前号までは、「今すぐ客」や「まだ先客」といった顧客に対するアプローチのテクニックを示してきた。一方で、営業活動は組織で行うケースが多いため、組織の観点で営業を考えることも重要である。今回の住宅営業見聞録では、営業の組織体制について見ていきたい。
まず、組織戦略の位置付けから説明していこう。下の図は、住宅業界における企業戦略を示したものであり、その中に組織戦略がある。
組織戦略の中には「配置」という戦術があり、この中に今回のテーマである営業の組織体制も含まれる。
では、本日の目次を示していく。
住宅営業における組織体制とは
まず、住宅営業のスタイルは大きく四つに分類される。自己主張が強いか弱いか、協調性があるかないかという観点で、「課題解決型」「一匹狼型」「関係構築型」「半人前型」に分かれる。
「一匹狼型」は、自信家であり、ルールよりも自身の直感に従うため、組織内での調整が難しくなることが多い。結果として、思い通りに行動できないことに不満を感じる。販売プロセスを守らず、顧客管理システムへの入力を怠るため、営業リーダーをイライラさせる。しかし、数字を達成する力があるため、単純に解雇するのは適切ではない。
「関係構築型」は、その名の通り、顧客と強い関係を築くことを重視し、顧客側に賛同者を確保するために時間を惜しまず働く。顧客のニーズに応えようとするサービス精神が旺盛で、「どんなご要望にもお応えします!」が口癖のタイプである。
「課題解決型」は、顧客の状況を深く理解し、その理解をもとに顧客の考え方に強く働きかけ、課題解決に注力する。人と異なる視点を持ち、議論を呼びそうな見解でも臆することなく披露する傾向があり、自社の上司や幹部に対しても積極的に意見を述べるタイプである。
「半人前型」は、営業経験が3年未満のケースが多く、知識や経験が乏しい。しかし、経験を積むことで「一匹狼型」「関係構築型」「課題解決型」のいずれかに分類される営業候補生となる。
下の図にあるように、住宅営業において最も求められるのは「課題解決型」のスタイルであり、「一匹狼型」「関係構築型」がそれに続く。しかし、全員が課題解決型になれるわけではないため、組織体制としての分類が重要となる。
ここからは、営業組織のさまざまなパターンについて説明する。
まず、「一匹狼型」の場合、歩合制を導入し、一匹狼のモチベーションを高めることが有効である。管理に関しても、個別で管理する体制が望ましいと言える。
また、「関係構築型」と「一匹狼型」とでチームを編成し、それぞれの強み・弱みを補完し合うパターンも有効である。これを「親子営業型」と呼ぶ。
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