今回は「30を超えるM&Aにより全国ハウスメーカーの仲間入りを果たした東京都檜家住宅」について触れてみたいと思います。

 

檜家住宅は高気密高断熱と組み合わせた冷暖システムが強みのハウスメーカーです。規格住宅の為、商品開発に力を入れており全館空調を軸としたZ空調などの商品展開を行っており、M&Aを積極的に行う戦略を採っていることが有名です。

 

 

ここからは檜家住宅がどのようなビジネスモデルを展開し成功しているか、について今回は考察してみたいと思います。

 

なお、本記事は戦略論について論じるため、基本的な戦略の考え方をこちらの記事を踏まえて把握した上で読み進めてください。

 

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

本日のまとめ

 

まず、本日のまとめは以下になります。

checkboxM&Aモデルとは製品やサービスを扱う周辺事業を統合することによって、価値を作り出すビジネスモデルである

checkbox他業界でM&Aモデルを採用している企業はルイ・ヴィトンである

checkboxM&Aモデルは企業価値を正確に判定するスキルが求められる

 

大枠を押さえた上で一緒に見て参りましょう。

 

M&Aモデルとは?

 

まずM&Aモデルについて説明をいたします。

 

M&Aモデルとは、顧客に対して同時に提供される製品やサービスを扱う周辺事業を統合することによって、価値を作り出すビジネスモデルです。

 

事業を買収し、ブランドを存続させながら展開することにより、ブランド価値の向上や成功ノウハウの共有、機能集約による最適化が実現します。

 

M&Aは下の図のように、仕入れ先や販売先を対象とする「垂直統合」と同業企業を対象とする「水平統合」があります。また、垂直統合において仕入れ先を統合することを「川上統合」といい、販売先を統合することを「川下統合」と言います。

 

またM&Aにおいては、合併と買収があります。合併は会社が消滅する形でのM&Aを指し、片方が消滅する吸収合併と双方が新会社を設立する新設合併があります。また、会社が消滅しないM&Aを買収と言います。中でも全事業をM&Aすることを株式買収、一部事業をM&Aすることを事業買収といいます。

 

 

檜家住宅は、主にこの「買収」を行っている点が非常に特徴的です。

 

では、他業界ではどのような企業がこのM&Aモデルを採用しているのでしょうか。代表的な企業はルイ・ヴィトンです。

 

 

ルイ・ヴィトンは1987年にルイ・ヴィトンモエ・ヘネシーの両社が合併して誕生しました。現在はフランスやイタリア、スペインなどのヨーロッパを中心に60近くの高級ブランドをや免税店のDFSグループなどを傘下に収めています。

 

従来よりブランド業界は、”デザイナーと経営者が一体”という構造でしたが、名デザイナーが名経営者というわけではなく、一流ブランドでも経営難に陥っているケースが多くありました。そこで、ルイ・ヴィトングループでは様々な企業を買収し自社のノウハウを投下することにより収益を回復させる、といったやり方で収益を拡大しています。

 

ここからは実際に檜家住宅のビジネスモデルについて見ていきたいと思います。檜家住宅は先ほどお伝えした「水平統合」「垂直統合」を共に行っている点が非常に特徴的です。

 

 

水平統合で言えば、パパマルハウスやレストハウスなどを買収し収益を上げています。垂直統合では、自社の商品の核となる断熱材においてシェア10%以上を誇る下請け企業を買収し、自社の商品価値を高めるといった取り組みを行っています。

 

下の図は檜家住宅がM&Aを行った代表的な企業一覧です。このようにかなりのスピードでM&Aを行い、事業拡大をしていくといった取り組みを行っております。

 

 

檜家住宅のビジネスモデルとは?

 

ここからはさらに詳しく檜家住宅のビジネスモデルについて見ていきましょう。

 

ビジネスモデルのキー 企業価値評価スキル
内部環境 顧客 省エネ住宅に関心がある層を中心にターゲット設定をしている。
販売戦略 ハウスメーカーに勝る性能を持っている為、総合展示場を中心に集客展開をしている。
提供価値 Z空調を中心に商品展開をしており、全館空調で家全体を一定温度に保つサービスを展開している。
組織戦略 M&Aを積極的に行っている為、企業横断的に結束力を高める為にミッション・ビジョンを強く組織に推進している。
財務戦略 総合展示場に出店している為、広告宣伝費は比較的高い。
外部環境 温暖化に基づく省エネ思考が高まっており、ヒートショックなどの事故に対する関心も同時に強まっている。

 

 

 

ビジネスモデルのキーとしては、買収先の企業価値を評価するスキルにあると言えます。顧客においては、省エネ住宅に関心がある層を中心にターゲット設定をしています。販売戦略においては、ハウスメーカーに勝る性能を持っているため総合展示場を中心に、他社のハウスメーカーと比較して見てもらうという集客展開を行っています。

 

提供価値においてはZ空調を中心に商品展開をしており、全館空調で家全体を一定温度に保つサービスを展開しています。組織戦略においては、M&Aを積極的に行っている為企業横断的に結束力を高める上で、ミッション・ビジョンを強く組織に推進しています。

 

財務戦略においては、総合展示場に積極的に出店している為、広告宣伝費は比較的高いと言えます。外部環境においては、温暖化に基づく省エネ志向が高まっており、ヒートショックなどの事故に関する関心も高まっているといった点が挙げられます。檜家住宅のビジネスモデルはまさにこの外部環境から逆算して構築されていると言えるでしょう。

 

では、このビジネスモデルにおいてどの要素がそれぞれフィット構造を作り上げているのでしょうか。

 

顧客と販売戦略がフィットしている

一つ目は、顧客と販売戦略がフィットしている点です。性能を重視する層は大手ハウスメーカーを検討する傾向にあり、結果的に総合展示場で比較検討を行います。檜家住宅も主に総合展示場における出店戦略をとっており、顧客と販売戦略がフィットしていると言えます。

 

外部環境と提供価値がフィットしている

二つ目に、外部環境と提供価値がフィットしている点です。温暖化による省エネやヒートテックなどへの関心が高まっている外部環境においてZ空調は顧客の不安や不満を解消する価値となっており、双方がフィットしていると言えます。

 

本日のまとめ

 

改めて、本日のまとめをお示しいたします。

checkboxM&Aモデルとは製品やサービスを扱う周辺事業を統合することによって、価値を作り出すビジネスモデルである

checkbox他業界でM&Aモデルを採用している企業はルイ・ヴィトンである

checkboxM&Aモデルは企業価値を正確に判定するスキルが求められる

 

以上、今回は檜家住宅のM&Aモデルについて見て参りました。

 

近年、住宅業界においては、事業承継などの含めてM&Aが活発化していく傾向にあると思われます。檜家住宅の取り組みを参考にしながら、是非自社のM&A戦略を構築して頂ければと思います。

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