多くの住宅関連企業(工務店)で紹介営業を強化する取り組みをされていると思います。一方で、営業マンのAさんは紹介をたくさんもらってくるが、営業マンのBさんはなかなか紹介をもらえない…といったように、紹介営業は営業担当者によって大きなばらつきが生じてしまう領域でもあります。
こちらは、ある経営者の悩みです。
紹介をOBに依頼するのって抵抗あるよね。
なんというか、OBさんのご友人をお金目的で見てる感覚に陥ってしまう。。。
きっとOBさんも友人をお金の為に売ったと思われたくないから紹介をくれないんじゃないかな。
紹介をもらえる魔法のトークなんかがあればそんなこと気にせず紹介を依頼するんだけどそんな虫のいい話無いよな・・・。
このように、紹介営業の体制づくりに苦戦されている会社も多いのではないでしょうか。
今回は、そのような悩みに応える形で、紹介を今以上に獲得するテクニックをご紹介します。
では本日の目次をお示しいたします。
目次
住宅業界の集客構造における紹介の位置付け
まず下の図をご覧ください。
紹介は、住宅業界の集客構造の中で大きな比重を占めます。まず、展示場やイベント・見学会・店舗に来場してもらうためには、大きく分けて8つの施策があります。その中で、紹介は、OBから友人を紹介してもらい店舗やイベントに来場してもらうことを指します。
紹介を獲得する為の3つのポイント
では、紹介を獲得するためには、どのようなことがポイントになるのでしょうか。
①全体の満足度を上げること、そして②紹介特性が高いOBを見極めること、その上で③紹介営業を行うことが重要になります。
①の補足ですが、下の図を見ると、紹介・口コミと満足度の相関が高いということは理解できると思います。
なお、満足度を上げる為の施策については下記にて詳しく触れていますので併せてご覧ください。
もう一つ図をご覧ください。下の図は、ある住宅会社における紹介営業の取り組みをデータでまとめたものですが、結論から言えば「10%のOBから全体の50%近くの紹介を獲得している」という結果になっています。これを踏まえれば、②の紹介特性が高いOBを見極めることが紹介を獲得する上で非常に大事だということが分かると思います。
成功企業が行っている「紹介獲得マネジメント」とは?
では、紹介特性についてはどのように把握すればよいのでしょうか。
下の図をご覧ください。
まず、対応中のOB客、あるいは過去のOB客に対して、営業や工務の担当者が「自社に満足しているかどうか」、あるいは「自社をご友人にどの程度おすすめしたいか」についてヒアリングを行い、その上で紹介特性の分類を行うことが重要です。
また、紹介特性のランクに応じて管理シートを使いながらマネジメントをすることも重要です。
具体的には、下の図のように、定期的に営業・工務・メンテナンスの部門間でミーティングを行いながら、紹介に対する取り組みをどのように行っているのかについて、常に確認する体制が必要になります。
今回は、このうち紹介特性がB・CランクのOB客からどのように紹介を獲得すればいいのかについて見ていきます。なお、こちらは一般的な紹介をいただく上でのアプローチになりますので、少しテクニカルな内容になりますが、ご了承ください。
なお、本記事ではB・Cランクへの取り組みについて触れますのでAランク・Dランクについての取り組みについては下記の記事を参照ください。
紹介獲得に向けた実践テクニック8連発
まず下の図をご覧ください。こちらが紹介を獲得するための実践的なテクニックです。順番に説明していきます。
一つ目は、契約がゴールではなく、紹介がゴールであることを伝えることです。契約を増やすために紹介をくださいとOBに伝えると、OBの方が気を遣って熱が低めの友人を紹介してくれなくなります。ですから、契約につながらないかもしれないということは気にせず紹介していただきたいということを真剣に伝えましょう。
二つ目は、名前を出してもらい具体的に依頼することです。例えば、トーク事例にあるように、最近話に上がる方の紹介を具体的に催促することが重要です。
三つ目は、自身の強みをアピールすることです。当然ながらサービスのPRなども必要ですが、紹介されるのはあなた自身です。ですから、あなた自身のPR要素を緻密に伝えること、例えば、住宅ローンアドバイザーの資格を持っているのであれば、そのような資格をアピールすることが紹介につなげるポイントの一つになります。
四つ目は、対象のケースを複数用意することです。「住宅を建てたい方を紹介してください」といった依頼の仕方では、オーナー様もなかなか思いつかないことが多いと思います。ですから、例えば「家が手狭になってきたとおっしゃる方」あるいは、「お子さんが小学校に上がるタイミングの方」などというように、具体的な対象のケースを複数用意して、確認することが重要です。
