リアンコーポレーションは、栃木県で住宅リフォーム会社として創業し、現在では、 新築住宅・不動産・福祉介護・相続支援までも手がける業界のリーディングカンパニーである。 栃木県内で数多くの指名を獲得し、お客様に幸せや感動を提供するべく事業を展開している。 今回は同社の代表である、五嶋 伸一氏(代表取締役社長)に 取り組みや販売における考え方、経営のモットーなどについてお聞きした。(聞き手:ノウフル編集長狩野)

 

ーまず、御社のサービス概要を教えてください。

 

弊社は、栃木県で住宅のリフォームや新築住宅・福祉・介護・飲食・携帯電話の販売を行っています。年間着工棟数は60〜70棟で、売り上げは20億円、社員数は100名程度です。

 

 

ー御社は感動提供という考えを軸に展開されているとお伺いしましたが、どのような背景があったのでしょうか。

 

はい、これは業界への課題認識にも繋がるのですが行きすぎた売上至上主義への懸念が背景にあります。私が前職でリフォーム会社に勤めていた頃は、売り上げが上がるごとに給料も上がり、楽しさや充実感を持っていました。しかし、稼げる業界で物理的に恵まれている中でも、精神的に満たされる感覚が得られずに、本当にこれで良いものかと自問自答することもあったのです。売上至上主義かお客様重視かという境で非常に悩みました。

 

当時は、リフォーム会社に飛び込み、外壁塗装やユニットバス、太陽光・オール電化など、さまざまな商品を飛び込み訪問で売っていたため、その後リフォームメインで会社を立ち上げた際にも、やはり売上至上主義で創業期を走らせてきました。創業してから3年間は当然私も現場に出ていましたが、やはりすぐには形を変えきれない現状があったのです。3年経ってようやく変革期が訪れたという流れになります。

 

ーなるほど。どのようにして切り替えられたのでしょうか。

 

当時は、新築事業も始まってきた頃で、私にとっても力を入れていきたいと思える展開になりました。初めはリフォーム会社が新築事業を手掛けるなど無理ではないかと考えることもありましたが、実際に行ってみると、リフォームの方がはるかに難しいことが分かったのです。新築事業はリフォームに比べると簡単な面もあるのだと実感しました。

 

 

ーお客様満足度重視の経営に切り替える上では、どのような取り組みをされたのですか。

 

やはり人はフローがないと行動できないため、まずは目的を考えることから入りました。何をしたいのだろうかと考えた時、ビジネスの始まりは全て感動提供であるとの結論に至ったのです。業種によらず、感動提供ができるかどうかで、お客様から線引きされる部分が必ずあると感じています。

 

例えば、新しく寿司屋を営業することになった時、せっかく集客ができたとしても、お店の雰囲気や清潔感、挨拶や職人の出す料理など、どれ一つとっても感動する部分がなければ誰かを紹介したりはしないでしょう。これがビジネスの原点で、本質は全て感動提供にあると考えています。多くの企業では、経営の中で違ったテコ入れをしてしまうことがよくあるのではないでしょうか。リアン流のお客様重視経営とは、まさに感動提供で、お客様がどのようにされたら嬉しいのか、他社とは違った対応や魅力を出せているのかなど、さまざまなことを想像して展開しています。

 

ー素晴らしい取り組みですね。お客様満足度の指標はどのように測られているのでしょうか。

 

アンケートを行い、回答や意見をいただいています。あとは無理な紹介などはせずに、お客様から受け取った結果をありのままとするようにしています。中には失敗するケースもありますが、やむを得ない事態をなるべく避けるように会社の経験を蓄積していき、お客様にご満足いただける結果を前提として対応しています。

 

 

ーリアン流の経営のお考えについて、詳しくお話いただけますか。

 

うちは、住宅のリフォームから始まり、次は介護用品のレンタル、そこから不動産・土地の売買・新築、さらには飲食や携帯販売なども展開するようになりました。その中で、約10年前にサービス付き高齢者住宅の建設を受注して運営を始めたのですが、運営自体が初めての経験で苦戦しながらも、どうにか展開してきました。なぜその分野に挑戦したのかと言えば、高額の売り上げと粗利が目的でした。当時は介護事業の売り上げが2年間も赤字であり、それをカバーできる事業が必要だったのです。

 

そのような決断をして事業を開始したものの、出てくる問題は山のようにあり、実に厳しい状況でした。ところが、介護企業がテコ入れをしたことをきっかけに売り上げが上がり、その中身についてよく考えたところ、感動提供が経営に大きく影響しているとの結論に至ったのです。その後は展開が速く、すぐにM&A会社に連絡をして、地場で売りに出ている介護施設を片っ端からあたりました。そして事業が必ず伸びるとの確信を持って予想以上の成果を出すことができたのです。今では介護事業も売り上げの主軸となっているくらいです。

