今回は、住宅業界の営業パーソンが押さえるべき、課題解決型営業の真髄である「イメージング」という考え方について見ていきます。

 

下の図は、ある経営者営業部長の悩みです。

 

問題解決営業って言うけど、難しいよな。

そもそも今まで商品説明ばっかりしてきたから急には変えれないよな。

うちはヒアリングをするようにしっかり教育しているから問題ない気もするけどどうだろう。

解決するだけでなく商品も説明しないといけないし。。。

商品の説明をした時点で問題解決じゃなくなるし・・・。

そもそも課題を聞き出す事に苦戦しそうだな。

 

このように、「課題解決型営業という言葉は聞くけれど、商品説明を中心に行う営業ばかりしていると、対応ができず非常に難しい」と感じてしまいます。今回は、そのような悩みに答える形で課題解決型営業におけるイメージングという考え方について解説していきます。

 

では本日の目次をお示しいたします。

 

 

課題解決営業とは

 

まず、課題解決型営業に向けて、三つのステージがあることを押さえましょう。一つ目は、人として信用してもらうステージです。そして二つ目に課題解決策を提示するステージに入り、最終的に自社のサービスを説明するステージに進みます。

 

 

今回はこの課題解決営業にフォーカスして、説明をしていきますので前後の内容については下記記事を参照ください。

 

 

 

では、課題解決型営業では何を解決するのでしょうか。まずは次の図をご覧ください。この図は、正しい課題解決型営業の流れを示したものです。

 

 

まず、将来、お客様がどのような暮らしを実現したいのかについてお客様と一緒にイメージすること、これをイメージングと言います。そして、それを達成するためにどのような課題と向き合うべきなのか、解決策を交えて説明することをコーチングと言います。最後に、自分たちの強みに沿った形で解決策を提示することをフレーミングと言います。この考え方は、下の図にあるように、いわゆる問題解決思考と言われる考え方をもとに作られました。今回は、この課題解決型営業の中でもイメージングという要素について具体的に説明をしていきます。

 

 

そもそも、皆さんはお客様が何を求めて来場しているのかについて考えたことはあるでしょうか。結論から言えば、次の図にあるように、お客様が求めているものは家ではなく、豊かな暮らしです。この認識を誤り、家を買いに来ていると思って営業してしまうと、お客様と営業の間に期待値のミスマッチが生じます。

 

 

下の図は、ある学者の言葉です。

 

 

「人々は4分の1インチのドリルを欲しいのではない。人々が欲しいのは4分の1インチの穴である。」これはどういう意味なのでしょうか。具体的に説明をしていきます。

 

モノではなくコトを売る

 

下の図をご覧ください。この図は、この考え方を具体的に説明したものです。ある人がホームセンターに行きました。その人がホームセンターで購入するものは当然ながらドリルなどですが、最終的に求めているのは、それで作り上げる穴になるわけです。

 

 

ですから、単にドリルの説明をするのではなく、お客様が求めている穴をどのようにしてあげるべきなのかという観点で説明する必要があります。これができるかどうかで、営業力が大きく変わってくるのです。これらを、最近では、「モノ売り」の対極にある「コト売り」として表現することもあります。

 

 

顧客が求めているものが豊かな暮らしだとすれば、それはモノではなく「コト」です。多くの営業パーソンが説明するQ値や断熱工法などは、あくまで豊かな暮らしを達成する手段でしかありません。この手段ばかりを訴求する営業を「モノ売り」営業と言います。当然ながら、営業パーソンが「モノ」ばかりを売っていると、お客様が「コト」を求めている中でミスマッチが生じてしまいます。

 

単にモノのスペックを訴求するよりも、豊かな暮らしを一緒にイメージしながらワクワクすることが契約率の向上につながることは容易に想像できるのではないでしょうか。ですから、正しい住宅営業においては、お客様の豊かな暮らしをイメージさせる、つまりイメージングを行うということが、非常に大事なのです。

 

また、下図をご覧ください。この図は感性消費と理性消費を説明したものです。感性消費とは、好きか嫌いかで判断する消費行動を指します。一方で、理性消費は良いか悪いかで判断する消費行動です。住宅購入の主導権を握る女性の多くは感性消費をする傾向にあり、「コト」による提案が重要であることが分かります。

