今回は、住宅業界バンバン集客塾の2時間目として、商品戦略について見ていきます。
前提として、前号の1時間目の内容を踏まえて、お読みいただければと思います。4P戦略のテーマについては、下記に記事を記載しましたので、併せてご覧ください。
住宅業界の商品と市場
まず、住宅業界の商品の価値は、下の図に示した方程式で構成されます。
分母に価格があり、分子にハードとソフトとブランドがあります。前号でソフトが重要であると述べましたが、当然ながらハードも重要です。住宅業界のハードとは、下の図にあるように、建物の外観や内観、土地を指します。いわば、建物そのもののことを表しています。
商品のハードにおいては、次の図にあるように、四つのタイプに分類されます。シンプル・デコ・トラッド・モードに分かれているのですが、近年の流行は、右上のシンプルかつモードなデザインとなっています。
この背景としては、スマート社会における所有の否定という観点から、物を持つこと自体が見直されているということにあります。近年は、シンプルであればあるほど良いという価値観が主流となり、2階をそぎ落とした究極のシンプルである平家の人気が高まっています。
一方で、単に右上のようなシンプルな商品展開をすることはリスクとも言えます。下の図は、長野県松本市で好みの住宅について調査した結果ですが、圧倒的にナチュラルが1位となりました。ナチュラルは、昔からある三角屋根の一般的な住宅ですが、いまだに根強い人気があるのです。
このように、市場調査も行いながら商圏内で求められている商品を作る「マーケットイン」という考え方が重要になります。一方で、自分たちが作りたいものを作る考え方は「プロダクトアウト」と言いますが、物不足の時代には有効だったものの、近年の物余りの時代には通用しません。
ですから、単にシンプルモダンがいいと決めつける、あるいは平屋がいいと決めつけるのではなく、市場調査を行った上で、商品展開をしていく形が望ましいでしょう。
視覚的な魅力を高める
次に、物件の見せ方という観点について見ていきます。
そもそも、皆様の住宅商品の魅力は顧客に明確に伝わっていますでしょうか。物件の魅力度を伝えるには二つのレベルがあります。物件訴求型と暮らし訴求型です。まず、物件訴求型について見ていきます。
下の図をご覧ください。この図はハンバーガーのメニューを記載したものですが、ある会社では左の写真を使い、別の会社では右の写真を使ってます。
当然、どちらの方が売れ行きが良いかは一目瞭然でしょう。このような当たり前のことが、住宅業界では、できていない場合が多いのです。下の図をご覧ください。この図は、ある企業のチラシやホームページの施工写真を示したものです。
影や電線が写っていたり、曇り空での撮影をしていたりと、改善が必要な状態であることがお分かりいただけるでしょう。注文住宅を売っているにもかかわらず、このようにハードの魅力を伝えきれていないのは理解に苦しみます。撮影のポイントとしては、下の図のように、極力、電線や隣家などを排除する、青空の下で撮影する、コントラストを強める、外構に緑を取り入れる、そして、構図はパースの通りに正面引きで撮る、などが重要となります。
これらは決して難しいことではなく、今ではCanva(キャンバ)などの無料ツールで加工ができますし、外注でも1枚千円程度で依頼できます。また、写真の撮り方も重要です。次の図は、よくある写真の二つのパターンを示していますが、プロのカメラマンに多いのが、左の下突き上げの撮影法です。
本来はパースの通りに撮影した方が綺麗ですので、道路側の制限があるのかもしれませんが、脚立を使用するなど工夫を行いながら、正面引きでしっかりと写真を撮ることが重要です。
また、これらはインスタグラムなどでも同様のことが言えますので、対策していきましょう。
さらに、最近ではドローンを使ったモデルハウスの撮影も行われています。このような施策が有効なのは、動画については次のような特徴があるからです。
84%のスマホユーザーが動画を視聴している・動画の情報は50%が記憶に残るが、文字情報は22%しか残らない・SNSは他のコンテンツに比べて3倍シェアされやすい・動画1分間の文字量は180万文字である、などです。
ですから、当然、写真も価値がありますが、モデルハウスの案内をする際には、ドローンなどを使って動画を撮影することも有効です。
次に、暮らし訴求型について見ていきましょう。まず、皆さんが「何を売っているのか」について、改めて考えていただきたいと思います。お客様が買いたいものは、家ではなくて豊かな暮らしです。
ですから、商品自体を売る・見せるというよりも、実際の暮らしの写真を見せてイメージを連想させることが重要です。下の図は、女性と男性がそれぞれ商品を見た際の感情を比較したものです。
女性の場合は、感性消費と言って、好きか嫌いかでの判断をします。男性の場合は、理性消費と言って、良いか悪いかでの判断をします。女性が購買の意思決定権を握っている現在では、感性消費に沿って、実際のイメージを訴求することが重要です。また、下の図は、実際の暮らしのイメージを施工事例に掲載している事例です。
居住者に頼んで住まいの撮影をさせていただく際には、しっかりと感謝の意を伝え、謝礼を渡すことで、暮らしの様子を撮影させてもらうことが重要です。その際には、下の図にあるような写真撮影の依頼書のようなものを活用して徹底していきましょう。
本日のまとめ
改めて、本日のまとめをお示しいたします。
住宅業界の集客では、ソフトと同様に、ハード(商品)の領域も重要である。
住宅業界の商品は、市場調査を行った上で展開をしていくことが重要である。
商品となる建物は、外観を美しく工夫して撮影し掲載することが重要である。
商品戦略においては、暮らしをイメージできる事例の掲載などが重要である。
以上、今回は住宅業界のプロダクト(商品戦略)について、特にハード領域の取り組みを中心に紹介しました。
商品の見せ方に関しては、集客に影響の大きい課題となります。また、ホームページの施工事例やインスタグラムの掲載写真などもお金をかけずに取り組める対策が多いので、積極的に改善及び強化していきましょう。
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