今回は「ネット活用形ビジネスモデルで株価成長率が全国2位になったLib Work」について考察したいと思います。

 

Lib Workは注文住宅事業を熊本で展開する住宅会社です。インターネットを中心としたビジネスモデルを評価され、マザーズに上場を果たし、また株価を意識した企業価値を高める経営手法に業界内外からの高い評価を得ており、近年は利益率も3%水準まで高まっている優秀な企業です。

 

 

Lib Workがどのようなビジネスモデルを展開し成功しているか、について今回は考察してみたいと思います。

 

なお、本記事は戦略論について論じる為、基本的な戦略の考え方をこちらの記事を踏まえて把握した上で読み進めてください。

 

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

マルチエントランスモデルとは何か?

 

まず、このビジネスモデルについてご説明します。このビジネスモデルはマルチエントランスモデルといいます。エントランスは「入り口」を指しますので様々な入り口を作るといった戦略です。

 

 

従来のビジネスモデルの多くは全てのカテゴリーに同じようなアプローチを行いますが、当モデルはカテゴリごとに専門化されたアプローチを行い、カテゴリーに合わせたマーケティングを行います。顧客は最終的にカテゴリにおける「専門性」と「中立性」を重視する為、このビジネスモデルを採用している企業を選びます。

 

他業界でこのビジネスモデルを採用している企業は、俺の株式会社です。

 

 

俺のはミシュランクラスの料理長が料理を提供する事業を行っています。料理のレベルが高いがゆえ単価が高くなると思われがちですが、立ち食い形式を徹底することで回転率を上げ、結果低単価を実現しています。さらに、様々なジャンルに特化した店舗を展開している点が非常に特徴的と言えます。まさにマルチエントランスですね。

 

Lib Workのビジネスモデルとは?

 

では実際にLib Workのビジネスモデルを紐解いてみましょう。

 

ビジネスモデルのキー インターネットを活用した複数エントランスの構築
内部環境 顧客 ローコスト層を中心に一次取得者層をターゲットとしている。
販売戦略 建築家、土地、注文など専門店型のWEBサイトを運用し、契約までのプロセスをインサイドセールス部署を作り専任化している。
提供価値 様々な顧客が来場する為、MUJIの家など商品自体は尖っていない「嫌われない商品」で展開している。
組織戦略 インターネット界隈の専門部署を設置し、機能分業化を徹底している。
財務戦略 インターネット戦略に特化している為営業利益率は比較的高い。また、YouTuberのスポンサーになるなど株価を上げる財務戦略を行っている。
外部環境 熊本という比較的分譲住宅よりも注文住宅のシェアが多い市場である。

 

 

 

Lib Workはインターネット集客を中心に展開をしています。インターネット集客はチラシなどの集客と比較し年収が低い層を中心に様々な見込み客が来場します。ですから商品自体もローコストかつ色味のないMUJIの家を中心に販売しています。また、株価を意識した財務戦略を取っており、YouTuberのスポンサーなど時価総額を高める取り組みを複数行っております。

 

ここからはLib Workのビジネスモデルにおける一貫性を見て参ります。

 

販売戦略と提供価値がフィットしている

様々なルートから来場する為、汎用性の高い嫌われない商品を展開しています。なかでも土地サイトから来場する土地なし客については年収が低い為、汎用性が高いパッケージを販売している点がフィットしています。

 

外部環境と販売戦略がフィットしている

注文住宅のシェアが多いエリアであり、土地なし客が多い傾向にあります。一方で土地サイトを活用している点で「土地から客」を囲い込んでいる点でそれぞれがフィットしています。

 

販売戦略と組織戦略がフィットしている

インターネット集客が多い為、反響対応部署を専門化しています。組織内にはアポイントのみを行う担当者もいるなどリードからの来場体制を徹底しています。

 

以上を踏まえて改めてLib Workのビジネスモデルを図解すると、下図のようになります。自社のホームページを運用していますがそれだけではなく、土地探しの専門サイト、建築家の専門サイト、平屋の専門サイト、注文住宅の専門サイト、地盤チェックの専門サイトなど様々な専門サイト保有しています。

 

 

先程の専門性と中立性の観点で言えば、それぞれのカテゴリに関心があるユーザーは専門化されたこれらのサイトに関心を持ち、反響することがお分かりでしょう。これらのエントランス(入り口)で反響したユーザーを自社に取り込み自社商品を販売するモデルを成功させています。

 

また、特徴的なのがLib Workの時価総額です。Lib Workはマザーズに上場しており、住宅業界にも関わらず時価総額の成長率が全業種において2位という圧倒的な時価総額を誇ります。

 

 

時価総額が高い理由はインターネットの活用です。Web集客を活用したビジネスモデルである為、今後の成長が見込めると株式市場自体が大きな期待をしているのです。

 

ビジネスモデルの核となるインサイドセールス体制

 

ではこのようなビジネスモデルは他の住宅関連企業(工務店)でも実現可能なのでしょうか。

 

まず懸念されることは反響対応ではないでしょうか。専門サイトからの反響が増えることは魅力的ではあるものの、反響を契約に繋げるフローについてイメージがつきにくいのではないでしょうか。

 

ここからはLib Workの反響対応フローについて見ていきたいと思います。下の図をご覧ください。反響には資料請求・会員登録・問い合わせといった熱の低い反響、いわゆるリード反響があります。また、来場・アポイントなど実際に面談に繋がる誘致反響があります。Lib Workの反響の殆どはこのリード反響です。多くの住宅関連企業(工務店)ではこのリード反響を敬遠されるのではないでしょうか。

 

 

下の図をご覧ください。Lib Workではこのリード反響を来場、あるいは契約に繋げる為のメールや電話を行う部隊を専門部署化し、日々来場へのアポイント活動を行っています。

 

 

下の図は、リードに対する来場フローを図解したものになります。まず、資料請求などのリードが発生した場合に、1ヶ月間は電話やメールを使って来場アポイントに繋げます。そして、1ヶ月経ってアポイントにつながらなかった場合は定期的にお役立ちのメールやイベント案内を行います。このような2段階のアプローチで生産性を維持しながら来場に繋げているのです。

 

 

それだけではありません。Lib Workでは、マーケティングオートメーションを活用して、一度メーリングリストに移管した見込み客に対しても再アプローチを行う体制を構築しています。

 

下の図をご覧ください。例えば見込み客のAさんが商品紹介ページを見れば6ポイント、施工事例ページを見れば10ポイントなどのポイント加算をして一定の水準に至れば個別に電話やメールでアポイントを取得するといった活動を徹底しています。

 

 

このような取り組みを行うことで、株価を意識しつつ、売り上げや棟数を売り上げや頭数を引き上げるビジネスモデルを構築しています。

 

本日のまとめ

 

改めて、本日のまとめをお示しいたします。

checkboxマルチエントランスモデルとはカテゴリごとに入り口を用意し販売を効率化する戦略である

checkbox他業界でマルチエントランスモデルを採用している企業は俺のである

checkboxマルチエントランスモデルはインサイドセールスの構築が重要になる

 

以上今回はLib Workを参考にマルチエントランスモデルをご紹介しました。Lib Workは近年のデジタルマーケティングの流れを業界で最もうまく取り入れている事例ですので是非この事例を参考に、デジタルマーケティングを強化しましょう。

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