今回の住宅業界バンバン集客塾では、引き続き、商品戦略について見ていきたい。

 

なお、前提として、商品戦略が集客と何の関わりがあるのかとの疑問を感じる方が多いかもしれないが、むしろ商品こそが集客と一番密接に関わっているのである。商品が良ければ当然、集客は増えるわけで、プレイス戦略と言われるモデルハウスなども不要であるし、総合展示場に出店する必要もない。また、プロモーションと言われる広告やホームページも、究極的には、商品力があれば必要ないのである。

 

それほど商品戦略は集客と密接に関わっているのである。ノウフルでは、最も重要なフレームワークとしてマーケティングの4Pを提唱しているが、このうちのプロダクト戦略が今回のテーマとなる。

 

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

住宅業界の商品価値

 

下の図をご覧いただきたい。住宅業界の商品価値とは、分母に価格、分子にハード・ソフト・ブランドを置いた方程式で構成される。価格が高ければ商品価値は下がるし、安くても下がる。そして、ハード・ソフト・ブランドそれぞれの力が高ければ商品価値が高まるのである。

 

 

では、このハードとソフトについて改めて説明をしていく。下の図をご覧いただきたい。この図は、スターバックスの商品戦略を示したものである。

 

 

提供価値としては、物質的なものと精神的なものがある。物質的なものは、スターバックスで言えばコーヒーなどを指す。これは目に見える「ハード」である一方、精神的なものは「ソフト」と定義され、スターバックスで言えば空間提供を意味している。

 

具体的な例として、スターバックスの商品コンセプトの一つにサードプレイスがある。サードプレイスとは、「自宅・会社に次ぐ三つ目のリラックスする空間を提供する」という考え方であり、これはまさに、目に見えないソフト面での商品戦略なのである。同じようなことが、ドン・キホーテでも言える。

 

 

ドン・キホーテは格安を売りにしたディスカウントストアであるが、商品の販売、すなわちハードの商取引とは別に、ソフト戦略を重視している。ドン・キホーテでは、宝探しというコンセプトを重視しており、何かを買いに行ったつもりが、目的のもの以外のものも買ってしまうという収益効果を目指した戦略をとっている。これもまさにソフト面での商品戦略の成功例と言える。

 

このような、ソフトの付加価値を醸成するという観点においては、あの有名なスティーブ・ジョブズが非常に得意とする戦略であった。

 

 

スティーブ・ジョブズは、いわゆるコモディティと言われる産業に乗り込み、デザインを含めた体験(ユーザーエクスペリエンス)の価値をソフト面でつけることで、ヒット商品を生み出した。言うなれば、ヒット商品の仕掛け人であろう。

 

このように、現代社会において、商品のハード面で差別化できない中、ソフト面での商品戦略に力を注ぐことは非常に重要になるのである。

 

住宅業界のニーズの変化

 

改めて住宅業界に目を向けてみると、ハードとは建物と土地を指す。

 

 

下の図にあるように、建物については、特に外観という観点で、最近はシンプルモダン系・平屋系など、図の右上に分類される商品が人気となっている。

 

 

 

一方で、住宅業界のソフト戦略については下の図のようなものがある。家族の絆が深まる家・安全な家・快適を実現する家・健康を実現する家など、目に見えない付加価値をソフトと定義し、これらを強化している企業が勝ち組となっている。

 

このように、ハード面だけでなく、ソフト面での商品戦略も重要になってきている昨今であるが、なぜこのような状況になっているのだろうか。それには、大きく二つの要因がある。

 

 

このように、ハードだけでなく、ソフト戦略も重要になってきている昨今であるが、なぜこのような状況になっているのだろうか。それには、大きく二つの要因がある。

 

一つ目が、ハードの成熟化である。まず、住宅業界というのは、商品を展開するにしても、建材などは同じメーカーで購入していることもあり、商品の差別化が本質的には難しい。このような業界をコモディティ産業と言うが、今まではハードで差別化できていたものが、商品力が上がるにつれて、ハードだけでは差別化ができなくなっているというのが現状である。そのため、2020年を境に、現在のようなソフト戦略が重視されるようになったとの見方が正しい。

 

 

例えば、下の図は、大手ローコストのパワービルダーの物件の写真である。2010年時点では、左の図のような魅力のないハードであったが、2020年になると、大手のローコスト建売でさえ、右の図にあるようなシンプルモダンの魅力的なハードを提供するようになってきたのである。このような中で、ハードだけでは差別化できなくなっていることが要因の一つとして挙げられる。

 

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