今住宅業界で何が起こっているのか?
現在、住宅業界は未曾有の不景気の真っ只中にいる。下の図は、野村総研が発表した住宅着工数の予測だが、ご覧いただくとお分かりの通り、2024年を起点に大幅に着工数が減っていく。24年については、もともと86万戸で予測していた戸数が、82万戸まで落ち込む見込みである。グラフを見ると、明らかに24年〜25年の間で「不景気の扉を開けた」かのように、そこから雪崩式に着工数が落ちていっている。これは、もはや不景気ではなく、恐慌がこれから始まるという表現が正しいかもしれない。
実際に、帝国データバンクが最近発表したデータは、この「恐慌」という予測を裏付ける圧倒的な証拠となり、その説得力を一層際立たせている。下の図をご覧いただきたい。
2024年11月3日に公表された建設業の倒産動向によると、2024年の建設業における倒産件数は10月までに1566件となり、前年同時期の1369件を上回った。このペースで推移した場合、通年では過去10年で最多となる見込みである。木材などの建築資材価格の高止まり、建設現場での職人不足、求人難に伴う人件費の高騰が、中小建設業者の経営を圧迫しているためと、同社では分析している。これらのグラフを見ると、問題が単なる不況ではなく、恐慌の領域に差し掛かっていることがお分かりいただけるだろう。
この事態の背景としては、短期的には原価の高騰などもあるが、長期的には近年の人口減少が大きな要因として考えられる。2000年代前半にピークアウトした日本の人口は、かなりのペースで減少を続けており、市場自体が縮小している状態である。
下の図にあるように、元々のターゲットである30代の人口は1720万人いるが、今後ターゲットになりうる20代の人口は1320万人と25%も減少する。この比率で計算すると、500組の来場数は400組を切り、50棟の契約は40棟を切っていくのである。
なぜ御社の集客が減り続けているのか?
このように人口減少を背景とした恐慌となれば、集客をいかに増やすのか、が重要な論点となる。そのような中でコロナ以降、集客の勝ち組と負け組が明確に分かれている。この勝ち組と負け組の違いは何であろうか。さまざまな要因はあるものの、負け組となる一つの大きな要因として、適切な集客会議ができていないことが挙げられる。
一部の企業からは「営業会議ならやってるよ」といった声が聞こえてきそうである。
しかし、集客難の時代には、単なる営業会議はやっても意味がないと言える。大事なのは、どこまでいっても集客なのである。また、集客会議についても、毎週やっているといった声が聞こえてきそうだ。しかし、その場合は集客会議そのものに問題があるケースが多い。
①4P戦略を見ているのか?
ノウフルで繰り返しお伝えしているが、集客を強化する上で4P戦略を考えていない企業も多い。集客を増やすためには、単にチラシやWEB広告、ホームページやインスタグラムを強化すればいいわけではない。それらのプロモーションに加えて、商品戦略・価格戦略・立地戦略を見据えたルート戦略をバランスよく見なければ、本当の意味での集客は難しい。単にWeb広告とチラシの最適化をしたり、ホームページを強化したり、インスタグラムの投稿レベルを上げるだけでは、プロモーションを行っているだけで意味がないのだ。
②契約数まで追っているか?
多くの集客会議はゴールを「来場」として議論がなされている。しかし、営業側から言わせてもらえれば、集客の量が増えても質が悪ければ契約率が落ちるので、集客の質が重要になる。そして、その集客の質は契約率でしか測れないのだ。集客会議においては、営業主要メンバーも参加する形で数値を一気通貫で見ていかなければならない。
③ベンチマーク指標を押さえているか?
集客領域にはさまざまなベンチマーク指標がある。例えば、契約数における紹介契約の割合が3割だとして、それが適切なのかお分かりだろうか。1来場単価が10万円だとして、それが適切なのかお分かりだろうか。そうしたことが判断できなければ、課題がどこにあるのか分からず議論が進まないであろう。
④他社事例を押さえているか?