 

 

下の図はフランスの皇帝ナポレオンの言葉です。彼が「人間を動かす二つのてこは利益と恐怖である」と説いたことは有名ですが、まさに「利益、すなわち欲を醸成する」という行為は営業活動においても非常に重要であると言えます。

 

では、住宅購入における欲とは何でしょうか。下の図にあるように「庭でバーベキューをしたい」「こだわりの書斎を持ちたい」「シアタールームを作りたい」「友達とホームパーティーをしたい」などさまざまあるでしょう。そのような欲を醸成し、豊かな暮らしにワクワクしてもらうことがイメージングの本懐なのです。

 

 

この考え方を別の視点で考えてみましょう。住宅購入は一生に一度、かつ人生で最も高い買い物です。当然ながら検討期間は長期にわたり、理想の物件を見つけるための、いわばレースと言えます。競走馬になぞらえた格言で「人参をぶら下げる」というものがありますが、まさに住宅購入というレースにおいて目の前の人参を具現化し、長いレースを走り続けてもらうことが営業パーソンの重要な役割なのです。

 

 

イメージングのポイント

 

ここで、ひとつのケーススタディーを見てみましょう。あなたは住宅営業パーソンとして浴室の防水テレビをプレゼンするとします。どのようなプレゼンをするでしょうか。

 

 

下図は、売れない営業と売れる営業のプレゼン内容を示したものです。売れない営業は、防水テレビの機能を中心に説明しています。一方で、売れる営業は、実際のシーンをイメージしてもらうことを重視したプレゼンをしていることが分かります。どちらのプレゼンが顧客をひきつけるかは一目瞭然でしょう。

 

 

下の図はイメージングを踏まえたトーク事例ですが、顧客の「豊かな暮らし」をイメージしてもらうためにトークの工夫をしていることが分かります。住宅の営業においては、このように顧客の「豊かな暮らしをしたい」という気持ちを高めることが非常に重要なのです。

 

 

この考え方を図解したものが次の図です。顧客の思考には「買いたい軸」と「買うべき軸」が存在します。買うべき軸は、そもそも住宅を買うべきかという視点だけでなく、この住宅会社で買うべきかという軸も含みます。来場時は多くのケースで第1段階に位置していますが、営業活動の中で時期や競合に関するハードルを解除することで第2段階まで引き上げ、さらにイメージングによって第3段階まで引き上げることが重要です。

 

 

なお、住宅購入には次の図のように六つのハードルがあります。時期については購入時期が早いのではないかというハードル、資金については資金計画に対するハードル、土地については土地に満足していないというハードルです。それ以外にも、関与者や競合、プランといったハードルを解除することが重要です。

 

 

また、イメージングを行う上で重要な三つのポイントがあります。順番に見ていきましょう。

 

顧客を主語に置く

利点を説明する際に、商品を主語に置くケースが多く見られますが、あくまで顧客主体で説明することが重要です。顧客を主語においてどのような利点があるのかを整理する事が大切です。

 

 

形容詞(感情表現)を多用する

イメージを醸成する上では、形容詞に代表される感情表現を多用することが重要です。感情表現を多用することでイメージの醸成がしやすくなります。

 

 

他人の事例を活用する

また、イメージを醸成する上では他人の事例を踏まえて説明することも重要です。他人のエピソードを追体験することでイメージ醸成力が高まることになります。

 

 

本日のまとめ

 

改めて、本日のまとめをお示しいたします。

checkbox課題解決営業には、信用・課題解決・サービス説明の3つのステップがある

checkbox課題解決営業は、顧客の求める理想の暮らしという「コト」を提案することが重要である

checkboxコト売りをするために理想の暮らしをイメージしてもらうイメージングが重要である

 

以上、今回は、住宅営業における課題解決型営業、その中でも「イメージング」という考え方について見てきました。

 

このような考え方は、「モノ」売りに偏りがちな注文住宅の営業パーソンにとって特に重要になりますので、今のうちに体得しておきましょう。

この記事が気に入ったら
いいね!をお願いします

最新情報をお届けします

フォローすると最新情報がTwitterで確認できます