今回は、住宅業界における組織体制について見ていきます。

 

まずは、組織体制について、下の図をご覧ください。組織体制は、企業戦略の中の組織戦略の一つです。組織において人員をどのように配置するのか検討する領域ですが、組織体制にはさまざまな体制があります。

 

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

企業の組織体制

 

まずは下の図をご覧ください。企業の組織体制は大きく五つに分かれます。

 

 

まず一つ目が機能別組織です。こちらは営業部や集客部など、さまざまな部門に応じて分けられた組織です。二つ目は事業部制組織です。事業部制組織は、それぞれの商品に合わせて部門を分け、さらに営業などの業務種類によってセクションを設ける構成になっています。三つ目はチーム型組織です。チーム型組織は、部門をチームとして分け、各チームにリーダーを配置して最適化する組織です。

 

四つ目はカンパニー型組織です。カンパニー型組織は、各企業をA社・B社・C社と分けながら、それぞれの中で事業部を立てていく考え方です。そして五つ目はマトリックス型組織です。マトリクス組織とは、「職能」「事業」「エリア」「職種」などの業務遂行要素を縦・横に組み合わせ、網の目のように複数の軸で構成されている組織体系のことです。

 

中でも、住宅業界においては機能別組織の体制をとるケースが多くあります。今回は、この機能別組織の事例について詳しく見ていきましょう。

 

住宅業界の組織体制

 

前述した通り、世の中にはさまざまな組織体制が存在しますが、住宅業界においては機能別組織が一般的です。集客(企画)や営業、工務、設計と、役割ごとに部門を分けるケースですね。この中で特に事業収益と密接に関わってくる領域が、集客と営業です。今回は、この集客部門と営業部門の住宅業界における勝ちパターンについて見ていきましょう。

 

 

住宅業界の組織体制(営業編)

 

まず、営業部門の組織体制について見ていきます。下の図をご覧ください。前提として、住宅業界の営業組織は営業プレイヤーの属性から体制を構築することが重要です。営業プレイヤーについては、この図にあるような四つのタイプに分類されます。

 

軸については、協調性の高さ、自己主張の強さで分けます。協調性があり自己主張が強い場合は課題解決タイプ、協調性がありながら自己主張が弱い場合は関係構築タイプ、自己主張が強く協調性がない場合は一匹狼タイプ、そして自己主張が弱く協調性もない場合は半人前タイプとなります。順番に説明していきましょう。

 

 

まず、一匹狼タイプは自信家なので、ルールよりも自身の直感に従います。多くの点で気難しく、思い通りに行動できないなら何もしないといったケースが多いです。販売プロセスを守らない、顧客管理システムに入力しないなど、営業リーダーをイライラさせる傾向にあります。しかし数字を達成するため、クビにすることは難しいです。

 

 

次に関係構築タイプです。その名の通り、顧客と強力な関係を築き、顧客側のあちこちに賛同者を確保します。時間を惜しまず働き、顧客のニーズに応えようとします。親しみやすさとサービス精神があり、「どんなご要望にもお応えします。なんなりとおっしゃってください」が口癖です。

 

続いて、課題解決タイプは、顧客の状況を深く理解すると共に、顧客の考え方に強く働きかけ、課題解決に注力します。人とは違う、議論を呼びそうな見解であっても、臆することなく披露します。自社の上司や幹部に対しても押しが強い傾向にあります。

 

最後に半人前タイプです。営業経験3年未満のケースが多く、知識と経験が乏しいことにより押しが弱いです。経験値を積み上げることで、一匹狼・関係構築・課題解決のいずれかのタイプに分けられる営業候補生です。

 

これらを踏まえると、住宅業界における営業モデルの優先順位は、課題解決が最も重要で、一匹狼、関係構築、半人前と続きます。しかしながら、全営業スタイルが課題解決型とは限りませんので、組織体制の観点で最適化することが求められます。

 

一匹狼営業

ここからは、さまざまな組織体制のパターンついて見ていきます。下の図をご覧ください。この図は一匹狼型のパターンです。歩合で一匹狼を個別管理する考え方です。あまり細かいマネジメントは行わず、各人のスタイルに任せるケースです。管理が簡単であるというメリットがある反面、組織結束力が弱いため、離職率が高いというデメリットがあります。

