今回は「スタバが実践するドミナント戦略でエリア圧倒的No. 1になった埼玉県大賀建設」について触れてみたいと思います。

 

まず、大賀建設の概要をお伝えいたします。大賀建設は埼玉を中心に北関東3県に拠点展開し、棟数も500棟以上と勢いのある注文住宅会社です。ショールームを8拠点展開しており、同エリアにおいて総合展示場と単独展示場を多数出店しています。ミドルコストの自由設計と販売難易度が高い領域において販売体制を効率化することで、契約数が年々増加している企業です。

 

 

ここからは大賀建設がどのようなビジネスモデルを展開し成功しているか、について今回は考察してみたいと思います。

 

なお、本記事は戦略論について論じるため、基本的な戦略の考え方をこちらの記事を踏まえて把握した上で読み進めてください。

 

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

ドミナントモデルとは?

 

まず、大賀建設が採用しているドミナントモデルについて解説いたします。下の図をご覧ください。ドミナントモデルは「ある限られた地域内に集中的に複数の店舗を出店して地域の顧客や需要を総取りするビジネスモデル」です。

 

本来、店舗はある程度距離を置いて出店した方が店舗商圏が広がりますが、地域を限定することで競合がいない空間を作るということが特徴的です。

 

このビジネスモデルを採用している代表的な企業がスターバックスです。スターバックスは米国シアトルで1軒の小さなカフェでしたが、創業当初から人口70万人のシアトル市内でドミナント戦略を展開しました。今では、この同市内で100店舗以上が営業し、世界に拡大をしています。

 

 

ドミナントモデルには大きく三つのメリットがあります。一つ目が、特定の商圏で多数店舗を立ち上げ複数店舗を利用してもらうことで世界観を伝えやすい点です。二つ目に店舗自体が広告となるので広告宣伝費をかけずに、認知度強化が可能になります。三つ目に繁忙時期に顧客の分散が可能になります。

 

では実際に、大賀建設のビジネスモデルについて説明をして参ります。大賀建設は注文住宅市場において比較的高単価、さらには自由設計といった非常に販売難易度の高い領域を市場としています。

 

営業マンとしては高単価の自由設計は提案しづらく、また顧客側においても、高単価の自由設計はイメージしづらいといった課題があります。そこで大賀建設はある一つの商圏においてモデルハウスを三つ、ショールーム一つ設置を徹底しており、この4店舗を周ることによって、世界観を共有しやすくしています。

 

 

下の図は実際にショールームとモデルハウスの場所を地図で表示したものですが、見事にショールーム一つとモデルハウス三つの設置を徹底していることが分かります。

 

 

先程スターバックスの事例で伝えましたが、このドミナント戦略をとることによって、大きく三つのメリットがあります。一つ目が、複数店舗利用で世界観を伝えやすくなるということです。二つ目に広告宣伝費をかけずに、認知度強化が可能であるということです。三つ目に、繁忙時期に顧客の分散化が出来ることです。

 

また、一般的には近距離での店舗展開は効率性が落ちる前提があるので競合が模倣しにくいというメリットもあります。

 

大賀建設はこのようなビジネスモデルを構築することによって、販売効率を高めるといった考え方を主軸に展開をしているのです。

 

大賀建設のビジネスモデルとは?

 

ではさらに詳しく大賀建設のビジネスモデルについて見ていきましょう。

 

ビジネスモデルのキー 1ショールーム・3モデルによるドミナント展開
内部環境 顧客 平均年齢36歳・平均年収500万円の一次取得者層
販売戦略 1ショールーム・3モデルでイベントを行うことで効率的な集客を行う。耐震体験とワンちゃんフェスタの集客・成約が多い。また、ショールーム・モデルを行脚することで営業活動を効率化している。
提供価値 中価格帯自由設計のアルネットホームブランドを展開している。
組織戦略 顧客満足至上主義を掲げ、売上よりも大事な指標としてマネジメントを行っている。
財務戦略 店舗出店により広告宣伝費比率は高いが、粗利を高めに設定し(27%)調整している。
外部環境 ローコスト市場であるが、ある程度の自由設計ニーズが存在するエリアで展開している。

 

 

 

 

ビジネスモデルのキーは一つのショールームと三つのモデルハウスを軸としたドミナント展開です。

 

顧客については、平均年齢36歳で平均年収500万の一時取得者層です。販売戦略においては多数ある店舗にてイベントを行うことで効率的な集客を行っています。中でも「耐震体験」と「ワンちゃんフェスタ」の集客効率が高い点が特徴的です。

 

提供価値としては、中価格帯自由設計のアルネットホームブランドを展開しております。組織戦略としては、チーム力を強みとしており、営業・設計・ICの連携体制が構築されています。新卒採用に力を入れており、新卒率が比較的高いと傾向にあります。

 

財務戦略については多数の店舗出店により、管理費は高いものの、粗利を高めに設定し調整をしている点が特徴的です。また、大賀建設を取り巻く外部環境においては、ローコスト市場ではあるものの、ある程度の自由設計ニーズが存在するエリアであり、この外部環境から逆算してビジネスモデルを設計していると言えます。

 

以上が大賀建設のビジネスモデルですが、二つの項目を深堀りします。一つは販売戦略です。大賀建設はビックカメラと提携し、自社の顧客に対して家電のニーズなどをビックカメラに送客しビックカメラ自体は大賀建設イベントのチラシを配布したり、共同イベントを行ったりとそれぞれが相乗効果を得るような取り組みをしています。

 

 

二つ目に提供価値です。なんと社員の15%に当たる40名がインテリアコーディネーターの専任担当であり、インテリアに非常に力を入れています。比較的価格が高い自由設計の注文住宅なので世界観の訴求が非常に重要です。ですから大賀建設は下の図のようにICが1棟1棟細かくインテリアで世界観の演出をしているのです。

 

 

ここからは大賀建設のビジネスモデルにおけるフィット構造を見て参ります。

 

販売戦略と提供価値がフィットしている

まず一つ目に、販売戦略と提供価値がフィットしているという点です。高価格帯の自由設計であり、顧客に商品を訴求しにくいもののショールームモデルを複数見せることで、世界観を感性的に訴求している点が販売戦略と提供価値においてフィットしていると言えます。

 

顧客と提供価値がフィットしている

顧客と提供価値がフィットしている点が二つ目です。年収500万以上のミドル層に対して世界観を訴求するアルネットホームとの相性が良く、顧客と提供価値がマッチしていると言えます。

 

組織戦略と財務戦略がフィットしている

三つ目が組織戦略と財務戦略がフィットしている点です。ドミナント型モデルを採用していることで、販売効率が高く新卒採用でも早期に戦力化する傾向にあるので出店コストが高い分、労働分配率下げる為、新卒比率を高めている点において組織戦略と財務戦略がフィットしていると言えます。

 

本日のまとめ

 

改めて、本日のまとめをお示しいたします。

checkboxドミナントモデルとは集中的に店舗を出店し、販売効率を高めるモデルである

checkbox他業界でドミナントモデルを採用している企業はスターバックスである

checkboxドミナントモデルは中〜高価格の商品と相性が良い

 

以上が大賀建設のビジネスモデルの説明になります。注文住宅においては、商品のスペックよりも世界観などを訴求することが重要な戦略になります。このような世界観を訴求するビジネスモデルという意味で、大賀建設の取り組みを是非とも参考にして頂ければと思います。

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