今回は「徹底したランチェスター戦略実践によりエリアシェア20%超えの埼玉県ファイブイズホーム」について触れてみたいと思います。

 

まず簡単に企業の概要をお伝えすると、埼玉を中心に建売を展開する住宅関連企業(工務店)です。不動産事業から始まり、注文事業経由し、建売に変換した為、ビジネスモデル自体は幅広く展開しております。また、特定エリアのシェアを意識した事業展開を行うことで、対象エリアのシェアが20%を超えるといった非常に特殊な企業になります。規模としては1000棟以上展開をしており、今非常に勢いのある住宅会社です。

 

 

ファイブイズホームはどのようなビジネスモデルを展開し成功しているか、について今回は考察してみたいと思います。

 

なお、本記事は戦略論について論じる為、基本的な戦略の考え方をこちらの記事を踏まえて把握した上で読み進めてください。

 

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

ランチェスター戦略とは何か?

 

まずこの戦略について簡単に説明します。結論から言えば、ランチスター戦略と言われる戦略を採用しています。従来のビジネスモデルの多くは、広いカテゴリーにリソースとなるヒト・モノ・カネを分散させるのに対し、こちらのビジネスモデルはカテゴリーを厳選し、リソースを一点集中させます。結果、大手資本以上の資源を一定カテゴリに集中投下することになり、シェアを最大化することが可能になります。

 

 

このビジネスモデルを採用している他業界企業を見てみましょう。ランチェスター戦略で有名な企業はエイチ・アイ・エスです。

 

 

エイチ・アイ・エスは今や大手旅行代理店ですが、創業当時は大手がひしめく中で、「学生向け旅行代理店」と銘打ち、学生向けの旅行プランに特化することで、シェアを確保し、大幅に顧客を獲得することに成功しました。さらには当時学生であった顧客が、その後のエイチ・アイ・エスを活用するということで結果的に様々な層にシェアを広げることに成功しています。

 

ランチェスター戦略に見る3つの経済性

 

まず、ランチスター戦略を理解する上で抑える点が経済性になります。ある特定の領域を深堀する手法によって経済効率が非常に高まるという点が特徴的です。ランチェスター戦略に見られる経済効果は3つあります。

 

規模の経済性

棟数規模が増えるとその分一括発注が可能になり、大幅なコストダウンを見込むことが出来ます。また、同時に対象が細分化されている為、商品やサービス自体のラインナップを絞った形での発注で生産性を維持することが可能です。

 

販売(経験)の経済性

エリアを限定することで移動コストなどを含めた販売効率が上がります。ひいては技術・スタッフの対応・作業工程の効率化・製造工程の工夫などの経済効果が出ます。

 

認知の経済性

エリアシェアを上げることで施工物件自体がマーケティング効果を発揮します。一つの区画に自社の物件が複数あれば結果的に自社の認知度が高まる効果があります。

 

ここからはさらに認知の経済性について深堀りいたします。下の図をご覧ください。こちらは認知の経済性を踏まえた図になります。

 

 

学生向けを銘打っていることもあり、大学の中では、多くの方がエイチ・アイ・エスで旅行に行っています。そうすると、その大学の中で評判が早期に広まりますので認知のシェアが高まり、集団心理で自分もエイチ・アイ・エスを使おうということになるんですね。

 

下の図をご覧ください。こちらは参考にする情報源を調べたデータですが、知人からの推奨が圧倒的に高いことが分かります。

 

 

このような取り組みによりエイチ・アイ・エスは認知の経済性を獲得し、大幅に拡大をすることが出来たんですね。ちなみにこの考えはもう一つの理論によって支えられています。下の図をご覧ください。こちらはイノベーション理論と言われる考え方です。

 

 

最初にイノベーター・アーリーアダプターと呼ばれる革新的な層がサービスを扱えば、その他のそうに一気に認知が拡大するという考え方になります。具体的に言えばイノベーターの2.5%、アーリーアダプターの13.5%分の合算である16%、つまり6人に1人がサービスを導入すれば一気に市場認知度が上がるという考え方です。

 

この手法は、iPhoneの市場浸透のタイミングでも戦略的に活用されました。先ほどのエイチ・アイ・エスの図で言えば、大学内で6人に1人がエイチ・アイ・エスを利用すれば、一気に大学コミュニティの中での認知度が上がり、シェアが拡大するといった考え方になります。

 

ファイブイズホームのビジネスモデルとは?

 

では実際にファイブイズホームのビジネスモデルを見てみましょう。

 

ビジネスモデルのキー 圧倒的土地情報量とエリアシェア保持する
内部環境 顧客 建売分譲を求めるローコスト層をターゲットとする。また、拠点を絞った特定エリアに注力する。
販売戦略 チラシは社長が直々に毎週確認を行い、展示場に来場を促進し、商品の費用対効果の良さを訴求する。看板やCMなど認知度施策を多用し年4回の目玉物件セールで集客を行う。
提供価値 低価格で高性能な建売商品を展開する。また、宅建協会理事の社長のネットワークによる12000件の土地情報量を強みとしている。(5%程度600件を毎期販売)
組織戦略 エリアシェアを重視する為、エリアごとに店舗を設ける組織体制を構成している。また、仕入れを社長ではなく社員が出来るように完全にしている。
財務戦略 仕入れにより財務負担が大きい為、リスクを踏まえて自己資本比率を高めに設定している。無借金経営。
外部環境 土地が広く分譲市場であり、比較的年収層が低い商圏で展開を行っている。

 

ファイブイズホームのビジネスモデルにおいて特徴的な点が販売戦略と組織戦略です。順番に説明いたします。まず販売戦略ですが、ファイブイズホームは建売を中心に展開しているにもかかわらず、注文住宅のような展示場を常設しています。

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