今回は、資料請求からアポ率を5倍にした長野県O社の事例を見ていく。この会社は注文住宅を中心に扱っており、一部の建売を展開している住宅会社です。この会社では、元々資料請求などが月数件あったものの、そこからのアポ率が低く、来場までの導線ができない課題があった。

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

当初の課題

 

これに対して、どのような取り組みを行いアポ率を5倍にしたのかについて見ていこう。まず、前提について、反響には二つあることを押さえていただきたい。まず、資料請求・会員登録・問い合わせなどを非対面反響という。そして、実際に来場したり、アポイントが取れた反響を、対面反響という。この中でも、今回は非対面反響に繋げる動線作りの事例を紹介する。

 

 

事例の前に非対面反響が増加している背景も抑えよう。下の図をご覧いただきたい。下の図は、住宅検討客の来場までの導線を示したものであるが、例えば、チラシを見てホームページにアクセスし、その際に来店予約との対面反響か・資料請求や会員登録といった非対面反響かの意思決定を顧客がするわけである。

 

 

顧客はどちらを選びやすいか。当然ながら、来店予約をした場合はガツガツ営業される前提で考えるため、よっぽど熱が高くなければ、来店予約には繋がらないであろう。一方で、資料請求や会員登録は、家でゆっくり情報を見ながら検討できるため、来店予約より本来は多くなる。業界的にもこの非対面反響が近年かなり増えているのである。

 

下の図はアパレルの事例を示したものであるが、商品を見ているときに店員の声掛けがあった方がいいかとの質問に対して、半分以上の回答者がない方がいいと答えている。これは読者の経験でも同じように感じるのではないだろうか。

 

 

本質的には、商品の検討は自分のペースで行いたいとの考えがあり、理屈で考えれば来場予約といった対面反響よりも非対面反響が増えるのである。また、下の図をご覧いただきたい。下の図は、総合展示場のモデル訪問数の推移を示したものである。

 

 

コロナ前の時期は、総合展示場に来場した際に、平均で5軒のモデルハウスを閲覧していた。しかし、コロナによって人との接触が難しくなったことにより、総合展示場に行っても2件ほどしか見ないといった形で顧客の動きが変わっている。これを顧客の動線で示すと下記のようになる。

 

 

従来は10社ほど資料請求をして、5社ほどモデルハウスへ訪問をして、最終検討が3社といった流れだ。しかし今は、資料請求が20件ほど、モデル訪問については2件前後、そして最終検討2社といった形で、ステップごとの数字が変化したのである。つまり、この業界のコロナ前後を比較すると、資料請求の数が増えるものの、来場や営業機会は減り、契約率が上がる流れに変わっているのである。

 

今回の事例にあるオー社においても、このような現象により自社ホームページの資料請求が増加傾向にあった。またオー社ではSUUMOやタウンライフなどに登録していたため外部媒体からの資料請求が増えていた。しかしながらこれら非対面反響が来場に繋げることができていないといった課題があった。

 

O社の取り組み

 

このような中でのO社の来場アポ強化に向けた取り組みポイントは三つある。まず一つ目に発信方法である。当初、資料請求があった顧客に対してメールでのやり取りをベース化していた。また、電話は一部行うにしても、資料が届いたかどうかの確認にとどめていた。

 

 

資料請求などを行った顧客にアプローチする方法は、メールやショートメール、電話、INEもある。しかし、結論から言えば、メールについては開封率が20%を切っているため、ほぼ意味がない。LINEについても友達化するハードルが高いデメリットがある。一方で、ショートメールは開封率が98%と圧倒的に高く、電話についてはアポ率30%以上を実現することができるため非常に効果性が高い。

 

 

また、それぞれの来場率を図にすると下のようになる。自社のホームページに対する電話でのアポイントに関しては、50%以上という圧倒的な数字で来場を促すことが理論上可能である。またポータルサイトに関しては自動販売機のように他社も多く掲載しているためアポ率は自社のホームページより下がるものの、やり方次第で30%は達成できる。

 

 

つまりは、どのようなツールを使ってアプローチをするのかが重要であり、ショートメールと電話を使うこど基本原則なのである。次に発信方法である。発信内容は単に挨拶文や挨拶トークをすれば良いわけではない。まず、大きく三つのポイントを意識して来場に誘導することが重要だ。

 

