今回のバンバン集客塾は、マーケティングの4Pにおけるプロダクト、つまり商品戦略ついて見ていきたい。
では本日の目次を示そう。
住宅業界の商品戦略
なぜ集客がテーマなのに商品戦略なのか、と戸惑われる方もいるかもしれない。しかし、商品戦略こそが集客に最も必要なのである。
究極的な話をすれば、商品力が高ければ集客は実現するので、邸宅見学会やモデルハウス見学会のようなルート戦略や、ホームページやインスタグラムなどのプロモーション戦略は不要になる。それほど商品戦略は集客において重要なのである。
今までお伝えしてきたように、住宅の商品価値は下の図の構成要素で構成される。価格を分母に置き、ハードとソフト、そしてブランドという付加価値の掛け合わせによって商品の提供価値になるのである。

その提供価値のうち、下の図にあるように、目に見えるものがハード、目に見えないものがソフトとなる。

住宅業界におけるハードは、建物と土地を指すが、注文住宅や分譲住宅、新築戸建てを検討している層は景観デザインを重視するため、外観のトレンドが非常に重要になる。

また、こうしたハード戦略だけでなく、下の図にあるような「安全な家」「快適な家」など、目に見えないソフト戦略というものも重要になる。

ブランディングとは?
住宅業界の商品戦略において、もう一つの重要な要素はブランド力である。ブランド力とは何だろうか。まず、下の図をご覧いただきたい。あなたなら、それぞれの財布をいくらで買うだろうか。そして、その理由は何だろうか。

仮に、この二つの財布の素材や原価が同じだったとしても、ルイ・ヴィトンのロゴが一つ付くだけでプレミアムが付く。これを「価格プレミアム」と言うが、これ自体がブランド力なのである。

ブランドの副次効果としては、下の図にあるように、知名度向上や販売拡大、広告宣伝費や仕入れコストの削減、資金調達コストの削減など、さまざまな効果がある。

また、広告予算という広いくくりで分類すると、一般的な広告宣伝費は経費であり、PLの領域である一方で、ブランディングは資産になるため、BSの領域になる。

下の図は、世界のブランドランキングを 示したものであるが、このようにブランドを構築すると、それが資産となり、企業価値が高まるのである。

では、ブランド力を高めるには何が必要なのだろうか。下の図をご覧いただきたい。ブランドが成立するには、認知度と好感度が必要になる。

例えば、ルイ・ヴィトンというブランドに対して、認知度も好感度もあればブランドは成立する。しかしながら、「好きだけど知らない」といった認知度の欠如や、「知ってるけど好きじゃない」という好感度の欠如があった場合は、いずれもブランドの成立とはならない。

これらが意味するのは、下の図のようなケースである。ある会社で、契約率が30%と高い水準にあった場合、それは商品戦略におけるブランド要素、つまり認知度と好感度がいずれも高いということをを意味する。
現時点で自社の契約率が低いとお悩みの方は、営業力を上げるのではなく、認知度と好感度を上げることでも解決ができるということをぜひ押さえておいていただきたい。

しかし、多くの経営者が悩むところは、ブランド投資における「費用対効果の判断の難しさ」ではなかろうか。チラシなどの獲得媒体ならまだしも、テレビCMなどの認知媒体においては、投資におけるリターンが読めず投資し続けることができない、といったケースもあるだろう。

しかし、売り上げとブランディングの関係性について解いた法則がある。ダブルジョパディの法則をご存じだろうか。簡単に言えば、売り上げと認知度の相関を表した法則であるが、この法則によれば、消費者の多くが「良いから買う」のではなくて、「有名だから買う」という意思決定をしているのである。
住宅業界でも同じことが言える。地場の工務店の商品とハウスメーカーの商品に大差はない。しかしながら、多くの消費者がハウスメーカーを選ぶのは、やはりハウスメーカーの方が認知度あるいは好感度が圧倒的に高いからであろう。
ブランド力を高める
では、この認知度と好感度について、どのようなポイントを押さえるべきなのだろうか。まず、認知度について見ていきたい。認知度の目指すべきゴールは、助成想起と純粋想起である。
助成想起とは、あるブランドのロゴを見たときに、その会社を知っていると思ってもらうことである。対して、純粋想起というのは、そろそろ家が欲しいなと思ったときに、自社のことを思い出してもらうことである。これらはブランド確立において重要なゴールとして設定される。

また、認知効果を狙った集客としては、テレビCMなどが当てはまる。チラシなどは短期的な効果にはなるが、長期的な効果にはつなげにくい。一方で、テレビCMや看板などは短期的な効果は見込めないが、長期的な効果になっていく。前述したように、費用対効果が読めないこれらの認知施策には、相当な忍耐力が必要になる。

しかし、企業に圧倒的成長の条件があるとすれば、この捨て金に見える認知広告にいかに忍耐強く予算を投資し続けることができるかという点にある。

次に好感度である。好感度に関しては、下の図にあるように男性と女性で消費構造が違うことを押さえるべきである。女性は感性消費と言われるように好きか嫌いかで判断をする。

一方で、男性は「理性消費」、つまり良いか悪いかという軸で判断をする。住宅購入の意思決定権は主婦である女性が持っている場合が多いということを考えれば、女性目線を意識した広告の展開が重要になる。
下の図をご覧いただきたい。この図は、男性のファッション誌と女性のファッション誌の色合いをまとめたものである。

男性ファッション誌ではシックな色合いが多く使われ、女性ファッション誌では比較的明るめな色が使われていることが分かる。男性ファッション誌は「きりりとした・潔い・毅然とした・厳しい・シリアスな」といったイメージを打ち出している一方で、女性ファッション誌は、「ドレッシーな・女らしい・フェミニンな・麗しい・色っぽい」などのイメージを持たせる色合いでまとめられている。好感度を意識するのであれば、女性に好かれるこのような色合いを活用した広告展開が重要になる。
このように、ブランディングを行う際には、まず認知度と好感度という二つのポイントを押さえることが重要なのである。
本日のまとめ
改めて、本記事のまとめを示そう。
住宅業界で売り上げを上げるには、ブランド力の向上が重要である。
ブランド力を高めるには、認知度と好感度が必要である。
住宅業界で認知拡大を目指すには、認知広告に予算を振り切ることも重要である。
住宅業界で売り上げを上げるには、購買決定権を持ちやすい女性の感性消費について押さえることが重要である。
以上、今回のバンバン集客塾では、商品戦略において重要なブランディングについて見てきた。
住宅業界で売り上げを上げるには、自社の認知度拡大が重要なため、ぜひブランディング戦略を強化していただきたい。
引用
- 住宅業界バンバン集客塾〜2時間目:住宅業界の商品戦略にて自社の魅力を伝えよ!〜
- 住宅業界バンバン集客塾〜3時間目:住宅業界で生き残る商品戦略とは!?〜
- 住宅業界バンバン集客塾〜4時間目:商品戦略に重要なソフト戦略のポイントとは!?〜