今回は、若手営業の初回面談強化により契約率を2倍まで増やした埼玉県B社について見ていきたい。B社の概要は下記となっている。

B社では、ベテランの契約率は平均10%〜15%と高い水準で維持できていたが、若手の契約率が5%前後と停滞しており、契約率改善の必要性に迫られていた。このような中で、B社は、ある取り組みを行うことにより、若手メンバーの契約率を改善して棟数を2倍まで高めることに成功した。
では本日の目次を見ていこう。

 

 

初回面談のポイント

 

では、B社はどのような取り組みをしたのだろうか。実際の取り組みを説明する前に、まず初回面談の強化ポイントとして二つ説明しよう。

 

 

一つ目の「仕組主導型」については、いわゆる営業の陣形を調整することによって、歩留まりを改善する施策である。一方で、「教育主導型」は、若手を中心とした教育体制を強化することにより初回面談の契約率を高める考え方である。

 

まず、仕組主導型から見ていこう。従来の営業組織では、下の図のようなケースが多く見られる。初回面談は一般営業が対応し、最終的にクロージングのタイミングで契約時に10%の部長職が畳み掛けるスタイルである。

 

 

しかし、初回面談にまず契約率20%以上の部長職を配置することによって、初回面談は飛躍的なアポ率改善を実現することができるようになる。

 

 

また、最終的に初回面談に若手営業がつく上では、下の図のような、デビューに向けたチェックリストを設定すると効果的である。

 

 

次に、「教育主導型」についであるが、今回A社が行った取り組みはこちらになるため、具体的に解説していこう。

 

営業現場においては、上司・ベテラン・若手の契約率のギャップにおいて、機会損失を防ぐために確度の高い案件をベテランが対応するケースが多く見られる。このようなことから、契約率のギャップを踏んでいるのは、単なる営業の質だけではなく、案件の質も影響していると考えるだろう。だが、この考え方は半分正解で半分間違いである。

 

 

当然ながら案件の質による歩留まりのギャップはある一方で、営業力や営業の質という観点でも、歩留まりの結果には色濃い影響があるのである。弊社では、住宅会社15社の営業手法を合同調査したことがあるのだが、面白い結果が出た。この調査では、契約と相関がある項目が何かを調べたのだが、結論から言えば、契約と相関する指標は下の図のようになる。

 

 

まず、申し込み数・時間・ポイント数・着座数・アンケート記入数などは契約と相関する。つまり、これらの数字が上がれば必然的に契約数が増えるのである。この中で、面白い相関指数として、長時間面談数というものが出た。中でも、90分以上面談した案件は契約に繋がる機会が増えたのである。

 

なお、総合展示場はさらに短いケースもあるし、1〜2年生はなかなか対応が難しいかもしれない。しかし、3年〜4年生はこの長時間面談数をいかに増やすかどうかで、契約数が変わってくるのである。この指標は下からすステップアップしていくものであるが、多くの若手メンバーは、このアンケート記入の次にある長時間面談数でつまずいているケースが多い。

 

 

B社の取り組み

 

では、B社はこのような中で、どのような取り組みを行ったのか見ていこう。まず、結論から言えば、B社は若手メンバーがライトな話からヘビーな話に展開するような、「セールスシナリオ」を構築した。

 

 

例えば、ライトな話題については、展示場やモデルハウス見学会の中にあるしつらえなどから、軽く世間話を始めることが重要だ。具体的には、壁に貼っている物件情報から土地の簡単な相場説明へ繋げるなどだ。他にも、施工事例集から事例の説明・設備パンフレットから最新の設備事情・ユニークで人気な設備から具体的な説明・床材の陳列から具体的な床材の話・間取りの展示から詳細の事例など様々ある。このようにB社は、ライトの話に繋げることに特化した仕掛けを、展示場のいたるところに設置したのである。

 

 

次は、着座に繋げた後に、ヘビーな話に繋げることが重要だ。まず、このヘビーな話とは、土地探しや探し時・資金計画、断熱・気密などの考え方など、少し情報の濃い内容を指している。

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