自己開示

一つ目は自己開示である。対面だけではなく、メールや電話においても相手の素性がわからなければ人は警戒する。自己紹介などのコンテンツを用意することで警戒心を解除することが重要なのである。

 

メリット訴求

メリットの訴求については。アポ来場であり、どのようなメリットがあるのか、来場すればどんなメリットがあるのかを訴求することが重要である。相手が来店したいと思わせるような訴求をトークとして行うことが鍵なのだ。

 

選択肢の拡大

選択肢の拡大であるアポや来場においては、実際に来場してもらうだけでなく、オンラインあるいは時間が取れない場合は20分ほどでもできるといった、ある程度来場のハードルを譲歩する取り組みが重要である。このような観点を踏まえると、例えば、ショートメールやメールなどを活用する場合、下記のような取り組みが有効である。来場におけるメリットを提示し、来場しなくてもオンラインでも良い、あるいは短時間でも大丈夫であることを情報として提示する。そして、自身の自己紹介などを掲載すると良い。

 

 

 

動画についてはYouTubeで無料作成できるため、このような無料ツールを使いながら積極的に活用すると良いだろう。また、この自己開示を行うことについては心理学的な学説がある。

 

単純接触の原則とはご存知だろうか。第一印象が中立的な好印象の場合に限って、接触回数が増えれば好感度が上がるとの考え方である。つまり、動画であれ、1回目よりも2回・3回と見てもらう方が来場誘導がしやすくなるのである。また、メリット訴求においては下の図にあるように、自社で検討する上でのメリットを考えたトーク展開が重要である。

 

 

具体的な事例を見てみよう。オー社では店舗へ資金計画や労務面も併せて相談できるメリットを提示、あるいは不動産も展開しているため、店舗に来場するとお見せできない非公開情報も伝えることができるとの訴求を行った。このような方法で、メリットで、来場したいという気持ちを醸成することができる。

 

 

このような訴求を行うことで来場率を高める工夫をしている。これは各企業の業態によって来場メリットが違うと思われるため、各社によって工夫をしていただきたい。

 

対話誘導の徹底

ショートメールに関しては、コミュニケーションすることが重要である。例えば、左の図で言えば、一方的に商品やパンフレットが届いてるかどうかの確認をしているのみで効果的ではない。

 

 

右の事例の場合は、まずは電話でヒアリングをするとの流れをとっているので返信が帰って来やすい。このように、「資料を送りました」などの一方的な伝達よりも、まずは電話で会話させてくださいとの形で会話の機会に繋げることが重要なのである。

 

次に、発信頻度とタイミングである。この発信頻度タイミングはこの三つの中で非常に重要である。考え方としては、下の図を見ていただきたい。

 

 

コロナ前後で比較した際に、資料請求などの反響で起こった大きな変化は、携帯番号の入力率である。かつては代表固定電話と携帯電話が半々であったが、今は9割以上が携帯電話である。そのような場合、当然ながらこちらから電話をしても、相手が忙しければ電話に出たくても出れない事態が多く発生する。ついては、すぐ電話については、まずは一つのリストに対して5回以上は電話することが重要である。

 

O社では1回しか電話をせず、没にしていた。しかし、5回以上かならず電話することを徹底することでアポ率を高めることができたのである。次にタイミングである。これは、ある調査会社が出したアンケートデータであるが、資料請求後10分以内に電話をする場合と、5分以内に電話をする場合で、たった5分の違いであるが、アポ率が4倍に跳ね上がるとの事例がある。こちらを意識して、資料請求があったら即座に電話する体制を構築した。

 

 

 

その際に、各営業メンバーへ担当を振り分けていると、なかなかそのような対応ができないため、 O社では店長クラスが反響に対する電話をする取り組みを行った。そのことによって、アポ率が大幅に高まったのである。

 

本日のまとめ

 

改めて、本日のまとめをお示しいたします。

checkbox近年の住宅業界は非対面反響が増えている

checkbox顧客へのアプローチは、電話やショートメールが効果的である。

checkbox顧客とのやりとりは、自己開示やメリット訴求による選択肢の拡大が重要である。

checkbox連絡の発信タイミングは、アポの獲得に大きく左右するため重要である。

 

以上、今回は資料請求と反響からのアポ率を5倍にして、来場を増加させる方法について見てきた。

 

記事で触れたように、今後は来場が減る一方で資料請求が増えていく傾向にある。ついては、このような取り組みを体制化し早期に体制構築することが重要になるのである。

 

 

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