 

 

親子営業

次がチーム形です。関係構築タイプが初回面談で関係性を構築し、その上で一匹狼タイプが登場してクロージングを行います。関係構築タイプと一匹狼タイプをチーム編成することで、お互いの強みと弱みを補完するようなチーム制です。営業効率は高いですが、関係構築タイプと一匹狼タイプとのコミュニケーションのフォローが非常に重要になります。

 

 

後半クローザー営業

次に、課題解決タイプを中心としたスタイルですが、これは関係構築タイプのメンバーが関係構築を行い、クロージングを課題解決タイプが行うケースです。このケースの課題解決タイプはクローザーの位置付けですが、基本的にトップセールス一人を選抜します。案件が多くなる傾向にあるため、課題解決タイプがセミナー講師を行い、効率化を図ります。

 

 

ABC営業型

次に、ABC営業と言われるケースです。こちらは、半人前タイプがアポイントを取得して、関係構築タイプがブリッジと言われる関係構築を行います。そして、最終的に課題解決タイプがクロージングを行う流れになります。教育の観点では有効的ですが、担当が複雑化するため、顧客の満足度が下がる傾向にあります。

 

 

前半クローザー営業

最後は、課題解決タイプが初回面談を行うケースです。この場合、課題解決タイプが営業部長などのトップセールスであるケースが多いです。顧客の早期ファン化が進み、半人前タイプを同席させることで教育面でも好ましい体制ですが、課題解決タイプの工数過多や依存リスクなどのデメリットもあります。

 

 

このように、営業部門にも様々な様々なパターンがありますので、自社に適切なスタイルや、どのような営業パターンが好ましいかを考える必要があります。

 

組織体制パターン事例(集客編)

 

次に、集客部における組織体制を見ていきましょう。集客部門は非常に複雑化しており、集客部門にもかかわらず営業メンバーが関与するケースも存在します。まず次の図をご覧ください。こちらは住宅業界の販売フローをまとめたものです。対面反響は来場などの対面する反響を指し、非対面反響は資料請求などの対面していない反響を指します。

 

 

新規名簿に対してアポ取りを行い、営業活動での熱感で顧客をABCでランク付けします。そして、アポが取れなかったリストや没のリストは管理客としてEランクにします。ここからは、集客部門の体制について集客メンバーを起点にして説明します。

 

営業主体型

まずは営業主体型です。この体制では、集客メンバーは対面反響を増やすチラシ作成や広告配信などのみを行います。非対面反響に対するアポ取りや管理客に対する呼び込みは、主に営業メンバーが行います。D客に対するアポ率は3割が一般的ですが、E客に対しては2〜3%となるため、E客に対しては若手の営業メンバーが教育のために行うケースが多いです。

 

 

バランス型

次にバランス型です。バランス型は対面反響の増加に合わせてE客に対するメルマガ送付などを集客メンバーが行います。集客メンバーと営業メンバーの工数バランスが取れています。一方で、E客へのメールアプローチは開封率が20%と低い水準のため効果性が落ちており、メールではなく若手が電話を行うケースが再度評価されています。

 

 

インサイドセールス型

最後にインサイドセールス型です。インサイドセールスとは、文字通り社内営業を指し、こちらは集客メンバーがD客への電話活動も行うケースです。この体制では、集客部という枠を超えてインサイドセールス部門を構築するケースが多いです。E客に対しても、集客メンバーがメールだけでなく電話を行うこともあり、集客スキルに加えて、ある程度の営業スキルも求められます。ですから、純粋な集客メンバーではなく、もともと住宅営業を行っていた若手や寿退社した女性が在宅で行うケースが多く見られます。

 

本日のまとめ

 

改めて、本日のまとめをお示しいたします。

checkbox住宅業界の組織体制は、機能別型が主である

checkbox住宅業界では、集客と営業の領域で様々なパターンがある

従業員のスタイルを分析し、特性を補う体制を構築することが重要である

 

以上、今回は、住宅業界における組織体制について見てきました。

 

これらの取り組みは、組織構築や売り上げの向上に不可欠な手法ですので、しっかりと意識することが重要です。ぜひ、活用していきましょう。

 

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