続いて下図をご覧ください。
五つ目は、オーナー様の地位や人脈を生かすことです。例えば、大学教授のオーナー様でしたら教え子を紹介していただく、あるいは公務員の場合は、同僚を紹介していただくなどの取り組みも重要です。
六つ目は、紹介のハードルを下げることです。熱が低いタイミングで「店舗に来てください」と言うと抵抗を感じさせてしまうケースもあります。ですから、まずは見学会に来ていただくなどの工夫をすることによって、敷居を少し下げることが必要です。
七つ目は、紹介営業の背景を理解してもらうことです。紹介営業は自分の営業数字のためではないと伝えることですね。例えば、「弊社では紹介営業を強化することによって広告宣伝費を抑え、より安くお客様に商品を売ることをモットーとしています」といった考え方を正確に伝えることが重要です。
そして最後が、具体的かつ多めに依頼することです。例えば、2人紹介してほしい場合でも、思い切って「5人ほど紹介していただけませんか」と依頼すると、結果的に想定より多くの紹介をいただくことになります。ある種の心理学的なテクニックですが、このようなテクニックも使っていきましょう。
紹介獲得に向けた注意事項
以上が紹介をもらう上でのテクニックです。ここからは、紹介をもらう上での注意事項をお伝えします。
①紹介元への進捗・結果報告は丁寧に行う
紹介を獲得した場合は、オーナー様も自分が紹介した友人がどうなったか心配されるものです。報告は従来以上に丁寧に行い、オーナー様の信頼を損ねないことを意識しましょう。
②特典は紹介先にも設定する
紹介の特典が、紹介をいただいたオーナー様だけに渡されるものであれば、オーナー様も抵抗がありますし、紹介先の方も後になってそれを知ったら気分を害してしまいます。特典はオーナー様、紹介先共に用意することが重要です。
③可能な限りオーナー様同席の面談を目指す
紹介先の方との面談にオーナー様が同席するかどうかは契約率の観点で非常に相関があると言えます。極力オーナー様に同席してもらう形で面談を行うように心がけましょう。
④紹介の量や質の観点で明確なターゲットを決める
やみくもに紹介営業をするのではなく、紹介の量や質が高そうな対象に絞って紹介依頼をかけることが重要です。例えば、大学教授であれば教え子、公務員であれば同僚などのネットワーク活用が想定できますし、公務員も年収が高いネットワークをお持ちのケースが多いです。また、紹介をいただきやすいおせっかい型の対象を洗い出すこともポイントです。
特典について補足すると下記の図になります。
例えば社員とOB・業者とで金額が異なるのは当然ですが、面談に同席してくれた場合にもプレゼントをお渡しすることが重要です。また、成約のタイミングでもお渡しする、さらには紹介先にも30万円のオプションを付けるなど、細かい設定が重要になります。
では1件の紹介につき、どの程度の予算が適切でしょうか。下の図をご覧ください。
この図は、1来場におけるコストが6万円、そして契約率が10%の住宅会社の事例です。例えば、紹介を通じた見学会への来場数が10組とすると、契約率は10%なので、見学会での契約数は1件となり、契約コストは60万円になります。つまり、1件の契約に60万円のコストがかかるということが分かります。
したがって、この場合紹介は1件あたり60万円を上限に特典やキャンペーンの予算を振り分けることが望ましいと言えます。考え方によっては、紹介は契約率が比較的高いので、その点を考慮し、さらに高めに予算設定をするケースもあります。
また、紹介の依頼についてはツール化することが併せて重要になります。下の図は紹介を依頼する際にカード状のチラシを作って渡している住宅関連企業(工務店)の事例です。
ご友人にいつでも渡せる名刺サイズにする、また営業担当者の名前を記載する、紹介先と紹介元のメリットを記載する、自社のPR内容を記載するなど、さまざまな要素を盛り込んだツールを用意して紹介を依頼することが重要です。
アプリを活用した紹介獲得マネジメント
また、最近では自社専用のアプリを開発し、その中で紹介を増やしていくというやり方も増えてきています。
こちらについては、別の記事で載せておりますので併せて参照ください。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
紹介を獲得する為には3つのポイントを押さえることが重要である
8つのトークセットを扱うことにより紹介獲得は大幅に増加する
紹介営業を行う上で4つの注意事項を押さえるべきである
紹介キャンペーンについては費用対効果から逆算して予算設計を行う
紹介についてはアプリを活用すれば自動的にマネジメントが実現する
以上、今回はOB客から紹介を獲得するテクニックについてお伝えしました。このような取り組みを正しく行うことによって、紹介の比率を上げていきましょう。