先ほどお伝えした顧客満足という点が高まると。必然的に社員もやはり喜ばれると嬉しいですから、満足する。といった好循環を生むことが出来るんですね。

 

最後に利益率になります。紹介によって、接客をするケースは比較的に値引き合戦になりづらいという利点があります。やはり紹介をしてくれたOBの顔を立てないといけないという心理が働くからでしょう。

 

以上紹介活動を行う上でのメリットをまとめてみました。

 

併せて世の中の変化や考え方という観点からも紹介活動の魅力に触れてみたいと思います。こちらの図をご覧ください。海外の調査会社が案ゲートを取ったデータになります。「信頼出来る情報源は何ですか」という質問に対し、90%の方が知人からの推奨と記載をしております。

 

 

同時に、インターネット上の消費者の意見が70%を占めており、企業のWebサイト、あるいはニュースを大きく上回った結果となっております。こちらから言えることは同じ消費者の目線での推奨が非常に大事であるということです。ですから、同じ消費者であるOBからの紹介という点においては、非常に有効な手段だと言えます。

 

そして右側の図をご覧ください。こちらはTwitter社が出した声明ですが、ブランドに関する口コミが10%増えると売り上げが3%増加すると、声明を出しております。

 

紹介と口コミはセットで語られることが多いと思いますが、その口コミにおいても、正しくコントロールすれば、大きな売り上げ貢献に繋がるということが、この図からも分かるのではないかと思います。

 

CLVを上げる上で重要な考え方

 

では、CLVを上げるには、どのようにすればいいのでしょうか。こちらは、ある経営者のお悩みになります。

 

リフォームを増やしたいのは増やしたいが、小ぶりな案件は対応出来ないんだよな・・・。

出来れば大規模工事を増やしたい。

でもそんな都合がいい訳ないよね。。。

新たにリフォーム部門を作る訳にはいかないし、今のメンテナンス部隊で手一杯だよな。

そもそもメンテナンスはクレームが多くて皆行きたがらないんだよな。。。

チラシを撒いてもまったく集客はないしどうしたらいいのやら・・・。

 

やはりOBからのリフォーム。を増やしたい、とお考えの経営者は多いと思います。しかしながら、結果的には、小ぶりな案件、いわばメンテナンスの延長線上のような案件が多くなってしまい、結果的に利益が合わないということもあるのではないでしょうか。

 

下図をご覧ください。こちらはリフォームに関する種別を規模で分類したものになります。

 

 

最上部のイノベーションは、空間を大きく変えるリフォームになります。そしてリモデルは間取り変更や断熱工事など、バージョンアップをするという考え方ですね。リフレッシュは壁紙の張替え、キッチンの入れ替えなどを指します。リペアは、痛みなどに対し部材交換などを行うことを指します。

 

住宅会社のメンテナンスは多くがこのリペアに当てはまるのではないでしょうか。そして、リモデルとリフレッシュを境に、大規模工事小規模工事と分類することが出来ます。

 

では、どのようにすれば、高単価案件が増えるのでしょうか。結論から言えば、OB向けにマーケティングを行うということが重要になってきます。

 

マーケティングは、ここでは集客・営業・商品全てを指します。つまり、オーナー向けに大規模工事に向けた集客活動を行い、そしてメンテナンス訪問を軸にした営業活動を行います。さらに、大規模工事を主軸とした商品開発、この三つを行うことによって、比較的単価の高い大規模工事を戦略的に獲得することが出来ます。

 

 

さらに詳しい内容については、以下の記事で「CLVについての具体的な強化ポイント」について触れておりますのでご参照ください。

 

 

CRVを上げる上で重要な考え方

 

続いて、CRVについて見てみたいと思います。こちらはある経営者の悩みです。

 

うちは商品はいいのに紹介比率が低いんだよなあ。

一方で一部のメンバーは紹介だけで契約を上げてるし、結局センスなんだろうな・・・。

ただでさえ忙しい営業に紹介活動をしろって言っても新規の営業活動が忙しいって言われるし。

でも仲間の会社は紹介の比率が全棟数の中で7割を超えてるんだよな。

あの会社は完全にお客様満足のみを考えてるからな。

うちはあくまで普通の会社。

どうしたらいいんだか・・・。

 

多くの住宅会社で紹介が取れる営業マンと紹介が取れない営業マン、大きく分かれてしまっているのではないでしょうか。紹介を頂けるかどうかについては、営業マンのセンスによるところもあります。ただし、会社が正しい仕組み作りを行えば、全棟数の中で、半分以上を紹介で確保することが可能です。

 

では、紹介を獲得するには何が必要でしょうか。

 

下の図をご覧ください。結論から言えば、大きく3つの体制づくりを行うことで紹介による契約を増やすことが可能です。

 

 

では順番に説明して参ります。

 

一つ目が、全体の満足度を上げることになります。こちらの図は、満足度と、紹介の相関をとったグラフになります。

 

 

ご覧の通り満足度が高まると、紹介をした、あるいは口コミをした数が増えていくという点が見受けられます。ですから、会社全体の仕組みとして、満足度を上げることによって必然的に紹介、あるいは口コミの数が増えていくということがお分かりになるかと思います。

 

満足度を上げるポイントは以下の記事をご参照下さい。

 

 

 

そして二つ目ですが、紹介特性が高いOBを見極めることが重要になります。

 

下の図をご覧ください。こちらは、ある住宅会社で「紹介を依頼した際に何人を紹介してくれたか」をまとめたグラフになります。

 

 

結論から言えば、10%のOBが全体の50%近くの紹介をしてくれたということが判明いたしました。OBの中にも紹介特性のある方とない方がいらっしゃいます。平たく言えばおせっかいな方。そうでない方がいらっしゃいます。

 

1人で10人、20人紹介してくれる人もいれば、満足度が高くとも、1人も紹介してくれない人が存在するわけですね。ですから、数多くいるOBの中で紹介をしてくれそうな人、してくれなさそうな人を見極めるということが非常に大事になります。

 

なお、紹介特性を見極めるポイントについてはこちらの記事を参照ください。

 

 

本日のまとめ

 

改めて、本日のまとめをお示しいたします。

checkboxOBを活用したマーケティングをCRMと言う

checkboxCRMにはCLVとCRVが存在する

checkboxCLVを高める上で重要なことはOB向けの「集客・営業・商品体制」を構築することである

checkboxCRVを高める上で重要なことは「①満足度を上げ」「②紹介特性を見極め」「③紹介依頼をする」ことである。

 

以上、OBを活用した売り上げを上げる戦略として、CRM、その中のCLVとCRVの考え方をお伝えしました。

 

CLVとCRVは同じOBを活用したマーケティングですから、片方のみになるのではなく、是非とも両軸で効率的に仕組み作りを行いましょう。

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