他社の取り組みをしっかりと会議内で共有し、自社の集客強化に役立たせる取り組みも必要である。しかし、集客会議でこのような事例共有を踏まえた検討を行っているケースは少ない。事例共有がないままに会議を行っても、集客自体は改善しない。
集客レビュー研修のご案内
このような状況で必要なのは、あるべき集客ミーティングを実施することである。改めてお伝えすると、下の図の通り、あるべき集客ミーティングは四つのポイントを押さえた進行である。
ノウフルでは、集客レビュー支援というサービスで、この四つのポイントに沿った会議サポートサービスを行っている。下の図にあるようなレビューシートを使って集客における実数を各社で取りまとめ、改善点についてのアドバイス、またはツール作成や研修などを行っている。
指標については一部を下の図に記載しているが、15個以上の項目を一つのシートにまとめ、それらを踏まえて、営業責任者あるいは企画担当者とミーティングを繰り返し行うのである。そして、明るみになった課題に対し、仕組みづくりや研修を行っていく。
弊社では、これらを「集客レビュー研修」としてサービス展開している。15年以上にわたり、住宅業界の集客レビューをこのシートで行ってきて、現在では全国に86社のクライアントがおり、日々実際の集客データを見ながらの集客レビュー(改善)会議を行っている。
ケーススタディ
では、実際の集客レビュー研修の様子を見てみよう。こちらの会社は兵庫県のA社で注文住宅を年間50棟ほど販売している。集客の状況はこうだ。どこに問題があるだろうか?
この情報だけで下の図のようなことが分かる。例えば、資料請求からの来場率が業界平均の30%に対し、現状が15%と伸び代あり。近年ではメールよりショートメールを活用した施策の効果が高いので、反響に対してショートメールで来場を促す体制を構築する。
紹介比率が業界平均と比較して低いため、ファンミーティングを実施する。来場からの案件化率が低いため、営業前に電話にてヒアリングを行う0次接客を実施。見学会の実施率が完工に対して24%と低いため、イベントカレンダーで見学会を管理。チラシの来場は多いが、業界平均の1来場8万円と比較すると低いため、チラシ広告を減らしてデジタル広告へシフトする。
このように、実際の集客データに沿ってレビューを行い、改善体制まで構築する。A社に関しては、広告宣伝費の予算を変えずにこれらの取り組みを行った結果、来場数が1・5倍に増加した。
成果事例のご紹介
そのほかの成果事例としては、下のようにWEBマーケティング・SNS紹介・営業資料請求からのテレアポ・モデルハウスのLPを活用した集客・ネットで家を売る販売体制など、さまざまな成功事例がある。
なぜノウフルなのか?
このような取り組みは、各社で近いところまで出来ているケースもあるだろう。しかしながら、前述した四つのポイントについて精度が高い取り組みが出来ているかと言えば、そうとも言いきれないだろう。
ノウフルでは、4P戦略を編集長自ら策定し、分析担当者を専属でつけながら86社のベンチマークデータと400件の事例を踏まえて集客レビューを行う。これらの取り組みにより、圧倒的な成果が実現するのだ。
もしご興味があれば、具体的な成功事例や実際の取り組み内容などを問い合わせていただきたい。
最後に
以上、集客レビュー研修についてご紹介したが、前半で解説した業界市況に関しては、いささかマクロ要素が強く、ピンとこない方も多いかもしれない。しかし、何か新しい手を打たなけば徐々に衰退してしまうであろう。茹でガエルの法則はご存じだろうか。
「カエルは、いきなり熱湯に入れると驚いて逃げ出すが、常温の水に入れて徐々に水温を上げていくと逃げ出すタイミングを失い、最後には死んでしまう…」
分譲住宅は別だが、注文住宅事業は受注生産型であり、在庫を抱えない。つまり、人件費を中心として固定費を下げていけば、企業として食いつなぐことができる。現に、コロナ禍に販売棟数を大幅に下げたものの、人件費を中心に固定費を下げたことで生きながらえた企業は多いのではないか。
しかし、そのような応急処置を続けるだけであれば、いつか茹でガエルのように生き残るタイミングを失ってしまうであろう。今こそ抜本的に4P戦略の観点で事業を見直し、集客を復活させることで、今後に向けた生き残りを目指していただきたい。
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