 

 

ー素晴らしい成果ですね。具体的に、感動提供についてはどのような取り組みをされたのでしょうか。

 

まずは、ケアマネージャーの採用をしました。外部から雇い、プランを準備してもらったのでは、自社に合わせたコントロールができないため、売り上げが停滞する原因にもなると考えた上での判断です。ケアマネージャーを自社で採用して雇用することで、内部の状況をよく理解したコミュニケーションやサービスを提供することができるようになりました。

 

次に、入居を増やすための対策として、お客様と従業員とでサンクスカードを渡し合う取り組みを行いました。些細なことにもとにかく感謝し合う習慣をつくり、働く側も精神的に満たされる環境作りに注力しました。介護職は、過重労働や精神的な負担が大きくなりやすいため、従業員の対応の質も悪くなりやすい傾向にあると感じています。ですので、やはり円滑にコミュニケーションをとり、人に認められ、やりがいが得られるように改善する必要があるのではないでしょうか。このような対策をとることで、平準化が取れてきました。

 

ーありがとうございます。御社の多角化について具体的に教えていただけますでしょうか。

 

食の分野でカフェも経営しており、こちらも大きな売り上げの柱となっています。旅館に来たように感じてもらえる和風のデザインにしており、NBAチームの広告依頼が来るなど、他にはない独自の雰囲気で大きな反響が得られました。

 

集客としては、1日に平均40組として1ヶ月で見ると約1200組の顧客が足を運んでいる計算となります。人が集まると、中ではリフォーム屋としてのサービスを打ち出す機会も得られ、アメーバ式にビジネスが広がっていきました。また、そのカフェ自体が、自社でつくれる空間のイメージや会社に対する印象付けにもなり、集客の入口になっていきました。このような目線で対策していることもあり、多角化として、飲食店カフェなども展開している現状です。

 

 

ー多角化の副次効果として認知度の向上にもつながるのですね。他にも多角化に関する取り組みがあるのでしょうか。

 

あとは、高齢者住宅として、ナーシングホームを運営しています。2030年までには高齢化がさらに進み、人口の4割が高齢者となります。このご時世だからこそ、ベッド数が足りないなどといった社会問題にも目を向けて、施設の運営を継続しています。現状は、四つの施設を運営しており、施設運営の粗利で8000万円以上、受注が絡まると2〜3億円ほどの売り上げとなります。新築事業は受注のアップダウンが激しいのですが、介護業界は人が尽きることがないため、その観点で見ると非常に支えられています。

 

ーやはり社長自らさまざまな情報収集を行っておられるのですか。

 

そうですね。企業視察などに参加し、さまざまな企業の社長や幹部クラスの方々と、懇親会も兼ねて情報交換などしています。これらは非常に価値のある時間となっています。

 

近頃は工務店の売り上げを向上させることが難しいため、リフォームに力を入れていきたいとなった時、リフォーム事業が薄利であるなどのメンタルブロックを外す必要がありました。そのため、結果を出している方々に話を聞くことが参考になります。例えば、外壁塗装は構造が単純なため、一年でスタッフを雇い育てられるというメリットがあります。外壁塗装ができるようになれば、その後のリフォーム事業の展開も可能になるのではないかと考えられます。このように外部と関わることで、自社の取り組みにいろいろと活用できるかもしれません。

 

 

ー最後に、今後の展望についてお聞かせいただけますか。

 

基本的に住宅業界は右肩下がりで、今後上がってくることは期待できないという見解を持っています。ですので、第二の事業を早く模索しなければならず、新築事業を徐々に減らして介護施設の建築等に大きく舵を切る予定です。すでに弊社の新築事業は、顧客が途切れた訳ではないので受注を行っているものの、目標値を設定して尽力するまでの必要はないと考えています。会社によっては、伸びる分野・落ち込む分野があるため、最もシナジー効果を感じる分野に注力することが重要なのではないでしょうか。現状は、介護施設の建築と運営の成果が大きいため、そちらに軸足を移していく方針であります。

 

売り上げ数値も5ヶ年計画などは検討しており、もちろん大切であると考えています。ですが、中でも一番に望むことは、私たちの行っている感動提供について全国の皆様にも広めるということです。工務店はものづくりに力を入れるべきであるとの声もあるでしょうが、私が最も大切にしているのはマインドの部分です。経営に悩む数々の企業にも、このマインドの部分について何かの気付きが得られれば非常に嬉しいです。

 

ーお話ししていただいた感動提供の理念を、今後も発信していくことが、大きな展望となるのですね。本日は、ありがとうございました。

 

株式会社リアンコーポレーション


リアンコーポレーションは、栃木県で住宅リフォーム会社として創業し、現在では、新築住宅・不動産・福祉介護・相続支援までも手がける業界のリーディングカンパニーである。

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